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「そもそもダンジョンマスターってそんなに簡単にダンジョンを離れてよろしいの?!」



「え!ダメなの?!

なんで?!メイド?!」


「ミカリ様、ダンジョンマスターはダンジョンの奥にずっといるのが普通なんですよ!


長期外出は本部にスタンピード申請書を提出して、許可がおりれば大丈夫なはずです、多分


私も新人なんで申請したことはないですけど」


「ミカリ!あなたダンジョンマスターとしての自覚をしっかりもちなさい!」


「ミカリ、あなたのダンジョンなのよ」


「もー、そうですよー」



やば、なんかビミョーな流れが戻ってきたぞ


「、、、、ミカリ、あなた式に出席してよろしくってよ!

この私がなんとかいたします!」


「まじで?夫人!大好きーー!」


「ホホホ、スタンピードの討伐に出向いた事は数あれど、スタンピードの発生に尽力するのは初めてでしてよ」


わーい!

やった!

よくわからないけどフレアさんの結婚式に行けるーー


ローズが信じられないって顔してるけど、仕切り隊トップの侯爵夫人が言うなら100%大丈夫!



でもスタンピードってどんな余興?

私、歌あんまり得意じゃないんだよね


ドレスは思い切ってパープルとか?


あー、はおりものもちょっと考え直さなきゃ







「ねえ、ブラド


ミカリが出席する結婚式でミカリがあなた以外が作ったフルーツを口にするのってどうなのかしら」


涙に濡れていたブラドの目がカッと見開かれた


「レディ ノイバン!

結婚式の全てのフルーツ、野菜は当ダンジョンにて万全の物を提供させていただきます


卵、小麦、チーズも是非当ダンジョンをご利用くださいませ


ああ、こうしてはおれません

早急に生産体制を見直しませんと!」






ホホホ、チェックメイト!


ブラドは間違いなくこのダンジョン栽培の最高の物を提供してくれるでしょう




--


庶民出身の女性がある日突然ドラゴンに見いだされ、竜騎士となり、さらには貴族と恋に落ちる


竜騎士に大出世したS級冒険者フレアと、竜騎士隊第2部隊隊長ミュケー公のシンデレラストーリーは事実を間近で見た姫竜騎士たちの口から竜騎士隊外部に伝えられ、王都の貴族子女たちの間であっという間に広がり、さらには芝居となっていくつもの劇場で尾ひれ背びれをつけて広まっている


本人たちは知ってや知らずや、今や王都において貴族社会だけではなく庶民にいたるまでの老若男女知らない者のいない有名なラブストーリーとなった


2人の結婚式というラブストーリーの大団円を2人に全く関わりのない者たちまでが、固唾を飲んで待ちわびているのだ






ミュケー家側も非常にこの度の婚姻を喜んでいる

フレアが庶民の出という事を気にかける素振りは皆無だ


結婚式打合せのためミュケー家の家礼と話をしたが


二言目には

「坊ちゃまがお相手を見つけられて本当によろしゅうございました」

そう言って涙ぐみはじめ、打合せはほとんど進まなかった


「フレア様のお好きなように整えていただいて結構です、もちろん金銭は全て当家が」


と言い置いて帰って言った



竜人の血をひく一族というのは寿命が長いせいか、あまりに悠長すぎて困る



マリアレいわく竜人の血をひく一族でもその血が濃くでたものは一生に一度しか思い人を定めないそうで、運命に導かれないまま生涯独身を貫くものもいるそうだ


未婚の男女が同じ屋敷に住むなど家令が許したのもそういうことかしら?

そうだとしたらミュケー公と出会った時点でフレアの運命は決まっていたわね





2人の結婚式はおそらく今年、いや近年で一番の話題の結婚式となる

王都の全ての民が興味を抱く式典と言っても過言ではない


現にフレアはもとよりミュケー家にまったく縁のない貴族家からの式の出席の打診がひっきりなしにあるのだ



そしてなんと言っても最初の打合せから数日後、陛下が非公式で出席するとミュケー家から連絡があった




頭が真っ白になった




フレアは王都の市民の出で竜騎士伯となった為、今回ミュケー公との婚姻に際しては我が領にあるミカリのダンジョンが縁でこのノイバン家がフレアの後ろ立てとなった


2人の為もあるけれど、王都の近隣の領に位置しながら武闘ばかりの田舎貴族とくちさがのない宮殿の小鳥どもにノイバン家の威光を示す良い機会かと思って引き受けたが、、、


ああ、この結婚式はもうノイバン家の威信を示すどころか、まかり間違えば夫君はあざけりの視線と羞恥に王宮に出仕することすらできず、生涯領地で顔を隠して生きていくことになりかねない



どうしたらいいの





何を臆している?アリタリア・スノーク・ノイバン!


しっかりしなさい!


いくつものスタンピードを抑え、数多の魔物達を屠ってきたでしょう


一度引き受けた以上、女は度胸、窮地こそ胸をはりなさい



何にせよこの度の式、向こうは金は出すが、口は出さないということ


すべていつものメンバー共に当家が取り仕切る


大丈夫よ、私達にはあのダンジョンがついている







あら、ジェクシーなる教典には異国のめずらしい婚姻用のしつらえが載っているのね?


まあ、マカロン?バームクーヘン?婚姻用の菓子があるの?


この大木のごとくそびえるウェディングケーキの中はどうなっているの?


ローズ、衣装は?

ジェクシーにフレアにしか着こなせないドレス載っているの?



式典にかざる契約の布をゴブが?

ええ、前のベッドカバーの時より数倍腕は上がっていてよ

あなたにかなう職人はこの近辺の国々にはいないわ

ミカリも加護と付与をがんばってみる?

それはどうかと思うわ、、


ゴールデンデーモンスパイダーの糸が使い放題?

そんなの王族でも無理よ!

いえ、このダンジョンなら、、、



どうしてかしら、この戦、勝つ気しかしないわ





「レディ ノイバン!

結婚式の全てのフルーツ、野菜は当ダンジョンにて万全の物を提供させていただきます」



ひとたび食せば寿命が75日延びるというダンジョン産の作物

貴族でも金を積めば手に入るという物ではない

それが、フルーツはもとよりすべての料理に用いられる、、


これで式は成功したも同然



すこし、いいえ、おおいに過剰戦力という気がしないでもないわ


6月に1話書き逃げではじまった、このつたないお話を見つけてくださって、ここまで読んでくださって本当にありがとうございます

この56話でストックがきれました

次回より、ゆっくり更新になります

王都編スタートの予定です

見捨てずたまにのぞきにきてくださると大変うれしいです


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