第126話、新しい始まり
やっと書き始めることが出来ました。
コロナのせいで、バタバタしています。
毎日の更新は無理ですが、何とか続けていきます。
それはショッキングピンクを基調としたフリフリのコスチュームだった。
派手なワンピースにレースのパレオを巻いている。長い髪はシュシュと赤いリボンで短くまとめ、銀のティアラを乗せていた。足下は、大きなリボンが付いた赤いスニーカー。
アズベルがコスプレしているのは魔法少女ジュリアの変身後の姿だった。
「悪人共は、この魔法少女ジュリアが退治するですー!」
舌っ足らずの台詞でクルッと回ると、短いスカートがフワリと舞って白いパンツが見えた。
小柄なアズベルだが、特注の大胆なコスチュームがやけに似合う。
「いいよ、いいよ、最高だよー」
そう言ってビデオカメラを回している中年オヤジは野田誠一郎。高校時代からの親友だ。
「たあーっ!」
一六歳の少女は足を高く上げて回転キック。大きめの胸がフルンと揺れる。幼い顔立ちに似合わず、衣装の胸が盛り上がっていた。それによりトグルボタンの紐が思い切り引っ張られて、紐は過重労働に耐えかねているよう。
「おー、グッド!」
右手でカメラを構えたまま左手でグッジョブのサイン。野田は興奮して声がうわずっていた。
俺は、異世界から亡命してきた美少女の動きに合わせ、ライトを持って動き回る。いわゆる照明係というやつだ。
完成して間もない俺の家、八畳の客間では素人の撮影会が行われていた。
秋の風が吹いているが、まだ残暑は強い。閉め切った部屋の中では熱気がこもって少し暑苦しい。
野田はアズベルにご執心で、欲しいものは全て買ってあげてるし、行きたい所ならどこでも連れて行く。食べたい物も服も何でも買ってあげているようだ。
今日は野田に頼まれてコスプレ撮影会に協力というわけ。異世界から来た神官の少女は羞恥心というものが無いようで、野田が要求するポーズをいくらでも平気でこなしている。
最初は嫌々手伝っていた俺だが、やってみると結構のめり込んでしまう。プロのグラビア撮影はこのような感じなのだろうか。
額にうっすらと汗をにじませてアクションを演じているアズベルは可愛かった。
音を立てて急にドアが開いた。
「あんたら何をやってんのよ!」
ドアの前にズーンと立っていたのは香奈恵だった。
まるで汚物を見るような目で俺と野田に視線を突き刺している。
「こういったことはダメだって言っておいたわよね」
腰に両手を置いている香奈恵の表情が怖い。
「いや……これは、その……」
顔を引きつらせ、まともに口が動かない野田。ダラダラと冷や汗を流す姿は34歳の大人とは思えない。
「このロリコンオヤジ!」
香奈恵のキックが顔面を直撃。カメラを放り投げて野田がひっくり返る。
「あんたもあんたよ、このガキオヤジが!」
鋭いフックが俺の腹にめり込んだ。みぞおち付近に激痛が走る。ライトが手から滑り落ち、俺は腹を押さえてしゃがみ込んだ。