第一話『巨大にゃものが飛んできたのにゃん!』のその①
第一話『巨大にゃものが飛んできたのにゃん!』のその①
「では、これでお別れでぐし」
「またいつか逢おうにゃん」「またいつか逢いたいわん」
イオラの木を背にしてウチとミーにゃんが感慨深げに見送る中、ヨモギ団子の串、パンにゃんは、ここへ来る前とおんにゃじ、『自分探し』に旅立ったのにゃん。
《ねぇ、ミアンちゃん。いつか、っていつなの?》
《いつかにゃん》
『ヨモギ団子の串が求める自分とはにゃんぞや?』
にゃあんか哲学的発想を見出せそうにゃ命題ではあるもののにゃ。ネコにはどうでもいいこと。それよりもにゃ。ぴょんぴょん、と弾けるようにゃ足取りで去りゆく後姿がもたらす哀愁。こっちのほうが、ひし、とウチの胸を打つのにゃん。
(まさかにゃあ。一本の串にこれほどまで心を動かされるにゃんて)
知らにゃい自分を垣間見た思いにゃ。
《ええと、にゃんでウチのお腹を撫で回しているのにゃん?》
《ミアンちゃん、大丈夫なの?
ごめんなさいね、気がつかなかったわ。まさか串を胸に打ち込まれていたなんて》
《そんにゃ誤解を生むようにゃ話にゃった?》
「行っちゃったにゃあ」
「うん。行っちゃったわん」
「ふぅ」
「どうしたわん? ため息なんかついて」
「にゃんというか、そにょぉ。
冷たい風に、すぅっ、と身体を撫でられているようにゃ、そんにゃ心持ちにゃん」
「さみしいの? そりゃそうわん。結構、長いこと居たもん」
「うんにゃ。特に首筋がにゃ」
「あのね……。それはマフラーがなくなったからなのわん!」
「いんにゃ。そうとばかりはいえにゃいのにゃ」
口やかましいのに加えて上から目線にゃ物言い。にゃもんで、うざいにゃ、と思うことも、しばしば、にゃったのにゃけれども……。
振り返ってみれば、いろいろとお役に立ってもらえたのにゃん。度重にゃる奇っ怪獣との死闘……(いんにゃ、違うにゃ。『笑闘』にゃ)……も然り。感動……(これも違うにゃ、『お笑い』にゃ)……の救出劇もまた然り、にゃん。
「今、天空の村がこうして無事にゃのも、みぃんにゃ串にゃんのおかげかも。
居にゃくにゃって初めて、その存在の大きさに気づかされた、といったところにゃ」
「そうね。否定は出来ないわん。
もし、パンが居なかったら……って、そういえば」
「どうしたのにゃ? ミーにゃん」
「今ふと気がついたんだけどぉ。
ねぇ、モワン。これでもうモワンは、にゃあまんには二度となれないんじゃないの?」
「いいんじゃにゃい? 天空の村は平和にゃし、ウチも平和が好きにゃもん」
「でもさ。もしも、もしもよ。天空の村やイオラの森にまたなにかあったとしたら」
「大丈夫にゃよ」
「うん?」
「イオラにゃんも居るし、ミーにゃんも居る。ミーにゃん同盟の他の友にゃちにゃって、いざとにゃれば、それ相応に力を発揮してくれる。にゃあんにも不安はにゃいのにゃ」
《そうかしら。ワタシが居るから不安、って、はるか昔、誰かからか、いわれた記憶が》
《あのにゃあ》
「モワンも居る、でしょ?」
「ウチ? そうにゃにゃあ。まっ、当分の間は遠慮するにゃ。にゃって、にゃあまん様の『孤独にゃ闘い』で身も心も、ぼろぼろ、にゃもん。まずは自分を癒すのに専念しにゃいとにゃ」
「孤独って……。闘っている間、パンと一緒だったんでしょ?」
「向こうはアドバイスか文句をいってくるにゃけ。
実際に闘っていたのはウチにゃけにゃもん」
「それもそうかぁ。なら、『モワン、今までお疲れ様でした』ってとこかな。
でもさ。ふふっ。本当のところは、のんびりとしたい、っていうだけじゃない?
違うわん?」
「そりゃあにゃ。ネコにゃもん。しょうがにゃ……。
ふわふわ、ふわあぁぁんにゃ」
べたぁっ。
「どうしたの? いきなり、うずくまって……うわぁっ。
ちょ、ちょっとぉ。おネムしちゃダメなのわぁん。
んもう、起きたばぁっかしなんだからぁ。アタシと一緒に遊ぶわぁん」
「ふにゃ? ミーにゃんが百にんも居るのにゃあ。にゃは。面白……い……」
「寝ぼけまなこで、なにわけの判らないことをいっているわん。
あっあっあっ。まぶたが今にも閉じそうなのわん。
開けて開けて! ほらほらぁ。もっとしっかりと開けるわぁん!」
すぅっ、とおネムに入っていけそうにゃ感じ。にゃのに耳元でにゃにやらざわめいているのにゃ。でもって、右目のまぶたが引っ張られている気もするのにゃ。
(ミーにゃん。寝るのを邪魔するのも、ネコ(寝子)を起こすのとおんにゃじくらい、罪深いことにゃんよ)
夢うつつの中で非難するウチ。
《百にんも! あの子ったら、いつの間に分身の術が使えるようになったのかしら?》
《どうしてそんにゃ風に思うのにゃん?》
と、ここで頭上から朗々と響き渡る声が。
「こら、ミーナ。朝っぱらから、むやみやたらと騒ぐのはおよしなさい」
ウチのそばで喚いていたミーにゃんが、いや、ミーにゃんにゃけじゃにゃい。イオラの木に咲くお喋り好きにゃ花らでさえもが、みにゃ揃って、しぃぃん、と静まり返り、耳を澄まさせてしまうほどの威厳ある語気。それを耳にしてウチも少しばかり、現実へと引き戻されたのにゃ。
《えっ。これってひょっとして?》
《そうにゃ。物語的には、『天空の村』『にゃあまん』を通して初登場。
縁の下の力持ち、のようにみえて、実は、堂々の主力キャラ、のお出ましにゃん》