プロローグ『一気に解決! お悩み相談室にゃん!』のその③
プロローグ『一気に解決! お悩み相談室にゃん!』のその③
残るはふたりにゃ。
「お次の方ぁ! 来るのにゃあ」
「はい」
今度の相談者はミストにゃんにゃ。
そっけにゃい返事。元々、口数が少にゃい女の子にゃ。とはいえ、喋る時は喋るから、気にするにゃけムダというもの。
ミストにゃんも翅人型霊体。霧の妖精にゃん。髪は黒色で、髪は首にかかるか、かからにゃいぐらいまでの長さ。前髪は真ん中から左右二つに分けている。身体は紫がかった白い色にゃ。二枚翅は紫の地に光沢のある水色の帯が走っていて、霊服は紫一色。紫ずくめにゃん。
『わたしは謎めく冷たい女の子』『わたしは破壊神』『わたしは神秘が生んだ女の子』にゃどのキャッチフレーズを次々と生み出しては、自分をそれらしく装うとする。普段、愛想のにゃい顔をしているのもそれが理由にゃのでは? と勘ぐるぐらいにゃ。でも、いつもダメ。長続きをした試しがにゃい。内気で怖がりな性格にゃのが幸い(?)して親しみやすいキャラとにゃっている。
「ミストにゃんにも悩みがあるのにゃん?」
「失礼ね。わたしにだって一つや二つぐらい。それもかなりの難問がね」
「難問? 普段黙り込んでいるのは、悩んでいたのにゃん?」
「ううん。性格よ。そこは気にしなくてもいいわ」
(紛らわしいのにゃん)
とはいえ、どんにゃお悩みかにゃのかとても気ににゃる。ミーにゃんもおんにゃじらしく、『さぁ早く告るがいいわん』と促している。でもにゃ。ミストにゃんはにゃかにゃか話そうとはしにゃいのにゃ。見れば、喋ろうかどうしようか、と迷っている風。にゃらば、とウチのほうから声をかけてみたのにゃ。
「難問にゃもんでウチにゃんかに相談しても、にゃあんて今一つ踏ん切りがつかにゃい気持ちは良ぉく判るのにゃ。でもにゃ。にゃからといって誰にもいわずに胸に秘めて、というのもどうかと思うのにゃよ。イライラが募るばかりか、それが高じて誰かに八つ当たりしにゃいともかぎらにゃいもん。で、その誰かもイライラして他の誰かに八つ当たり。そして他の誰かもイライラにゃ。とどのつまり、みんにゃがみんにゃ、イライラしてくる。イライラの連鎖が果てしにゃく続くのにゃ。こんにゃ連鎖にゃんて早いうちに断ち切るが常道にゃん。
にゃあ、ミストにゃん。悩みの中には誰かに話したにゃけで、楽ににゃるものもあるそうにゃから、一応、喋るにゃけ喋ってみたらどうにゃん?」
ちぃとばかしでも説得力があったのにゃろうか。無言のままウチをじっと見つめていた相談者の重たい口がやっと開いたのにゃん。
「それも一理あるわね。
じゃあ、話すけど、難問は『ミリア』なのよ」
ぶるぶるっ。
今の一言で反射的に震えたウチの身体。見れば、全身の毛も逆立っているのにゃ。
(もはや話を聴くまでもにゃい。手に負えにゃいどころか、下手にかかわると、ウチが今まで築いてきたささやかにゃ平穏さえも打ち破られかねにゃいかもしれにゃいのにゃ)
頭に浮かぶが『予感』にゃらば、全身を貫くは『悪寒』。
ウチの大大大失敗にゃん。『どうして、「話したくにゃいにゃら、それでも構わにゃいにゃよ」といわにゃかったのにゃ』と後悔すること頻りにゃ。正直にゃところ、もうこれ以上、にゃにも聴きたくにゃい。許されるものにゃら、『あとはミーにゃんにお任せするのにゃん』といい残して、どこか安息の地へと、とんずらしたいところにゃん。
……しかしにゃがら、ウチには出来にゃい。出来るわけがにゃい。どうしてかといえばにゃ。『ウチを相談員にした理由』を尋ねた際、ミーにゃんが口にした返事を今もはっきりと覚えているからにゃ。
『それだけモワンを頼りにしているってことよ。モワンはアタシにとってかけがえのない親友。家族も同然の間柄だわん。きっと出来る、やってくれると信じているの。期待しているのわん』
『頼りにしている』『信じている』といってくれた親友をウチが裏切れるはずもにゃい。
(ミーにゃんも話の先を聴きたがっているみたいにゃしにゃ)
にゃもんで、『はい、パス』というのを、ぐっ、とこらえて、何気にゃさ風に尋ねたのにゃん。
「ミリアにゃんがどうしたのにゃ?」
「時折、霧の都へやって来るの。でね。ワタシと目と目が合った途端、『なにそれの同好会を造りましたので是非、ご参加を』ってすがりつかれちゃうのよ」
「ふにゃ? やって来るって、そんにゃ簡単に入れたっけ?」
「ううん。入れっこないの。本来、霧の都によそ様が入るのは困難なはずなのよ。なのに現われる。いいわけも、『どこそこへ行こうとしたら迷ってしまって、気がついたらここに来てしまいました』と、もうこればっか。続けて、『ここであったが百年目。是非、私と』って強引に誘いをかけてくる。もうたまらないわ」
(いつもの『やってみたら出来ちゃったんです』の亜流パターンかもにゃ)
ミストにゃんの相談はいつしか、お得意の愚痴話とにゃっていた。
「こっちが『遠慮するわ』って振り切ろうとしても、てんでダメ。『そこをなんとか』って、そりゃあもうしつこく食い下がってくるの」
「ひどいもんにゃ。ミストにゃんも大変にゃあ」
「ミストんって、アタシたちの知らないところでミリアんの被害に耐えていたのね。
全くもって同情しちゃうわん」
ウチとミーにゃん。口々に慰めの言葉をかけたのにゃ。
でもって顔を見合わせて、にこっ、とした……のは内緒の話にゃ。
(話してみて初めて判る、よそ様の苦悩と自分らの幸せ、ってとこかにゃ)
「ひどいのはまだまだ。わたしだけならまだしも、ドナを始めとする仲間全部にまでお誘いをかけてくる始末なの。おかげでやりたいことがあっても、やらなければならないことがあっても、手をつけられない。みんな、大迷惑よ。とどのつまりが、『あなたの友だちでしょ? だったら、あなたがなんとかしなさい』って、こちらにも火の粉が飛んでくるありさま。まさに踏んだり蹴ったり、ってとこね。
ねぇ、ミアン。あれって本当に、どうにかならないのかしら」
「どうにか、っていわれてもにゃあ」
(これは難問中の難問にゃ。とてもウチにゃんかに答えは……いや、待つのにゃ)
これは、ちぃとばかし前の話ににゃるのにゃけれども……、『霊華作戦』にゃるモノをミーにゃん同盟のみんにゃで実行したことがあったのにゃ。マグマにかかっている霊圧を霊力に変えて、お空へと放つという、にゃんとも奇抜にゃ作戦にゃ。
ウチが想い出したのは、作戦の要である霊力の通り道、『霊穴路』を造っている最中に起きた出来事にゃ。にゃにを血迷ったのか、ミリアにゃんはこともあろうに自分の得意技『無気力波』を、仲間に対して放ってしまったのにゃん。
「にゃあ、ミムカにゃん。確か以前、おイタをしたってことで、ミリアにゃんを『ぷよぷよ水』に浸け込んにゃことがあるじゃにゃいの。
あれって結構、効果があったみたいにゃのにゃけれども」
「そういえば……」
ミストにゃんの目がらんらんと。でもって口元にも、にやり、と笑みが。どうやら、こちらの意を汲みとったみたいにゃ。
「ふむ。やってみる価値は十分ありそうね。
今度ミリアが来たら、ぷよぷよ水でいっぱいになった木の樽に放り込んでみようかしら。上手くいけば、二、三日ぐらいで矯正出来るかもしれないわ」
「その意気にゃよ。ミストにゃん、健闘を祈っているのにゃ」
「有難う、ミアン」
今までに見たことがにゃいくらい、清々しい笑顔にゃ。
(ふぅ。これもにゃんとかにゃったにゃ)
「ってことで、これまた解決にゃん!」
こんこん!
《『ワタシは謎めく優しい女の子』『ワタシは守護神』『ワタシは神秘が生んだ女の子』。
さぁミアンちゃん。ワタシのキャッチフレーズはどれがいい?》
《『ワタシは守護神』でいいと思うのにゃ》
《それぇ? もちょっと変化球を》
《そもそもにゃ。女の子と呼ぶこと自体に、かにゃり無理があると思うのにゃけれども》
《ないわよ。女の子はいつまでも女の子なの》
《そうやって懸命にいい張るところが……ふにゃ、涙ぐんできたにゃ……。
いんにゃ。イオラにゃん。にゃんでもにゃい。にゃんでもにゃい》
最後のひとり。最悪でかつ最凶の問題児が残ってしまったのにゃん。
「ミリアにゃん。こっちへ来てもいいにゃよぉ」
「はい、です。ではお言葉に甘えまして」
すたすたすた……ばたっ!
「痛っ! んもう。なんでこんな石でけつまずくのですかねぇ」
すたすたすた……ばたっ!
「痛っ! んもう。なんでこんな石でけつまずくのですかねぇ」
すたすたすた……ばたっ!
「痛っ! んもう。なんでこんな石でけつまずくのですかねぇ」
「でも来られたじゃにゃいの」
「おや、そうですねぇ」
ふらついたように座るミリアにゃん。ネコ型にしては、ちと情けにゃいお姿にゃ。
ミリアにゃんはネコ型霊体にゃ。身体中が薄緑一色の毛並みに覆われている。目立って特徴あるものといえば……、
(はて? にゃんにゃろう? ネコにゃから真ん丸顔は当然にゃしぃ。あとはこれといって特に……そうにゃん!)
ピンク色の首輪にゃ。先祖伝来の形見とか。フレームの輪っかは念動操作で拡げたり縮めたりが自由自在にゃ。霊技を出す時は真ん丸型レンズ……ちょっと大きめにゃ……のメガネに変わる。フレームが拡がって上昇、目の辺りまで来ると、ぱっ、とレンズが出現。狭まって装着とにゃる。見ように依っては、『ワレワレハ、ウチュウネコダ』とでもいいそうにゃ雰囲気で、ちょっと身を引くほど。もちろん、メガネから首輪へと戻る際も念動操作にゃ。
普段のミリアにゃんは、『おしとやか』で『清楚にゃ乙女』の感がたっぷり。でもにゃ。残念にゃがら見かけと実際とは違うのにゃ。現に今、目の当たりにしている姿からも、ドジっ子らしき匂いが、ぷんぷんと漂ってくる。まぁこんにゃのは序の口で、一番まずいと思うのは、夢想に耽る性格にゃということ。それが高じて、にゃのか、夢想に基づいた同好会、倶楽部、はたまた宗教団体等を考えては、誰彼構わず手段を選ばず誘いにかけるにゃど、迷惑至極にゃ行為に走る。しかもにゃ。自分が必ずトップの『教祖』でにゃくてはにゃらにゃいという、にゃんとも呆れた話にゃ。人もネコも霊体も見かけじゃ判らにゃい、という教訓を示唆するキャラといえるのかもにゃ。
「まぁ聞いてください!
実は……、みんながみんな、おかしいのですよ」
(おかしいのは、あんたにゃ)
《べ、別に、どこもおかしくはないわよ、ワタシは》
《にゃに、どぎまぎ、しているのにゃん?》
ウチが『どんにゃ悩みにゃの?』って切り出す前に発言にゃ。しかも、いささか興奮気味のよう。触らにゅ神に祟りなし、とか。またしても、とんずらしたい気持ちが心にもたげてくる。でもにゃ。ここでもにゃんとかこらえたのにゃん。理由はもちろん、さっきとおんにゃじ。ミーにゃんがウチに語った言葉にゃ。でもにゃ。ひょっとすると、ウチが職務に忠実にゃネコ柄にゃから、というのもあるのかもしれにゃい。
(一応、聴くにゃけは聴いてみようにゃん)
「まぁまぁ。落ち着くのにゃん。それで? にゃにがおかしいのにゃん?」
「私は同好会を造りたいのです。そして、みんなを幸せにしたいのです。ところが……、
誰もが口を揃えたように、『間に合っている』との返事。参加するどころか、同好会の内容さえ、聴こうとはしないのです。これって絶対に変ですよねぇ?
『幸せが間に合っている』って、あり得ないですよねぇ?」
(絶対に変にゃのも、あり得にゃいのも、全部あんたの存在にゃ)
聴かにゃければ良かったのにゃん。まさに、後悔先に立たずにゃ。
(でもにゃ。聴いてしまった以上は答えを返さにゃいわけにもいかにゃいしぃ。
一体どうすれば……そ、そうにゃん!)
天啓の如く、ウチの頭に閃いたのにゃ。……いんにゃ、違うにゃ。
奇跡にゃ。ウチの頭の中に大好物のヨモギ団子が降臨してにゃ。でもって、お告げを賜われたのにゃん。……うんにゃ、こっちのほうがウチらしいのにゃん。
《ヨモギ団子って喋るの?》
《信じる者は救われるのにゃ》
《まぁ。ミアンちゃんもすっかり、ミリアちゃん色に染まっているわね》
《にゃんと!》
「ミリアにゃん。解決したいのにゃらば、霧の都へ行ってみにゃさい」
「霧の都? ミストさんの棲み家ですね。でもどうしてあそこに?」
「神のお告げにゃ。ある神のお告げがあったのにゃ。
まぁだまされたと思って行ってみにゃさい」
「ミアンさんにお告げとは……、どうして私には来ないのでしょう?」
「信心が足りにゃいからにゃ。修行の意味でも行ってくるのにゃ」
「修行ですか……。判りました。行ってきます」
「うんにゃ。良い方向に運が向くと信じているのにゃ」
「はい、有難うございました」
にこっ、と笑顔。立ち去る足取りも軽やかにゃ。
(ミストにゃん、あとは任せたにゃよぉ)
「よぉし、これでおしまいにゃあ!」
こんこん! こんこん!
《いろいろいいたいことがあるけど、やめておくわ。
ミアンちゃん。イオラの森に本物の平和が訪れるといいわねぇ》
《ウチもマジでそう願っているのにゃん》
「ふぅ。やっと終わったにゃあ」
「まだここにひとり居るわん」
そういってウチと向かい合って座ったのは……、身体は赤味がかった白で、背中の二枚翅は黄色味がかった白。でもって短めの髪は水色という、にゃんとも目立たにゃい物静かにゃ、『性格』に反する容姿の女の子にゃ。
《ふふっ。ミアンちゃん。あとでばれたら大変よ》
《にゃら、目立たにゃい物静かにゃ、で正解にゃと?》
《お願い。創造主のワタシまで巻き込まないで》
妖精にかぎらず、翅人型霊体のほとんどが人間の男の子か女の子を小っちゃくしたようにゃ姿でにゃ。胸回りと腰回りを覆う霊服を身に着けているのにゃん。霊服の色は上下とも自由自在に変えられるもんで、妖精の中には『今はちょっとブルーな気分なの』とか、のたまってにゃ。霊服の色で表わす物好きも居るくらいにゃ。
相談者は緑色の霊服を着ている花の妖精にゃ。……にゃあんて回りくどいことを述べ立てるのはこれくらいにしておくかにゃ。早い話が、ずばり、ウチの親友にゃん。
「おや? ミーにゃんまで。にゃにか悩みでもあるのにゃん?」
「あるから目の前に座っているわん」
「それはそうにゃのにゃろうけれども。……で、一体どんにゃ?」
「モワンのこと」
「ウチの?」
「やっぱりね。全然気がついてないわん。
本当ならこんなことはいいたくないんだけど……、
でもアタシはモワンの親友。だから、心を鬼にしていわせてもらうわん」
(にゃんにゃろう? ウチがにゃんか悪いことでもしたのにゃろうか?)
心に暗い影が忍び寄る中、ミーにゃんは悩み事を打ち明けたのにゃん。
「モワンはね。アタシが『モワン』って呼んでも返事をしないことがあるの。
あれは親友としてあるまじき態度よ。是非とも治してほしいわん」
(ミーにゃん、あんたにゃあ)
言葉は相手の心に暗い影を落とすことも光を射すことも出来る、とウチはあらためて知ったのにゃ。ミーにゃんの言葉に依って現われた心の暗い影は、続いて口にしたミーにゃんの言葉に依っていともあっさりと消えたばかりか、心の片隅に隠れていた意識に光が射すまでに至ったのにゃん。
(そうにゃ。ウチにも悩みがあったのにゃ。アホでも悩みはあるのにゃ)
いわれて初めて自覚したのにゃ。
「あのにゃあ」
ミーにゃんの悩みはウチの悩みの裏返し。解決する方法は始めからあるのにゃ。
気がつかにゃいのウチじゃにゃい。ミーにゃん自身にゃ。
これまで何回この言葉を口にしたことにゃろう。
そして何回忘れられてしまったことにゃろう。
(それでもあえていうのにゃ。いい続けるのにゃ)
諦めにゃければ、望みはあるのにゃ。そう信じて今日も明日も叫ぶしかにゃい。
「ミーにゃん!
ウチはにゃあ……ミアンにゃあ!」
「えっ? ……ええと……そうそう。そうね」
戸惑いにゃがらも頷くミーにゃん。
「にゃら治さにゃきゃにゃらにゃいのは誰にゃん!」
「ええとぉ……アタシぃ?」
「ミーにゃん。『アタシぃ?』じゃにゃくて、『アタシ』にゃろう?」
「う、うん」
語気を強めるウチを目の当たりにして、いささか腰が引けた感じのミーにゃん。返した言葉も、いささかびくつき気味にゃ。
「にゃら問題解決にゃ。いいにゃ、ミーにゃん」
こくこく、と頷き続けるミーにゃん。
こんこん! こんこん!
「よぉっしゃあ! 本当の本当に、これにて『お悩み相談室』は終了にゃん!」
《だからね。ワタシも、『はぁい!』》
《にゃからいったじゃにゃい。あんたは守護神にゃんよ。
悩むほうじゃにゃくて、解決するほうにゃん》
《ミアンちゃん。世の中にはね。理屈では割り切れないこともあるのよ。
特にワタシはね》
《あのにゃあ。さっき自分でいったじゃにゃい。『別におかしくにゃい』って。
にゃのに自分から認めてどうするのにゃん?》
《ふっ。忘れたわ。そんな『昔』のこと》
「プロローグが、お悩み相談室、だったとはねぇ。
まぁ内容的には、アタシやミアン、それにミーにゃん同盟のみんなを自己紹介、
みたいな話に終始していたけど、これはこれで良かったと思うわん。
ねっ、ミアン」
「ミーにゃん。のんびりと批評するのはあとにしてにゃ。
イオラにゃんを即刻どうにかして欲しいのにゃけれども」
「それそれ。まさか地の文でお話しているミアンにちょっかいをかけてくるなんてね。
想像もつかなかったわん」
「でたらめにゃん。あそこはウチの聖域にゃんよ」
「諦めるわん。
イオラがやる気まんまんなら、アタシなんかじゃあ手に負えないもの」
「にゃら、誰にゃん? 誰にゃら、手に負えるのにゃん?」
「誰ねぇ……。ガムラはともかくとしてよ。あのイオラを説得出来るなんて、
アタシが知るかぎりでは、ひとりしか居ないわん」
「居るのにゃん!」
「ふふっ。やっぱり、ダメみたいなのわん。だって全然、自覚がないんだもの」
「ミーにゃん。にゃにをいっているのかさっぱりにゃのにゃけれども?」
「でも、そこがまたいいのかもね。
ミアン、大好きなのわん」