第二話「落ちたものはにゃんにゃのにゃん!」のその①
第二話「落ちたものはにゃんにゃのにゃん!」のその①
(ウチらの遊び場を占拠されてにゃるものか)
ミーにゃん同盟の誰もがそう思ったのにゃろう。みんにゃがみんにゃ、再び『遊び場』へと集結したのにゃ。ミーにゃんの『排除するわん!』とのかけ声に全員が拳を振り上げ、『それしかないね!』『取り返すんだ!』『他に道はないわね!』『断固やりますですよぉ!』『そうですか。まぁ……みなさんがそうおっしゃるのなら』『やるのにゃん!』と口々に誓い合ったのはいうまでもにゃい。
《そうよね。自分のモノだと思っていたのが、いつの間にか、他の誰かさんのモノになってしまっていただなんて、ぜぇったいに許せないわよね》
《意味深にゃ発言にゃ》
「じゃあ、手始めはアタシからなのわん」
真っ先に行動を起こしたのはいうまでもにゃく、ウチの親友でかつ、ミーにゃん同盟のリーダーでもある、ミーナことミーにゃんにゃ。
つんつん。つんつん。
「おっかしいわん。うんともすんともいわないのわん」
「……あのね、ミーナ。
そんな小枝で突っついてなにが判るっていうの?」
「判りますよ」
「えっ」
ミストにゃんが後ろを振り返れば、そこにはミリアにゃんが。いつににゃい真剣にゃ面持ちで、こくこく、と頷いているのにゃ。
「未知なるものとの出会いは、言葉をかけるよりも先ずは触れ合うことから始めなくてはなりません。お互いの温もりを知ることこそが、判り合う為の第一歩なのです。
そこで生まれたのが『ふれあい同好会』。教祖の私には判るのです。会員No.1のミーナさんとしては当然の、というよりも、心の底から込み上げてくる衝動が形となって、ああした行為に及んでいるのです。
判りましたか? 会員No.3のミストさん」
「あら、心外ね」
「やっぱり。会員No.2のほうが良かったのでしょうか?
判りました。でしたら早速ミアンさんと交代を」
(会員No.2はウチにゃったのにゃん)
唖然とするウチをよそにミストにゃんはミリアにゃんへ文句をつけたのにゃ。
「じゃなくて。いつ、わたしがそんな同好会に入ったっていうの?」
薄焼きせんべいよりも薄いのではにゃかろうかと思われる胡散臭そうにゃ目が、ミリアにゃんへと注がれたのにゃ。
「これは愚なる質問を。
実体霊体を問わず、生き物ならば誰しも温もりを求めるのは当たり前のこと。ましてや、ミーにゃん同盟なるサークルにも入っているのですよ。ふれあいを求めているのは、いわずもがな、です。となれば、意思表示の有無はもう必要ありません。ミーにゃん同盟に入った時点で既にあなたも、あなたも、あなたも、あなたも、あなたも、そしてあなたも、『ふれあい同好会』の一員となっているのです」
指差された全員がミリアにゃんの前にずらりと並ぶ。
もちろん、口にした言葉はみんにゃ一緒にゃ。
『にゃら脱会しますにゃん』
「そんなぁ! 一体どこがいけないというのですか?
『ふれあい同好会の』のどこがぁ!」
嘆きの口調で喚き立てるミリアにゃん。ウチらはこれまた声を揃えて、
『あんたにゃあ!』
「はぁうぅっ」
みんにゃで指差したまま叫んにゃ言葉がトドメとにゃった。悶絶寸前みたいにゃ吐息を洩らすと、同好会の教祖は打ちひしがれたように、がっくり、と膝を突いたのにゃ。
「みんにゃあ、はっきりとその目で確認したにゃあ。
ふれあい同好会の最後にゃん!」
「やったわん!」「やったにゃん!」「やったね!」
「やりましたですよ!」「やったみたいね!」「やったな!」
ウチらは手を叩き合って喜び合う。
「ミリアんの陰謀を、見ん事、アタシたち自身の手で打ち砕いたわん!
悪は滅びたわん!」
ミーにゃんの誇らしげにゃ勝利宣言。みんにゃも心はおんにゃじにゃったのに違いにゃい。仲間から一斉に拍手が湧き起こったのにゃ。
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
感動の嵐の中、ウチらのリーダーは更にヒートアップ。右手の拳を掲げて声高々に、
「さぁ。勝利を祝って、『ミーにゃん音頭』で盛り上がろうわん!」
おうぅっ!
……んにゃことやっている場合じゃにゃい。
《ちなみにワタシの会員No.って幾つだったのかしら?》
《イオラにゃん。にゃんでも質問すればいい、というものでもにゃいと思うのにゃ》
にゃもんで最初に戻って。
つんつん。つんつん。
「おっかしいわん。やっぱり、うんともすんともいわないのわん」とミーにゃん。
つんつん。つんつん。
「ミーにゃんのいう通りにゃん。にゃかにゃか手強い相手にゃん」とウチ。
つんつん。つんつん。
「ふうぅむ。音なしの構えとはねぇ。
確かにさぁ。用心するに越したことはないのかもなぁ」とミクリにゃん。
つんつん。つんつん。
「触らぬ神に祟りなし、とかいいますです。どうでありましょう。
ここは一先ず戦略を練り直すべきではありませんかぁ?」とミムカにゃん。
つんつん。つんつん。
「これはいけません。わざとやられるがままにしておいて、いざとなったら、
ががん! とくるつもりとみました。
どうです? この際、『怨霊祓い』をしてはいかがでしょう?
祈祷は私がやってもいいですよ」とは、ちゃっかり復活したミリアにゃん。
つんつん。つんつん。つん。
「折れたか……。しょうがない。今度はちょっと硬めのこれで」とミロネにゃん。
別にゃ小枝を拾って再度のトライにゃん。
つんつん。つんつん。
「……あのね。みんなでやってどうするのよ」
お得意の腕を組んだ姿勢でウチらの様子を眺めていたミストにゃんが、やっとこさ、口を開いたのにゃ。
「でもにゃあ」
ウチは後ろを振り返ったまま前足を休めて、
「もしも、もしもにゃよ。にゃんか刺激的にゃことをやったとしてにゃ。
たちまち、どがん! とにゃったらどうするつもりにゃん?」
「いいじゃないの。ミーナのそれで慣れているでしょ?」
「にゃら、ドアから怖いモノが、どどどぉっ、とたぁくさん現われたら?」
「そうそう。でさ。『一生、おそばに居ます』なんていわれたら?」
ウチとミクリにゃんが続けざまに口にした『たら?』の内容に恐怖を煽られたようにゃ。ミストにゃんの顔が、さぁぁっ、と青ざめたのにゃもん。
「き、決まっているわ」
そういうと、にゃにやに小枝を拾って、
「こ、怖くならないように調べるだけよ」
つんつん。つんつん。
とどのつまり、みんにゃ仲良く揃って、つんつん、に、いそしんにゃのにゃ。
《これでいいのかしら。つんつん》
《にゃんでウチを小枝で突っつくのにゃん?》
《なにか出てくるかなぁ、と思って》