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第二話「落ちたものはにゃんにゃのにゃん!」のその②

 第二話「落ちたものはにゃんにゃのにゃん!」のその②


 ぽいっ。

「飽きたのわん」

(にゃと思ったのにゃん)

 地味で単調にゃ作業を、ずぅっ、と続けられる幼児にゃど、めったに居にゃい。ましてやウチらは妖精やネコの集まりにゃもん。尚更にゃ。

 ぽいっ。ぽいっ。ぽいっ。ぽいっ。ぽいっ。ぽいっ。

 ウチを含め、みんにゃがみんにゃ、さじを、じゃにゃい、小枝を投げたのにゃん。

「見た目は、館のようなんだが」

 ミロネにゃんの呟きともとれる言葉に、ふと気がついたのにゃ。

「館って、でっかい家のことにゃろう?」

「……そうか。ミアン殿は人間の居住区で暮らしていたことがあったんだな」

 生前のことにゃ。外見の違いはあれど、これとおんにゃじぐらいの大きさのものが建っていたのを目にした覚えがあるのにゃん。

「もちっと良ぉく見たいものにゃん」

 幅も高さもでっかすぎ。でもって、立っている場所もごくごく間近にゃ。とてもじゃにゃいけれども、全体を把握するにゃんて到底不可能。

(かといってあんまり離れてもにゃあ。把握しにくいのはおんにゃじにゃし)

 あれこれ迷っていたらにゃ。にゃんと、親友が助け船を。

「だったら、アタシが手伝ってあげるわん」

 ミーにゃんは念動霊波でウチを空へと浮き上がらせるとにゃ。謎の物体、というか、建物の周りを、ぐるり、と旋回。そればかりか、『どこが見たいわん?』とウチが望むほうにも飛んでくれるのにゃ。『にゃんでこんにゃに?』と思うぐらい不気味、じゃにゃい、優しい心遣いにゃのにゃん。


 ふむふむ。高さは周りの木々よりもちぃとばかし低いのにゃあ。

 でもって全体は……、

 ううんとぉ。一口にいえば、赤い三角屋根と白い外壁の建物にゃ。窓の一杯ある幅の大っきい外壁のほうが表側、正面にゃのにゃろうけれども、ううん、こちらの外観はまたずいぶんと変わっているのにゃあ。にゃんというか、三角屋根の建物を縦にして真ん中と左右両端にそれぞれ一つずつ、七割ぐらいかにゃあ、ぶっ込んである、といった感じにゃ。まぁ全体としてみるに、にゃんともせわしにゃい印象の造りにゃん。

 窓の数も、ちと気ににゃるのにゃあ。裏側は皆無で、横側は左右どちらも上下に一つずつと、『こんにゃに少にゃくていいの?』とこちらが心配するくらい控えめにゃのに、表側は逆も逆。『他の分もまとめて面倒みましたのにゃん』といわんばかりに並んでいるのにゃもん。よぉし、こうにゃたら、数えてみるのにゃん。ええと、両端の三角屋根の下には、どちらも上下に窓が一つずつにゃ。一方、真ん中のは、壁の幅が大きいからか、数は二つとおんにゃじにゃれど、上下ではにゃく、横並びとにゃっている。にゃらば三角屋根と三角屋根の間は……、おっ、左右どちらも上下に窓が二つずつにゃん。

 とにゃるとぉ、……ええと、ええと、ひぃふぅみぃ……ええと、足りにゃいから後ろ足も使ってぇ…………おおっ。計十四個の窓が均等に並んでいるのにゃ。

 ふぅ。道理で多いと思ったはずにゃん。


《えっへん! にゃあ、イオラにゃん。ウチを計算の天才と呼んでもいいのにゃ》

《まっ、ミアンちゃんたら。……ああでもぉ。

 ねぇ、そこまでいって恥ずかしくない?》


「ミーにゃん、そろそろ下ろしてくれにゃい?」

「気が済んだのわん?」

「うんにゃ。有難うにゃ、ミーにゃん」

 ウチは地上に降りると、あらためて真っ正面から建物を見据えたのにゃ。

 真ん中の三角屋根の下にある二つの窓。それより更に下は、縦に長四角にゃものが填め込まれている。光沢のある黄銅色のそれは……、恐らくは玄関口の『ドア』にゃ。


「屋根に、外壁に、ドアに、窓、と。

 ふぅぅむ。……うんにゃ。『館』とみて間違いにゃさそうにゃん」


《ねぇ。ミアンちゃんも生前は、館とか邸とかいったところに住んでいたの?》

《普通の一軒家にゃ》

《それは残念だわ。伯爵とか『ぎくしゃく』とかの話が聴けたら、とか思っていたのに》

《にゃんにゃの? その『ぎくしゃく』って?》

《違ったかしら? ええと……侯爵?》

《って聴かれてもにゃあ。ウチにも、とんと。

 そもそも、どこをどう間違えたら、『侯爵』が『ぎくしゃく』とにゃるのにゃん?》


 ウォッチングを終えて、ふとミーにゃんへと目を移してみる。

(にゃんともじれったそうにゃ面持ちにゃ)

 そう思っていたら、案の定にゃん。

「折角、飛び回ったのに、なんにもぶっ放してこないわん。

 忌々しい。これじゃあ、『盾』を携えた意味が全くないのわん」

 口をとがらせ、不満を、ぶつぶつ、と。

(あんにゃに親切にゃったのは……ひょっとして……)


《にゃあ。イオラにゃんはどう思うのにゃ?》

《ちっちっちっ。聴くだけ野暮よ。もう忘れてしまいなさい》

《まぁいいにゃん。ミーにゃんが無事にゃらそれでウチは》

《ミアンちゃん……。

 んもう! ぎゅうぅっ、と思いっ切り抱き締めちゃうんだからぁ!》

《ふぎゃああぁぁ!》


 問い質そうとしたのにゃけれども、時既に遅しにゃ。

「待っても待っても、なんにも起きる気配はなし。

 とくれば、あとは実力行使あるのみ! なのわん!」

 目の前の空へと飛び上がったミーにゃん。ウチらを背に、二枚翅を輝かせたのにゃ。

「やる気だね、ミーナ君は」

「多分にゃ」

 ミクリにゃんの予想は直ぐに現実とにゃる。ミーにゃんの霊力を象徴する白い光が翅に燦然と輝いたその時。

「超弩級型対応、妖力爆風波っ!」

 ぶわっばばばばあぁっ! きらきらきらぁん!

「ふにああぁぁゃん!」

 謎の物体が白光の爆風に包まれたのにゃ。

 にゃもんで当然、ウチの目に映るもの全てが真っ白に。

「やったぁ……のかぁ?」

 疑問符がつく叫び。どうやらミクリにゃんも視界が閉ざされているみたいにゃ。

 固唾を呑んでウチらがじっと目をこらす中、光はどんどん薄れていく。

「あっ!」

 ミクリにゃんの発した声が短かったのも無理はにゃい。謎の建物はこともあろうに、爆風波を食らう前とにゃんら変わらにゃい姿で残っていたのにゃん。

 思いがけにゃい結果にゃったのにゃろう。口を噤み、目を見張ったままのミーにゃん。ややあって口からこぼれた言葉は。

「許せないわん!」

 プライドを傷つけられた。そんにゃ様子がありありにゃ。

「このままおめおめと引き下がると思ったら、大間違いなのわん!」

 ネコ差し指を館へと突きつけた姿でそう叫ぶや、お次は全身を緑色に輝かせたのにゃ。

 どっぴゅうぅぅん!

(ミーにゃん……)

 ミーにゃんは光弾とにゃって上昇。多分、ウチのみにゃらず、この場に居るみんにゃが近い未来を予想したのに違いにゃい。

 あっという間に、見上げた視界からミーにゃんの姿が消えた。

「1にゃん、2にゃん、3にゃん、………10にゃん……ふにゃ!」

 緑色の発光が見えたと同時に、声も聞こえてきたのにゃ。

「汚名を注ぐ強強強爆撃弾なのわああぁぁん!」

 どっぴゅうぅぅん!

『逃げるのを忘れ、立ち尽くしてしまう』ぐらいの速さと勢いで、謎の建物へと突っ込んでくるのにゃん。

(一瞬でばらばらににゃるかも)

 心に、びんびん、と伝わってくる光弾の威力。館の最後を暗示するかのようにも思われたのにゃん。

 ……しかしにゃがら。

 ひゅん!

 館の真ん中にそびえ立つ三角屋根へと突っ込み、……そして消えたのにゃ。

(ど、どうにゃったのにゃん?)

 周りをきょろきょろと見回せば、まるで申し合わせたかの如く、誰もが地べたにしゃがみ、頭を抱えた格好。直ぐにでも訪れるであろう爆発音と衝撃波に少しでも耐えようとしてのことにゃと思う。にゃらば『右に習え』とばかり、ウチも遅ればせにゃがら、おんにゃじ姿に。

「……………………………………………………………………………………ふにゃ?」

 待てど暮らせど、館がすっ飛ぶ気配は微塵も感じられにゃい。にゃもんでウチらは、わらわら、と立ち上がる。

「まさか……吸い込まれてしまったのか? あの力が!」

 しばらく経ったあと、ミロネにゃんが口にした言葉にゃ。

(そんにゃあ……)

「ミーにゃああぁぁん!」

 ひゅうぅっ。

 大声を張り上げて叫ぶも、聴こえてくるのは涼しげにゃ風の音色のみにゃん。


《あら。おトイレにでも行ったのかしら?》

《あのにゃあ》


「第二話もこれにて無事終了にゃん。

 ……にゃあんて、のんびりにゃことをいっている場合じゃにゃい!

 ふにゃあああん!

 ミーにゃあああん! どうしてしまったのにゃあああん!」

「ここに居るのわん」

「…………あのにゃあ、ミーにゃん」

「ずぅっ、とミアンの目の前に居るのわん」

「……いや、にゃからにゃあ」

「でもって親友のアホぶりをあきれて眺めているのわん」

「……あのにゃあ。これは親友からの、たってのお願いにゃのにゃけれども」

「なにわん?」

「もちっとお話の流れに沿ってくれにゃいかにゃあ」

「というと?」

「ミーにゃんはどうにゃってしまったのにゃん? と気を揉んでいるところにゃ。

 にゃからせめて、ウチの視界から遠ざかるとかにゃ。

 そういった配慮が欲しいところにゃのにゃけれども」

「面倒くさいわん」

「そこをにゃんとか。ウチら親友同士じゃにゃいの」

「ふぅ。親友同士とまでいわれてはねぇ。

 アタシだっていつまでも突っ張っているわけにはいかないのわん。

 よぉし。だったら」

 ぴゅん!

「ふにゃん! 一瞬で消えてしまったのにゃ。

 ミーにゃああん! どこに居るのにゃああん!」

「頭の上に浮かんでいるのわん」

「…………ミーにゃん」

「なによ、その不満そうな声と顔は。

 視界から消えてあげたのよ。これで右往左往出来るでしょ?

 もっと大喜びして欲しいわん。

 それともぉ。本当に、ここから出て行け、っていいたいのわん?」

「んにゃわけにゃいのにゃん。

 ミーにゃんの居にゃい世界にゃんて、ウチには考えられにゃいもん」

 ぽっ。

「ほら、ミアンがそんなことをいうからぁ。

 顔が火照ってきてしまったのわん。

 なぁんか、すっごく、有難う、っていいたくなったわん」

「それはウチのセリフにゃ。ミーにゃん、有難うにゃん」

「…………うん。

 それじゃあ、しばらくこんな感じで過ごしてみるわん?」

「頼むにゃ。そうしてくれるとムードが高まるのにゃん」

「ムードがねぇ。だったら、一番初めからやり直したら?」

「それもそうにゃん。

 ごっほん。にゃら、行くにゃよぉ」


「ふにゃあああん!

 ミーにゃあああん! どうしてしまったのにゃあああん!」

「ミアンには悪いけど……ふぅ。

 どう見ても、アホがうろたえている、としか思えない姿なのわん」


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