第一話『巨大にゃものが飛んできたのにゃん!』のその③
第一話『巨大にゃものが飛んできたのにゃん!』のその③
転がれば灰もくっつくとくる。ウチのみにゃらず、誰もが不満を抱えて不思議じゃにゃい状況にゃん。
「ミーナ! んもう! あなた、なに考えているの? もう毎回毎回」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
「うん? ミストん、なにを怒っているわん?」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
「まぁまぁ。ここはウチに免じて」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
「そうそう。あやまちは誰にもあるものなのでありまぁす」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
「ミムカのいう通りだ。一々とがめだてして腹を立てていたら、こちらの身がもたない」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
「ミロネさんの意見に賛成です。
ここは是非とも『あやまち救済事業団』を立ち上げてですね」
ごろごろごろ。ごろごろごろ。
《そうそう。一々とがめだてして腹を立てていたら、身がもたないわ》
《にゃら、イオラにゃんはどうすればいいと思っているのにゃん?》
《ここは一番、『またかぁ』とかいって笑うべきよ。そのほうが心落ち着くんじゃない?
被害者にしても。……そうね、加害者にしても》
《加害者も、って。にゃあ、イオラにゃんはどっちの肩を持っているのにゃ?》
《ふふっ。ミアンちゃん。女の子にそんなことを聴くもんじゃないわ》
みんにゃがみんにゃ、思い思いに大地とたわむれている。でもって、
……ウチを含め、誰ひとり気がつかにゃかったのにゃ。ばらばらに転がっている自分にゃちの身体が知らず知らずのうちに、遊び場の真ん中へと、まるで吸い寄せられるかの如く向かっていることに。
そしてとうとう。
ごろごろごろ。ごろごろごろ。ごろごろごろ。ごろごろごろ。
ごろごろ……ぼっかああぁぁん!
「ふにゃああん!」
ひゅうぅぅっ!
(こんにゃことが起きるにゃんて!)
思い返すに、考えたこともにゃかった。まぁどこかヌケているウチらのことにゃから、さして不思議でもにゃんでもにゃい。むしろにゃ。良く今まで起きにゃかったものと、そちらのほうが返って不思議にゃ。
ミーにゃん同盟のみんにゃが幼児期にゃもんで、実体波を纏っているウチみたいにゃ、くっきりとした姿で転がっていたのにゃ。いい換えれば、強い霊波を身体から放っていたのにゃん。こんにゃ状況下で、ウチ、ミーにゃん、ミクリにゃん、ミムカにゃん、ミリアにゃん、ミストにゃん、ミロネにゃんの、計七つもの霊波が同時にぶつかった、とにゃればにゃ。尋常にゃらざる衝撃波が生まれ、弾き飛ばされるのは必至のことにゃ。
ふわぁっ。ふわふわふわっ。ふわあっ。
《あら大変。わざとじゃなかったのがせめてもの救いね》
《イオラにゃんは誰かにやられたのにゃん?》
《ううん。ワタシがやったの》
浮き上がったミーにゃん同盟の面々。ウチはふと視線を下に。
「おかしいにゃあ。にゃあんか焼け野原に大っきにゃ影が射しているのにゃけれども」
影は一つのみ。当然ウチらではにゃい。思い当たって見上げてみる。と、そこには。
ひゅうぅぅっ!
「にゃんにゃのにゃあ! あれはぁっ!」
長四角のでっかい形をした黒っぽいものが頭上に。当然、誰もが黙ってはいられにゃい。ついでにゃがら、合いの手を打つように、ウチの『落下しつつも、ツッコミ』が始まったのもいうまでもにゃい。
「大っきなものでありまぁす!」
「ミムカにゃん。もっと具体的にいって欲しいのにゃけれども」
「巨大翼竜だぁ!」
「ミクリにゃん。あんにゃに四角張った翼竜にゃんているのにゃん?」
「巨大隕石か!」
「ミロネにゃん。にゃったら、もっとでこぼこしている気がするのにゃけれども」
「巨大ヨモギ団子だわぁ!」
「にゃんと! ……ってミストにゃん。形状が全然違うのにゃよぉっ」
「巨大油揚げですっ!」
「ミリアにゃん。たにゃ思いつきで叫ぶのはやめて欲しいのにゃけれども」
「あれっ? モワンって油揚げはダメなのわん?」
「いやあ、そういうわけじゃ……って、
ミーにゃん! にゃんのお喋りをしているのにゃあ!」
《そうだったの。ミアンちゃんったら油揚げがダメなのね》
《どうしてそういうところににゃけ食いつくのにゃん?》
《油揚げだけに、としかいえないわ》
浮き上がりにゃがらもみんにゃが見守る中、謎の物体はどんどん落下していく。そんでもってウチらは上昇していく。当然、二つの間は狭まってくる。逃げ出せばいいのにゃろうけれども、こういう場合の『咄嗟の判断』って奴がネコにはにゃんとも難しいのにゃん。
まっ、取り敢えずは、ってことでにゃ。
「ぶつかるのにゃあ!」
そう叫んだ途端、
ぶわああぁぁっ!
にゃんと! 謎の物体が横にぐるぐると大回転。下部に巨大にゃ霊風波の渦を生み出したのにゃ。渦は地面へと向かっていくにつれて、どんどん大きくにゃっていく。この緊急事態にウチらみんにゃがどうにゃったかといえば……、全員無事にゃ。渦の力で外側へ外側へと追いやられ、にゃんとか物体の真下からは逃れられた。でもにゃ。代わりに横回転をしにゃがら、渦の流れと一緒にぐるぐると回るという二重回転の憂き目に遭っているのにゃ。
(目が回るのにゃん!)
上も下も左も右も判らにゃい。でもって……ついに!
ががああぁぁん!
巨大にゃ謎の物体は着地したのにゃ。
渦のおかげか物体自体は軟着陸。それでもにゃ。地面との接触で生まれた噴煙のすさまじさときたら。
ぶわああぁぁっ!
渦が消えて、一瞬、宙ぶらりんとにゃったウチらの身体。そこへ、『これは獲物にゃ』とばかりに噴煙の力が襲いかかる!
「うわあんにゃ! ミーにゃんにやられたばっかしにゃのにぃっ!」
ウチの悲痛にゃる叫びも空しく、のあとに続く、ぴったりの光景が目の前に。四方の彼方へとみんにゃがみんにゃ、てんでばらばらに吹っ飛ばされてしまったのにゃん。
《ねぇ、ミアンちゃん。これって最終回?》
《にゃんでそうにゃるのにゃん?》
「第一話もこれで終わりにゃん」
「物語の本当の始まりって、この回からなんだけど……。
ずいぶんと盛りだくさんな内容だったとは思わない?」
「まぁにゃ。前回の物語で登場した串のパンにゃんとの別れもあったし」
「アタシのお姉ちゃん、イサベラの登場もあったわん」
「でもって終わりのほうでは、謎の物体に吹っ飛ばされたりしてにゃ。
イオラにゃんがウチに、『最終回?』って聴いたぐらい、濃い内容のお話にゃった」
「ねぇ、ミアン。いっそのこと、これで終わっちゃえば?」
「にゃあるほど。再考の余地があるかもしれにゃいにゃ。
まっ、終わるにしても続くにしてもにゃ。第二話が始まるのはまにゃまにゃ先。
ここは一つ、ゆぅっくりゆぅっくり、考えるとしようにゃん」
「とかなんとかいってぇ。既にまぶたが閉じかかっているのわん」
「ふわああぁぁんにゃ。にゃら、ミーにゃん。お休みにゃさぁい」
すうぅっ。すうぅっ。
「んもう。ミアンったら、寝ちゃったわん。
しょうがない。アタシもつき合うとするわん」
すうぅっ。すうぅっ。