第105話、反撃
やぐらは鉄板で防御されている。そこが俺達の持ち場。
そこに到着してハシゴを登ろうとすると、向こうから連続した銃撃音が鳴り響いてきた。
重松さんが登ってきた敵兵達に向かって機関銃の攻撃をしたのだ。帝国の兵は、たちまち殺されてしまった。その銃はカラシニコフといって、ソ連で使われていた有名なマシンガンらしい。
「死体を落とせ!」
重松さんの命令で守備兵は、折り重なって倒れている敵兵を崖の下に放り投げた。
登り掛けていた兵達の上に死体が落ちていく。それらはまとめて落下し、岩場に叩きつけられた。
やぐらの上の小部屋にたどり着くと帝国側から弓矢攻撃が再開された。それは登ってきた兵達が一掃されたからだ。
投石器による攻撃も始まった。大きな石が飛んできて味方の兵を襲う。直撃された兵は動かなくなり、落ちてから転がっていく石は数人の兵に重傷を負わせた。
もう一つの投石器からは、こぶし大の石をまとめて飛ばしてきた。それは空中でばらけて広範囲に被害を及ぼした。鉄の盾で防ぐことができるだろうが、体に当たれば骨折は確実。
俺達は攻撃用の隙間からショットガンを発射。銃器による攻撃はないと油断していたのだろう。密集していた帝国軍に散弾を撃ち込むと、盾を構えていなかった兵が倒れて苦しむ。
ガーンという音と共に、やぐらが揺れた。投石器かよ! あいつらは俺達を目の敵にしているのか。
「重松さん、投石器を攻撃!」
作戦本部の屋根に取り付けてあるスピーカーから榎本軍師の指示が響く。
下を見ると、重松さんが大きな筒のような物を肩に置いて構えている。
破裂音と共に榴弾が発射されて投石器を破壊した。ああ、あれは確かRPGとかいう対戦車榴弾砲だったかな。ロールプレイングゲームと間違えそうな、使い捨てのロケット砲。
祐子さんもRPGを使い、もう一つの投石器をバラバラにした。これで、敵の長距離兵器は無くなったというわけだ。これで安心して攻撃に集中できるな。
俺と野田はショットガンで攻撃を続けた。
「おい、なんか煙が出ているぞ」
野田が言うので下を見てみると、やぐらの柱が燃えている。
「やべー!」
敵が放った火矢のせいかよ、チクショウ。
俺は消化器を持ってハシゴを下りる。やぐらの中段にある足場に降りて消化器を噴射した。そこはすぐに鎮火し、俺はカラになった消化器を崖の下に放り投げた。
向こうを見ると、重松さんがハンドランチャーを構えている。
ターンという発射音と同時に榴弾が飛んでいく。
着弾し爆発したそれは地面をなめるような、ねっとりとした炎になった。
あれが焼夷弾というやつか……。