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「来ますね」
「ブモ」
「今日のチーズケーキは試作品しかご用意できないのですが」
はぁ?
リビングで遅めの朝食を食べながらゴブとチョコ、ブラドが恐ろしいことを言い出した
何言ってるワケ?
今日は定休日!
「どなたかの気配ですかぁ?
最近は皆様ギルドでしっかり予約をとってくださるし、営業日以外にいらっしゃる方はいなくなったのにぃ」
侯爵夫人一行はギルドに予約はしないが、定休日はお付の方々がちゃんと心得ている
その日はブラドがケーキを焼かない日だとちゃんとご存知だ
もう嫌な予感しかしない
メイドもぶーたれてるし、小パメラもやっと帰ったし、私だって今日はダラダラするからね
ブラドがケーキうんぬん言ってるからどうせ客なんだろう
それも多分、一度は来た事のある顔見知り
「客が店のドアをノックする前から誰かわかる」
とウチのスタッフが言いだしても、それくらいじゃもう驚かない
パメラなんかいきなりリビングに現れて一週間以上いすわったんだから、それに比べたらカワイイもんだ
客には適当にケーキでも出して、今日は定休日って言って帰ってもらおう
もう定休日に来ても対応しないってしっかり言わなきゃ
「お客様今日は定休日でウチやってないんで、、
フレアさん?お久しぶり、、です、、?」
「Closed」の札の掛かった M’s cute のドアの前に降りたったのは、この前ローズさんが大変なことになってるっていってたフレアさんだ
赤い髪は綺麗に整えられているし、顔色も悪くない
ご本人はいたって健康そうだ
けど、フレアさんの乗ってきた乗り物っていうのが、オレンジ色の恐竜?
この世界って恐竜がまだ生き残ってんだね
しかも羽のはえたヤツ初めて見た!
今日は定休日だし、フレアさんならいっか、と思ってカフェじゃなくってバックヤードのリビングでお茶をする事にした
ドラゴンはチョコと一緒にゴブがお散歩に行ってくれてる
「驚いた、ショップの裏はこんな事になってるのだな
ますますダンジョンという事を忘れそうだ」
えー、私はあんな恐竜がいる事にびっくりだけど
「え?ドラゴン?!
あれ、恐竜じゃなくってドラゴンーー?!」
最近、毎日ファンタジーだな!おい!
「ああ、ファイアードラゴンだ」
フレアさんはちょうどお腹が空いているとの事で私達と同じフレンチトーストの朝食にチーズケーキというヘビーなプレートをもりもりと平らげていた
「この世界ドラゴンなんて普通にいるんですねー、知らなかったー!」
「何言ってるミカリ?
我が国だってドラゴンは最強かつ希少魔法生物に分類されている
国で領ごとに保有数が決められているし、協定国内ではしっかり保護されている
それに!私がドラゴンといるのもミカリのせいだ」
な、なんで私のせい?
ドラゴンの存在すら知らなかった人にどうしたって責任あるのよ?!
フレアさんが言うには私の売ったスカートが原因らしい
「ミカリが『スカートが売れない』と嘆いていたから
私が仕方なくスカートを買っただろう!
絶対あのスカートのせいだ!
王都の連中は気付かなかったが、あのスカートに何かヤバいまじないを仕込んだのだろう?!」
あのオレンジのスカートの事は覚えてる
フレアさんの赤い髪とめっちゃ合って最強のモテコーデになるって思ってオススメしたもん!
しかたなく買ってくれたんかい!そっちのがショックだわ!
あれ?最強のモテコーデ?
最強の?モテ?
んんーーー、なんか小パメラが言ってたなー
ちょっとだけミカリちゃんのせいかもしれないぃ
最強のモテコーデって、最強(な生物に)モテるコーデになっちゃったみたいな
てへ




