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悲劇はお会計の時に起こった
それぞれがシートマスクをして
フレアさんがフープイヤリングを3セット
ローズさんがシャンデリア
リンさんがハーブティーの大袋とティーパックを1ダース
それとマリアレさんがティーセットを買ってくれた
それぞれ梱包して、いざお会計をという段階になって
「価格設定していないって、どう言う事ですか?」
「あはは、イセカイの通貨がわかんなくてぇ、
レジはメイドに任せたっていうか、、、」
「でも、仕入れや台帳とか!
いったどうなってるんです?」
さっきまで静かだったマリアレさんがぐいぐい突っ込んでくる
さっきまでのまったりした雰囲気どこいったわけ?
「えっ、仕入れはDPとやらで、品物はメイドが謎技術で発注してます」
「DPって、商会って事すら取りつくろわないんですか?
メイドさんもどういうダンジョン運営をお考えなのですか?
こちらとしましても、あまりにも安定していないダンジョンを、共生可能なダンジョンとして報告するのはさすがにためらわれますわ」
「私、確かにミカリ様のアシスタントをしております
ミカリ様のご命令で発注と呼ばれる業務も私の仕事です
けど、けど、ミカリ様はダンジョンついていくらお話ししても理解していただけないんです!」
はい、メイド裏切ったーー!
私の好きな様にショップ運営すればいいって言ったじゃないかよー!
メイドの内部告発によってそっからは、マリアレ先生によるダンジョンについてのハイパー講義タイムに突入した。
ダンジョンとは何か、ダンジョンの種類、そのなりたち、、、、
他のメンバーもちょいちょい口をはさんでくる
5対1で卑怯じゃない?
、ってメイドもいるから6対1?
どんな極悪非道の学習塾よ?
「ダンジョンマスターにダンジョンについて講義する日が来るとはね」
じゃないよーーー!
さっきまでみんなで楽しいショッピングタイムだったじゃない?
ダンジョンなんて渋谷駅くらいしか知らないし!
ミカリは駅長でもすればいいわけ?
駅ビルの店舗って集客率とか、売り場面積あたりの客単価出せとかすっごいうるさい所だったんだよ!
本社の経理研修とかも嫌で嫌で死にそうだったんだからーーーー
うう、もう無理、、、
〈ダンジョンマスターが攻撃を受けました
1007DPの損失です〉
へんなアナウンスまで今日は私をせめているような気がする
「ああぁ!ダンジョンに攻撃判定が入りました」
メイドがあわてている
やーい、やーい
いつの間にかゴブが私を守る様に立ちはだかっていた
ゴブ頼りになるやつ!
「これ以上はやめてあげて
ミカリ様はもう無理」
おい、何気にディスってないか?
--
(モグ)
やっと解放された私は、ぐったりとしながらもてるたまバーガーセットをほうばっていた
それくらいひどいダメージだった
てるたまバーガーおいしい、
ポテトおいしい、
コーラ、
ポテト、
コーラ、
ポテト、
コーラ、、、、
何日か前も同じ事があったなー
そうそう私が死んじゃった時ー
メイドはマリアレさんたちと実務者協議とやらに入った
私が関わるとショップが崩壊する可能性があるから大人しくしてろって
リンさんは私の隣でポテトを興味深々で見ている
メイドー、セット追加ー
(モグ)
「まあ、(モグ)」
リンさんもあっという間にポテトとコーラの無限ループに突入した様だ
((モグ))
((モグ))
((モグ))
「若いうちに失敗するのってとっても大事よ
今のうちに大いに失敗しておきなさい」
「リンさんも失敗した?」
「ええ、たくさん
正義感を履き違えてギルドのおえらいさんを殴ったり、
ワンマンな領主にたてついたり
こう見えてすごく生意気な小娘だったのよ」
「あはは、想像できない」
「ふふふ」
「今はその失敗が全部私の財産になってるわ」
「そうなんだ」
リンさんは川越に住んでいるおばあちゃんにちょっと似ている気がした
((モグ))
「ミカリ様ー!
決まりましたーー!!
ベヒモス召喚いたしましょーーー!!」
「はぁ?」




