第五話『ヤカンにゃんのお願いを聴いてみようにゃん!』のその①
第五話『ヤカンにゃんのお願いを聴いてみようにゃん!』のその①
おやつが終わると、みんにゃがみんにゃ、自分らの選んにゃ座席に着いて、ほっ、と一息にゃ。お腹が『余は満足にゃ』とのたまっていることもあって、眠気もひとしお。他のみんにゃも気分はおんにゃじとみえ、目を瞑って椅子にしゃがみ込んでいるのにゃん。もちろん、解決しにゃければにゃらにゃいことが、たんとあるのは百も承知。でもにゃ。いかんせん、この状態ではどうにもにゃらにゃい。
(あとのことはあとのことにゃ)
しばし眠ろうと、まぶたを下ろしかかったまさにその時にゃ。
ばんばん! ばんばん!
「さぁみんなぁ。お茶タイムも終わったことだし、そろそろアタシのお願いを話してあげるわん。なもんで耳の穴をかっぽじいて有り難く拝聴するのわん」
しぃぃん。
言葉が終わるのとほぼ同時に、ぐらいにゃろう。ウチのまぶたは完全に閉じられたのにゃん。夢うつつの中、にゃにかを叩く音や大っきにゃ声らしきものが耳に届く。でもにゃ。現実に起きていることにゃのか、あるいは夢の中の出来事にゃのか、それすらもさっぱりにゃん。にゃんにゃんと子守唄にまで聴こえてきて、我知らずのうちに深い眠りの中へと誘われてしまったのにゃん。
《ミアンちゃん。いっつも思うんだけどね。無防備な姿で眠っていちゃ危険よ》
《ここは精霊の間じゃにゃいの。誰が襲ってくるというのにゃん?》
《決まっているわ。ワタシとミーナちゃん》
ばがん! ばがん! ばがん! ばがん! ばがん! ばがん!
あれから……多分、そう時間は経っていないはずにゃ。気がつけば、ウチを含むミーにゃん同盟のみんにゃが壁に張りついていたのにゃん。
「どう? 眠気は吹っ飛んだのわん?
……って、一体アタシはなにをしているのわん?」
声のするほう……真ん前にゃ……に目を向ければ、ぱたぱた、と翅を羽ばたかせにゃがら首を傾げている妖精の姿が。
(どうやら、さっきのウチの見立ては当たっているようにゃ)
あの身体って、ヤカンにゃんの意志とミーにゃんの意志が混在しているのにゃ。にゃもんで言葉の前半と後半が、ちぐはぐ、とにゃってしまうのにゃろう。
ミーにゃん、そんにゃ奴に負けてはいけにゃいのにゃよぉ。
《ああ。今、はやりの『ハイブリッド』って奴?
でもあれって、一つのものよりも当然、複雑になるから、いろいろと問題を起こしやすいんじゃないかしら。メンテナンスだってきっと難しくなるわよね》
《どこからそんにゃ言葉を覚えたのにゃん?》
「全く困っちゃうよなぁ」
ぼとっ。
声と物音がしたほうを振り向いたら、床に四つ足で立っているミクリにゃんの姿を見つけたのにゃ。
「これは『妖力爆風波』だね。ヤカン、っていったっけ。あいつ、ミーナ君を操りながら、彼女の力をいろいろと学習しているんじゃないかなぁ」
「それはどうにゃろう」
ウチも壁から、ひらり、と飛んで足を床に。話し声で目を覚ましたのにゃろう。続いてミストにゃん、ミリアにゃん、そしてミムカにゃんも壁から離れたのにゃん。
ミロネにゃんは……ダメにゃ。まにゃ、ぐったり、としたままにゃん。
「さっきから見ているとにゃ。ヤカンにゃんの自覚にゃしに身体が動いているみたいにゃのにゃ。これはきっとミーにゃんの意志が働いた結果にゃん。二体結合しているのにゃもん。あり得にゃいことではにゃいと思うのにゃ」
「ヤカン君がミーナ君を抑え切れていないってことかぁ。
でもさ。それが本当だとすると、どうしてミーナ君の意志は、ボクたちを壁に叩きつけたりするんだい?」
「ほら、ミーにゃんって短気にゃところがあるじゃにゃいの。自分を助けずに、ダラッ、としているウチらを見て、イラッ、としたのにゃよ。それで」
「妖力爆風波ってわけだね。ダラッにイラッか。他の妖精なら、まさか、って思うところなんだけど、ミーナ君ならやりかねないなぁ。なにしろ、いつもがいつもだから。
ねぇ、みんな」
ミクリにゃんが後ろを振り返ると、他の友にゃち三にんも揃って、こくり、と頷いたのにゃん。
(毎日が日曜、じゃにゃい。『大変なのわぁん!』の爆弾落下にゃもんにゃあ。
無理もにゃい、というか、当然にゃのかも)
親友が信用されている、と喜ぶべきにゃろうか。はたまた、迷惑がられている、と悲しむべきにゃろうか。ウチとしては、迷う時はいいほう、と決めてあるのにゃ。にゃもんで、『まぁ前者にゃろう』と当たりをつけることにしたのにゃん。
《どちらかといえば、迷惑がられているんじゃないかしら?》
《にゃんでそう思うのにゃ?》
《気にしないで。悠久の昔、そうだった大精霊の話だから》
「で? ミアン君。これからどうするの?」
にゃあんにも考えていにゃさそうにゃミクリにゃんの発言。『いいにゃあ』と羨ましく思うものの、悲しいかにゃ、今は羨ましがってはいられにゃい身にゃのにゃ。
「ふわああぁぁんにゃ」
ウチは床に四肢を伸ばして首をすくめると、大っきにゃあくびをしたのにゃん。
ううんとぉ。眠気もさっきよりは薄らいでいるのにゃあ。
ええと、ウチがにゃにをやりたいかといえば……、
先ずは、ミーにゃんを取り戻すのにゃ。
次に、館には、ここから立ち去ってもらうのにゃ。
でもってあとは……そうそう。ケーキをごちそうしてくれたことに感謝するのにゃ。
……ぐらいかにゃ。
ヤカンにゃんは先ほど、『特別の温情をもってなんとかしてあげてもいい』とかいってたにゃ。ということは、『どうしたらミーにゃんを返してくれるか?』をこれから話そうとしているのかもしれにゃい。とにゃればにゃ。四の五のいわずに……。
「拝聴するか、ミアン殿」
「ふにゃ?」
いつの間にか、ミロネにゃんも床に下りていたのにゃん。
でもって、
いつの間にか、心を読まれていたのにゃん。
《ふと思ったんだけど、
『心を読まれた』なんて良く聴くけど、『心を書かれた』とかは聴いた覚えがないのよ。
どうしてかしら?》
《どういう意味にゃん? 『心を書かれた』って》
《なるほどね。その問題を解決しないかぎりは、誰も口にしないわね》
ヤカンにゃんのお喋りが始まったのにゃ。
「話というのは他でもないわん。アタシをこの館から開放して欲しいのわん」
声色は違うのに、口調はミーにゃんのまま。違和感を覚えずにはいられにゃい。
でもにゃ。今はそれを気にしている場合じゃにゃいのにゃん。
「開放? どういうことにゃん?」
「話せば長いことながら、聴けば短い物語、って奴でね」
「どっちにゃん?」
「どっちでもいいわん。そんなことよりね。実は」
真実かどうかは別としてにゃ。ヤカンにゃんの話に依ればぁ……。
妖魔とは常に自分の力を高めたいと願うものでにゃ。それを手っ取り早く実現する方法が、自分以上の力を持つ妖魔に闘いを挑むことにゃ。勝てば、相手の力を奪って同等に。相性次第ではそれ以上にもにゃれるのにゃん。たにゃ、もし、負けたとしたら……逆とにゃるわけにゃ。そしてヤカンにゃんの身にもそれが起こった。ヤカンにゃん自身に全然その気がにゃかったのに、カイラにゃんとかいうおんにゃじ妖魔女の計に引っかかって無理矢理闘わされたのにゃ。当時は名の知れた霊刀に宿っていて、霊力のレベルそのものは相手よりもまさっていたのにゃけれども、妖魔同士の戦闘経験に乏しかったヤカンにゃんは、あえにゃくダウン。宿っていた刀を奪われたばかりか、この館を維持する守役として寄生させられた、いや、封じ込められてしまったのにゃん。
《ミアンちゃん、いざ勝負!》
《にゃら、いくにゃよぉ。じゃんけんぽん!》
《く、悔しい。信じられないわ。このワタシが敗北を喫するなんて》
《あのにゃあ。『ちょき』の姿をもって挑んにゃ時点で負けと思うのにゃけれども》




