君がとなりにいたのなら
翌年もその翌年も、蛍をみにいった。
雇われ案内人となることも少なくない。
「すっごく、綺麗だった~。」
「だね。」
「蛍、みたの、生まれて初めて。」
「へえ、そうなの。」
「ゲンジとヘイケってこんなに違うんだね。」
「違いのわかる大人になれたかな。」
この時は、ニックネームの自分。
こんなふうに賑やかな蛍鑑賞もキラいじゃあないけど。
7月に入ると、周りの蛍の熱も一気に冷めてしまう。
もう、蛍のシーズンは終わったと思っているのだろう。
7月の終わり。
1人で静かな夜のトレイルを押し進み、蛍スポットへでかける。
もちろん、誰もいやしない。
静かな空間に自分ひとり。
蛍が飛び交う。
この時は、本名の自分なんだろうか、それともニックネームの自分なんだろうか?
そんなの、どうでもいいことか。
時に輝きを増し。
時に消えてしまいそうになり。
時に奥深いところから浮かびあがってきて。
蛍の光は、まるで思い出のよう。
静かな空間で、ずっとずっと蛍を眺めていた。
君がとなりにいたのなら。。。
そして、蛍の光は、時に幻想を抱かせる。
君とみた蛍。。。
静かな空間で、蛍を眺める君をずっとずっと眺めていた。