第七話『ネコーターで走るのにゃん!』のその③
第七話『ネコーターで走るのにゃん!』のその③
「他に質問は……なさそうね。だったらそろそろ始めるのわん」
ヤカンにゃんが、ぴっかぴっかの細長いモノを口に咥えたのにゃ。にゃんでも、『ホイッスル』とかいう名の笛で、小さい割には遠くまで響くそうにゃ。
(きっと、スタートの合図を知らせるものにゃん)
いよいよ、と気分がイヤが上にも高まっていく。
「時はきたわん!
『大丈夫。君にはワナが待っている!』ゲーム、スタアァァト!」
(ひどいネーミングにゃあ)
がくっ、とテンションが下がりかけた、まさにその時にゃ。
ぷううぅぅっ!
続けて甲高い音が鳴り響いたのにゃん。
にゃおおぉぉん!
ホイッスルの音色に呼応するかの如く、六体のネコーターもまた、一斉に鳴き声をあげたのにゃ。
(ひどかろうがにゃかろうが、やるしかにゃいのにゃ)
無理矢理、自分を奮い立たせるウチ。
「行くにゃよぉっ!」
《実は、この会話もゲームだったの。
題して、『大丈夫。ミアンちゃんにはワタシがついている!』
どう? なかなかなネームングだとは思わない?》
《パクリにゃん》
意気込みはともかく、出だしは、ぐにゃぐにゃ、にゃ。
「ええと、最初は……うんにゃ。これにゃん」
ぷちっ。
『歩く』のボタンを押した途端、ネコーターは足を上げて、ずんずんずん、と歩き始めたのにゃ。他のみんにゃもタイミング的には一緒にゃったのに違いにゃい。横一列の並びのまま、スタート地点をあとにしたのにゃん。
様子見にゃのか。それとも、仲良く一緒にゴールイン、とでも考えているのにゃろうか。みんにゃがみんにゃ、おんにゃじ程度の速さ。あくびが出てしまいそうににゃるくらいの、のぉんびり歩きにゃん。
「ねぇ、ミアン君。ヤカン君の話じゃあ、この道の終わりにゴールがあるってことだったけどさぁ。ほら、あれをごらんよ」
「ふぅぅむ。にゃんとも良ぉく判らにゃいのにゃあ」
ずぅぅ、と向こう、水平線の彼方が、『見せてにゃるもんか』といわんばかりに白っぽく輝いているのにゃ。それに吸い込まれるように道路が続いているもんで、ウチらの運命も道路とおんにゃじに先が全く見通せにゃい。
(にゃんとも不安にゃ)
きっと、みんにゃも、と思っていたら、どうしてどうして。友にゃちの反応は実にさまざまにゃ。
「強敵が潜んでいるのかも知れないよ。いきなり現われてさ。『うぎゃあっ!』とか叫んで、鋭い牙に咬みつかれたりして」
ウチの不安に拍車をかけるミクリにゃん。にゃのに自分自身はにゃんか楽しげ。
(闘う気まんまんにゃ)
「神秘のベールに包まれているわね。まるでワタシみたい」
ツッコミにくい言葉を吐きにゃがら、ほおを赤くするミストにゃん。
(赤くにゃるぐらいにゃら、いわにゃきゃいいのに)
「興味がそそられますですよぉ」
目を、らんらん、と輝かせるミムカにゃん。
(さすがは自称『森の妖精』にゃ。怖れよりも好奇心が勝るとみえるにゃん)
「オレとしては自分の進む道ぐらい、視界良好であったほうがいいが」
腰を引いたようにゃお喋りのミロネにゃん。
(うんにゃ。我が意を得たりにゃ)
「神様です! きっと神様が降臨なさろうとしているのです!」
(うんにゃ。いつも通りのミリアにゃんにゃ)
みんにゃの様子に、気が静まりかけた、のにゃけれども。
「神様あぁぁっ!」
感極まった、といった様子で、ミリアにゃんのネコーターが駆け出したのにゃん。
「ちょ、ちょっと待つのにゃん!」
声をかけるも、とまる気配は皆無にゃ。『にゃにを血迷って』と呆れる中、道路が点滅を始めたのにゃん。
「ワナの発動にゃあ!」
突如、前方の路上から、霧のようにゃ白っぽいものが、ぷわぁっ、と噴き出してきた。にゃもんで、あっという間にミリアにゃんの姿は視界から消えたのにゃん。
「にゃんにゃの? あれは」
目をこらすうちに白っぽいものが薄れていく。
そして白っぽいものは消えたあとには……、
にゃんと、ミリアにゃんもまた消えていたのにゃ。
「霧にミリアにゃんがさらわれたのにゃん!」
思わず、ネコーターをとめるウチ。続くようにみんにゃも。
「いや、違うな」
即座に否定したのは、いうまでもにゃくミロネにゃん。気がついたら、ウチとミクリにゃんの間に割って入っていたのにゃん。
「にゃんで違うの?」
「ミリア殿ならあそこだ」
「あそこって……にゃ、にゃんと!」
指差すほうに目をやれば、道路の右側に拡がる海面の一角で、ぷかぷか、と浮かぶ『4』番のネコーターが一台。でもってその背中には乗り手のミリアにゃんが、べったり、と張りついていたのにゃん。
無事が確認出来て、ほっ、とするウチのかたわらでは、『もちっと気遣ってあげたらどうにゃの?』ってお説教したくにゃるくらい、どうしようもにゃい声が立て続けに聞こえてきたのにゃん。
「なぁんだ。もう、ひとり脱落なのぉ」
ミクリにゃんがぼやけば、
「ほんのわずか進んだだけでこれとは。ふぅ。先が思いやられる」
ミロネにゃんもぼやいたのにゃん。
《ミアンちゃん。今の今まで聴いたことがなかったのだけれど》
《にゃんにゃの? あらたまって》
《ミーにゃん同盟って仲がいいの? それとも悪いの?》
《とおぉってもいいのにゃん》
《でも、あのぼやきって、ちょっとひどくないかしら?》
《ミリアにゃんって、仲間内でも別格にゃ存在にゃんよ。性格も力も。
おしとやかさがある反面、どんにゃ事態に巻き込まれようとも生き延びる、みたいにゃふてぶてしさも持ち合わせている。妄想癖もまたそれに拍車をかけているのにゃ。
以前、『狭界』ってとこへ引きずり込まれたことがあったのにゃけれども、再会してみれば、ぴんぴん、していたしにゃ。
んにゃこともあってウチらの誰もが……ええと、ミーにゃんはちと違うかもしれにゃいのにゃけれども……、『ミリアにゃんにゃら大丈夫』と思っているのにゃ。にゃもんであんにゃ発言が飛び出してしまうのにゃよ》
《そうなの。話には聴いていたけれど、いろいろと大変な妖精なのね》
《うんにゃ。ある意味、イオラにゃんに似ているかもにゃ》
《……ねぇ、ミアンちゃん。それってどういう意味かしら?》
ウチには今一つ判らにゃいことがあるのにゃ。
「にゃあ、ミロネにゃん。
ミリアにゃんは、あの白っぽいものに、にゃにをされたのにゃん?」
ウチに続いてミクリにゃんも、
「そういえばそうだね。一体なにがあったの?」
言葉を添えるように声をかけたのにゃ。他のみんにゃも気ににゃったとみえ、『さぁ聴かせて』といった態度で、ミロネにゃんを囲むように集まったのにゃん。
ウチらの視線を一斉に浴びた友にゃちは期待を裏切らにゃい。
でもって口からこぼれた言葉は、
「目くらましだ。アレ自体がなにかをしたわけじゃない」
「というと?」
ミクリにゃんもウチと一緒に身を乗り出したのにゃ。
「オレの霊視で確認した。アレに包まれたと同時に、ミリア殿のネコーターが踏みつけた路上に穴が開いたんだ。真っ直ぐ、じゃなくて、斜めに掘られたような穴だ。あまりにも急な事態だったからだろう。ミリア殿はお手上げ状態のまま滑り落ちて、海面へと、どっぼぉん! 気の毒なことだ」
「だから、消えたように見えたんだね」
「そんにゃもんが仕掛けられていたにゃんて」
「いざとなればジャンプで回避するしか手はないが……、
どうやら、必要なさそうだ。ワナは解除されたようだから」
ミロネにゃんのいう通りにゃった。足元を見たら、黄色い点滅が終わっていたのにゃ。
「とはいえ、いつ何時、ワナが発動するかしれない。
先を進むのであれば、常に注意を怠らない心構えが必要だ」
「だね」
ミクリにゃんの言葉に続いて、みんにゃがみんにゃ、頷いたのにゃん。
《穴に落として姿を消させる……。なんてノスタルジックなのかしら。
これぞまさに伝家の宝刀、野球盤『消える魔球』ね》
《にゃにそれ?》




