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異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第2部、アマンダ共和国
119/279

第119話、突貫


 野田と一緒に、やぐらの上に転送すると、目の前に敵の兵士がいた。

 お互いに口をあんぐりと開けたまま、しばらく静止。

「ウワーッ!」

 俺達は同時に叫んで敵兵を蹴飛ばした。

 やつは悲鳴を上げながら落ちて、そのまま動かなくなった。

 周りを見ると、激しい戦いが繰り広げられている。人間同士が争っている喧噪の赤壁。

 崖の上に橋頭堡を作った帝国軍は、そこを拠点にして反撃すべく次々と登ってくる。

 プラスチック爆薬の威力が強すぎたのか、崖の一部が大きく崩れてザックリとした階段状になってしまっている。そこに帝国の兵が押し寄せていた。

 共和国軍は、敵の集団を囲んで槍で攻撃していた。重松さんと藤堂さんは最前線に立って軽機関銃を撃ちまくっている。

 俺と野田はショットガンの安全装置を外した。やぐらの下に群がっている兵を俺が攻撃し、野田は岩の階段を上ってくる敵に散弾を撃ちまくる。

 突然、味方のエリアから攻撃されて、敵は慌てふためいている。それが榎本軍師の狙いだった。

 崖の下から弓矢で攻撃されるが、やぐらは鉄板を張って防御しているので、大したことはない。

 敵は、この戦いに賭けているようだ。最初に多数の兵を爆弾で吹き飛ばされているのに、士気が衰えている様子がない。文字通り、味方の死体を踏み越えて進撃してくる。いつもながらスゲー根性だよな、帝国軍は。


 悲鳴と怒号が飛び交う戦場。敵の橋頭堡は、少しずつ面積を大きくしている。

 このままじゃ、ヤバいかな……。

「祐子さん、ウニモグを突貫とっかん!」

 ハンドメガホンを使った榎本軍師の命令が響く。

 すると、共和国軍の後方からウニモグがゆっくりと走ってきた。その荷台には、いくつかの木の樽が縛り付けられている。その樽にはガソリンが入っていた。

 揮発性燃料を積んだ高機動車両は、敵が密集している橋頭堡に迫っていく。ある程度まで近づいたとき、車から祐子さんが飛び降りた。そして、彼女は後方に走って行った。

 無人になったウニモグだが、少し加速して敵兵に向かっていく。アクセルに重しでも乗せて、自動運転しているのだろうか。

 敵は弓矢で攻撃するが、車の速度は落ちない。

「車輪を狙え!」

 敵の隊長らしき男が命令する。

 帝国の兵は側面から槍でタイヤを突きまくった。念のためにタイヤには金網を貼ってあるのだが、そんなに長く槍攻撃に耐えることができないだろう。

 まったく、モルトンの野郎が自動車の弱点を帝国に教えるから、こうなってしまうんだよな。

 やつはミッキー老人のオフロード車に、やけに興味を持っていたそうだ。乗せてもらったりして、その弱みを探していたのだろう。

 ウニモグは敵の橋頭堡を分断し、崖に出来た階段の降り口まで進んだ。しかし、タイヤがパンクしてしまったのだろう。ぐらりと傾いて横転し、ゴロンゴロンと斜面を転がり落ちた。

 ああ、中古車だけど二千万円のウニモグが……。


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― 新着の感想 ―
[一言] ウニモグの代金はモルトンの命で払ってもらいましょう。 入手や操縦の問題があるけど戦車だったら歩兵なんて蟻同然なのに。 昔の火炎放射戦車があったら現代の最新兵器より活躍しそう。
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