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淡い緑色のお茶をたたえたティーカップには赤い実が散らして彩色してある


貴族達が金にあかせて買いあさりそうな品のある高級なものだ


キレイな花には毒があるってね


フワリと草原を思わせる香りが鼻に抜ける


ハーブティーとしては悪くない

見習いの薬師が入れたお茶なら目をかけてやってもいいくらい


コクリ



味は、ほのかな甘みと、かすかな草いきれ、

即効性の毒は無いよいうだね、、、


コクリ、コクリ、


気がついたらカップは空だった


いけない、検証の為に少し採取すべきだった


そう思った瞬間、体の中を何かがスーッと通っていった


やられた!


不覚!


とっさに体がこわばる

大量の汗が背中をつたっていく


店主の女は何食わぬ顔してユリアーヌらとペチャクチャしゃべっている

そして固まる私の顔にもシートマスクとやらを貼っていく


頼みのフレアはピクリとも動かない、


ローズは、、、ローズは絨毯に埋もれ震えている!


終わった、、、、、

このリンがついていながら、、、


目をぎゅっとつぶって待った



-----が、何もおこらない




店主のおしゃべり続いており、倒れたはずのローズの声まで聞こえてくる

顔の布はいつの間にかはがされているようだ


ゆっくりと目を開いた瞬間、やけに周りが明るく賑やかに感じた


体が軽い


私を長年むしばんでいた毒が、


ない




今まで毒のせいで鈍く感じていた五感が全て戻っていた

薬を飲んでも痛みの残る関節が若い時のように軽い

足にしっかり力が入る

爪沈着した薬の色すら消えた



熱いものが頬を流れた

私は声を立てずに泣いていた


「マスクの後の肌を整えてください」


と言いながら店主が渡してきた化粧水を含ませた小さな綿でこっそり涙をぬぐった


ハーブティーの事をたずねると


「このお茶ですか?

確かデトックス系のハーブティーでぇ、

ヨモギとー、エルダーフラワーとかのブレンドですね!


ティーパックも、大袋もありますよ!

両方?あるだけ?


お買い上げありがとうございます!」


王都にいる弟子達に早く飲ませてやりたい

幾人もの女達の顔がうかんだ


覚悟を決めて薬師の道を選んだとはいえ

薬師の仕事に身を捧げた女達は毒のせいであまりに多くを犠牲にしてきた


このお茶があれば薬師であろうと普通の女でいられるかもしれない


沈着した薬で汚れた腕を気にせず祭で白い衣を身にまとい、


軽やかに踊り


恋をして


嗚呼、子供だって授かる事が出来るかもしれない


--

一番年上っぽいお客様、

リンさんだっけ?


ティーカップを持ったまま固まっちゃったよー


このハーブティーはデトックスのやつだから

人によってはおトイレ近くなっちゃうんだよね


「おトイレあっちだよ」っていきなり言うのも失礼だよね


汗かくほどガマンしなくっていいから


ウチのおトイレキレイだよ


メイドのペットのピンクルンバがいるけどいい子だよ

くねってるけど、ラメっててかわいいし、噛みついたりしないよ




「お買い上げありがとうございます」


リンさん便秘だったかー


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