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第一話『巨大にゃものが飛んできたのにゃん!』のその②

 第一話『巨大にゃものが飛んできたのにゃん!』のその②


 イオラの木って、枝という枝にたくさんの白い花を咲かせるのにゃけれども、一番てっぺんの枝には、大輪の花がたった一つ咲いているにゃけ。色は他とおんにゃじ、にゃれど、一つ一つの花びらの真ん中には緑色の縦線が、すぅっ、と走っているのにゃ。黙っていても、『アタシ様はアタシ様。他の誰でもないのよ』との気高さが、『アタシ様が目を光らせているかぎり、誰であろうと、イオラの木に手出しはさせない』との気迫が、びんびん、に伝わってくるその姿は、まさにリーダー格の存在。他の花のみにゃらず、妖精のミーにゃんでさえからも、『お姉ちゃん』『お姉さん』『お姉様』にゃどと呼ばれ、慕われるその花こそが、にゃにを隠そう声の主。イオラの木の花の長姉ちょうし『イサベラ』にゃんにゃ。

 いざとにゃれば、一時的に花から霊体を分離。ミーにゃんのように妖精としても活動出来る。とはいってもにゃ。寿命は三カ月で、尽きれば落ちて土とにゃる。ここら辺りは妹らの花とにゃんら変わらじ。たにゃイサベラにゃんの記憶そのものは、ちゃあんとイオラにゃんが預かっていてにゃ。半月後ぐらいにゃろうか。枝のおんにゃじ場所に出来るつぼみへと受け継がれる仕組みとにゃっている。にゃもんで花が開いた時には、妹らみたいに、『初めまして』ではにゃく、『ただいま』。若々しいにゃがらも記憶がそのままの『帰ってきたイサベラにゃん』とにゃるのにゃ。


《ワタシも、お姉ちゃん、ってことで》

《無理にゃん。悪いことはいわにゃいから、ぶりっ子はやめにゃさい》


 ミーにゃんが花の妖精にゃのに遊び回っていられるのも、『たまには息抜きしないとね』との理由からイオラにゃんが時折『精霊の回廊』を通ってどこぞへと行けるのも……(とはいってもにゃ。本体そのものが移動出来るのはイオラの森の中にゃけ。にゃもんで、自分の影を造って、それに心をつめて送り出しているのにゃん)……、みぃんにゃ留守を預かるイサベラにゃんが居ればこそにゃ。しっかり者にゃのにゃん。


《イサベラちゃん。恩に着ます。感謝します。未来永劫頼みます》

《おっ。にゃんかいつににゃく殊勝にゃん。

 と思ったら、やっぱ最後は厚かましいのにゃん》


「でもイサベラぁ。ほら、モワンが眠っちゃう」

「しょうがないじゃない。ミアンちゃんさんはネコなんだから。

 あんただって、もう幼児期を二百年もの間、生きているんでしょ?

 他にも友だちは居るんだし、そんなに、おろおろ、していないで、さっさと遊びに出かけたら?」

「へぇ。イサベラが遊びに行くことを勧めるなんて珍しいわん」

「妹たちのお喋り以上にやかましくして欲しくないだけよ。特に今時分は」

「そういえばさぁ。ここ数日、急に朝が弱くなった気がするけどぉ。大丈夫わん?」

「枯れる時期が近づいてきた、ってことかしらね」

 姉妹の会話が続く中、ウチのまぶたは再び重くにゃってきた。当然、聴きたくても耳に入らにゃくにゃってくる。しばらく、うつらうつら、したあと、にゃんとか聴こえたのは。「あんたは花の妖精だから、ここに居る妹たちを守るのがお務めなんだけどねぇ。

 まっ。児童期になるまではイオラとアタシ様が守っていてやるから。どこへなりと行っておいで」

「でもやっぱり、モワンが……。

 ああっ、いつの間にか完全に目を閉じてしまっているのわん!

 ダメダメ。早く起きるわん。モワン! ねぇ、モワンったらぁ!」

「ミーにゃん、春眠暁を覚えず、とかいってにゃ……」

「んもう! 寝ぼけまなこで、なにわけの判らないことをいっているわぁん!」

 長姉のいうことも、にゃんのその、で喚き立てるミーにゃん。

「やれやれ。この子ったら」

 イサベラにゃんのぼやきが聞こえる中、イオラの木からミーにゃんの姉っぽい顔が、ひょっこり、と。

「あらぁっ。

 ミーナちゃんったら、朝っぱらから、なにわけの判らない大声を張り上げているの?」


『イオラ、ナイス突っ込みぃ!』


 イサベラにゃんの声にシンクロするかの如く、イオラの木に咲く花が一斉に囃し立てたのにゃ。

(相も変わらず、賑やかにゃことにゃん。……ああふわあぁぁんにゃ)

 ネコは睡魔には勝てにゃい。ということで我知らずウチは夢の世界へ。にゃもんで、このあとミーにゃんがどれほど喚いたか、イオラにゃんやイサベラにゃんや他の花がどれほどツッコミを入れたか、にゃんて……知る由もにゃい。


《ツッコミ合戦、なかなか面白かったわよぉ。

 ミーナちゃんが念動霊波を使ってね。『えいやぁ!』ってやったところなんか特に》

《にゃあ、イオラにゃん。それってひょっとして、ウチが目を覚ました時、木の枝に引っかかってたのと、にゃんか関係があるのにゃん?》


 寝足りにゃい分を寝たにゃけであって、『ちょい寝』ぐらいで目が覚めたのにゃ。

「早く早くぅ」

 急かすミーにゃんの言葉に促されるが如く、湖の広場を抜けたまでは良かったのにゃけれども……。待っていたのは、

 ぼっががぁぁん!

 例に寄って例の如く、『悪夢』にゃった。

(起きているのに悪夢とはにゃあ)

 そして今に至る、というわけにゃん。


《まぁなにが起こったのかしら?》

《にゃからいっているじゃにゃいの。例に寄って例の如し、にゃ》


 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

 ここはおなじみ『遊びの広場』にゃ。でもってウチらが転がっているところも、『自分らのホームグラウンドにゃ』と勝手に決めた、『遊び場』にゃん。あいにくと、今は焼け野原状態。例に依って例の如く、親友の興奮度を表わす『大変だわぁん!』の爆発を食らってしまった結果にゃん。

「本当、ミーにゃんにも困ったもんにゃあ」

 自然に優しくにゃいにゃけじゃにゃい。ウチらにしてもおんにゃじにゃ。『大変だわぁん!』のたんびに霊体の身体をぶっ壊されるのにゃもん。たまらにゃいのにゃ。

「あぁあ。折角、毛繕いしたばっかにゃのにぃ」


《安心して、ミアンちゃん。ここはイオラの森。ワタシの森よ。柔になんか育てた覚えはないわ。どんな焼け野原になろうと、一日も経たずに元の姿に戻っちゃうから》

《あんたが育てたのにゃん?》

《育てたっていうか……。

 親はなくとも子は育つ。ほったらかしにしたほうが強くなるのよ。

 イオラの森もミーナちゃんもミアンちゃんも他の生き物も》

《ウチらも?》

《毎度毎度、ミーナちゃんの自爆弾を食らいながらも、ぼやきとか、あと抗議ぐらいで済ませているじゃない。強くなっている以外の何物でもないわ。

 ワタシは確信したの。ワタシの教育方針は間違って》

《いたと思うにゃ。にゃって、よそ様に迷惑をかけているのは間違いにゃいもん》

《くくぅっ。痛いところを。一番強くなったのはミアンちゃんかもね》

《おかげさまでにゃ》



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