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異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第1部、異世界転送
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第11話、掲示板


「美人のお姫様と結婚して貴族の生活かあ……」

 俺がつぶやくと野田が起き上がった。

「こんなうだつの上がらない生活をするよりは、異世界で貴族になるのもいいかもな」

 彼の目が輝いている。今まで見たことがない気力が浮き出ていた。

「貴婦人になってイケメンの執事に囲まれるの悪くないわね」

 香奈恵の口が半開きになって嫌らしい笑い顔。

 今まで気がつかなかったが、俺達は野心家らしい。この日本では行く末が決まっているが、新天地の異世界なら俺達でもブイブイ言わせることができるかも。

「どうにか、お姫様を救う良い方法はないかな」

 俺が訊ねると野田は腕組みをして考え始める。

「ネット掲示板で聞いてみるか」

「掲示板?」

 香奈恵が目を細めて野田に聞く。

「ああ、俺が借りている掲示板があるんだ。いつもはアニメのジュリアちゃんの話題で盛り上がっているんだが、別の板でトルディア王国を救う方法を集めてみよう」

 そう言って部屋の隅に置いてあるパソコンを起動させた。

 掲示板を開いて、何やら操作し始めた。

「えっと、小国が帝国に攻められて困っています。これを打開する方法がある方は来て下さい……と」

 野田がつぶやきながらキーボードで入力。

「……キャサリン姫のお願い……と。よし、終わった。あとは意見が来るのを待てばいいさ」

 野田が振り返ってニコリと笑った。

「それで何とかなるの?」

 香奈恵は期待していないよう。

「まあ、書き込みの九割くらいは使えないが、中には真剣に考えてくれる人がいると思うよ」

 ナレッジマネジメントでいう、集合知を活用するわけだ。

 このインターネットという便利なシステムがあるのだから使わなければもったいない。


  *


 そのまま野田の家に泊まって、翌朝は適当な朝食を食べた。

 香奈恵は料理が苦手らしい。

 袋から10枚だけ取って、残りの金貨は香奈恵に渡した。日本円に換金してもらうためだ。

 笑顔を輝かせて彼女は車でいそいそと出発。残った俺達は香奈恵が大金を抱えて戻ってくる姿を想像して待つ。


 コーヒーを飲んでボンヤリとしてから、掲示板を見ることにした。

「えーと、なんだってえ……」

 野田がパソコンの画面をのぞき込む。

「フハハハハ、俺は帝国の大魔王だ。姫を俺に差し出せば許してやる……か。やれやれ」

 野田がため息をつく。ろくな書き込みがないようだった。

「中二病ですか、あなたは。もっと真面目に生きて下さい……か。以前は真剣に生きていたんだけどな」

 本当の話だと信じてくれる人間がいるわけがないか。

「えーと、詳しい状況が分からないと判断できません。もっと細かい設定を教えて下さい……か。これは使えるかな」

 野田が言うので、俺は画面をのぞき込む。

 そのハンドルネームは、「欲求不満の女子高生モンモン」だった。


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