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「みなさーん!!!ちょっと休憩しませーん?」


呼びかけてはみたけれど誰も反応しない


結婚情報誌ジェクシィーの力が強すぎて、あんなに大切にしていたティータイムが見向きもされない


ジェクシィーはすでにひとりにつき一冊

それがすごい速さでめくられていく

みんな日本語読めないはずよね?


キンキラキンの鶴の絵が描かれた入った真っ赤な打ち掛けを指差すローズ


「メイド!このドレスの生地を取り寄せなさい!

そして形はこっちので!」


「は、はい!」


「ああ、あとこれと、このドレスの形が見たいわ

取り寄せて!小物もいっしょに!

フレアの足のサイズに合うこの特集の靴をとりあえず10足くらいだしておいて」


「はいぃ!」


「やっぱりこのページからこっちページまで、一回全て確認しておくべきね!

それにしてもこのスカートの造形いったいどうなってるのかしら

とりあえず全部揃えておいて!!」


「私はこの夜空が描いてあるのが気になります」


「あら、いいじゃないのよ、こちらもね」


「ふぁい」


「私はこの黒地のも確認したいわ」


なにげに、ユリアーヌとリンさんからもそこそこの発注がある

でも多分それ、フレアの分じゃなくてどっちかって言うと自分用とかなんじゃない?


この3人の前に布地がどんどん積みあがっていく

フレアってばどんなにお色直ししても100回くらい結婚式あげられるよ


これ後で返品しまくりだな

返品きかなかったら泣くわー






「この会場の色の取り合わせいいわね

このテーブルクロスも取り寄せたいわ

テーブルセンターも大事だけど、目が肥えていらっしゃる方は手元にも目がいくものだわ

そうでしょう?」


「さすがのお気遣いです、レディ」


「こちらのウェディングケーキって何かしら?

クラシックタワー型?遠くからも見えて悪くないわね!

ブラド、あなたよろしくね

ええ、たった200食分でよろしいのよ」


「かしこまりました、レディ」


「もちろん、来賓の持ち帰り用のスィーツは別よ

期待しているわ、ブラド


でも、チーズケーキじゃ無くってもいいわ

チーズケーキはこちらに来た時だけと言うのもよろしいじゃない!


あら、この層になった年輪のようなお菓子も美味しそうじゃない?

試食?そんなに言うならちょっとだけいただこうかしら」


「この食器、吸い込まれそうな黒、金のタートルが描かれているの?

王都でも見たことがないわ。エキゾチックで上品!

どんな出席もみんな夢中になるわ」


「さすがお目が高い!レディ マリアレ

こちらワジマヌリと申しましてとても良い物です

当家でもオミソシルはこちらでいただいております」


会場設営の侯爵夫人チームも相当ヤバい

試食の皿が回転寿司店みたいに何重にも積み重なってる




フレアさんは割と早い段階で燃えつきていた

足を抱えて部屋の角で影になっている


フレアさん、本当に、心から、ゴメン


なぜみんな他人の結婚式でこんなに熱中できるかわからないけど

転がりだした女子は誰にも止められない




もちろん転がる系女子達には女子会の雰囲気はかけらもない


とりあえず取り寄せするっていうスタンスらしい

っていうか半分以上返品になりそうだけど、バンバン発注がくるから私もメイドもヘロヘロ


冬のバーゲンの前日にお店で朝2時まで働いたのを思い出した

もちろん次の日も普通に出勤で、みんなブラックヤバって言ってたけど、まさか自分が店長のショップでこんなにハードな勤務になるとはね




場所はM’s cute のカフェスペースから、なんでかバックヤードのリビングに移動した!


「お店の中だと明日の営業の時に客に内容が漏れてしまいますでしょう?」


何を当然のことを?みたいにローズさんにバカにされた


わー、明日もウチでこの会議やるんだー

わー、そんでもってウチのリビングは乗っ取られちゃうんだー(白眼棒読み)


うちらどこでまったりすればいいわけ?


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