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第14話 レイナの教え

「この薬草は夕方に花が開くから、後でまた採りにくることにして目印をここへ付けておこう。リョータさん。これでいいだろうか?」

「す、すばらしいです」

俺の言葉に晴れやかな笑みを浮かべるレイナ。

「それではその間に、先日の群生地へ行こう。そろそろまた生えていると思うんだが、リョータさんどうだろう」

「はい。か、完璧です!」

草木の生育度合いを考えての採取ができれば、無駄に未成熟な素材を取ったりも無くなるし、乱獲してからしてしまうこともない。冒険者にとっても効率良く森の恵みを頂ける。


採り方も「元々武器の扱いに慣れているんだから大丈夫だよ」と褒めて伸ばしたらすごく伸びました。ええ。昨日の買取額でしっかり証明されましたとも!

もう野菜の切り方も薬草の切り方もすごい上手です。

レイナは剣以外にもナイフを使う機会も多々あったのだから、もともと刃物の扱いに関しては専門家といえば専門家だもんな。


「そう、刃筋はこうむけて……手首の角度をこうして……」

そんなわけで俺はレイナの教えを受けて素材の切り取りをしている。

なるほど、手首の角度か。

さすがだなあ。

でも、レイナへの素材採取講習を引き受けたのだ。

俺もいいとこ見せなくちゃ。

珍しい物は無いか、といつも行かない森の奥へ少しだけ行ってみた。



「リョータ。右前方に魔物!」

レイナが叫ぶ。

「え?」

茂みからダイアードッグが出てきた。

でかくて凶暴な犬だが魔物のランクでは低級だ。

飛び掛ってくる。

盾を掲げたが、ガキッっとすごい音がして俺は体勢を崩した。

「くそっ」

剣を振るが当たらない。

ダイアードッグが咆哮を上げて再び突進してくる。

剣を振るったが、体毛で剣が流れてしまって斬れなかった。

盾にぶつかられて俺は後ろに吹っ飛ばされた。


「任せてくれ!」

レイナは俺の前に出ると剣で一閃。

あっさりとダイアードッグの首を落した。

「大丈夫かリョータ!」

駆け寄って来て俺を抱え起すレイナ。

「いてて。ちょっと転んだだけだ。大丈夫だ。助かったよ。ありがとう。さすがだなあ。あっという間に倒しちゃった」

「怪我がなくてよかった」

ふうっと大きく息を吐くレイナ。

「ごめん」

心配させてしまった。

普通は俺が抱き起こすほうなんじゃないかと思うけど。

レイナの顔が近い。

この紫の宝石のような瞳はきれいすぎてぼうっとしてしまう。


「ぶ、無事でよかった。ダイアードッグは牙が討伐証明部位で買い取りは皮だったな。さっさと処理して移動しよう」

突然俺を放り出し、テキパキと進めていく。

「お、おう!」

俺も手伝ったが断然レイナの方が上手だ。

ナイフでの捌き方に、クリエイトウィータの魔法で血を洗い流し、クリーンで血の匂いも消して移動。

完璧だ。


「魔物の体毛で剣が流れてしまう時がある。叩き斬るようにして打撃を与えるか、突くか、または体毛の生えている向きに注意して逆撫でするように剣を入れるのもいい」

「な、なるほど……」

斬り方か。すごいな。

俺だとダイアードッグを倒すのにももっと時間がかかるし、その後の処理も遅い。

薬草採取も上手くなったし、レイナはやっぱり冒険者として俺より上だな。


「しまった……」

レイナが呟いた。

「どうした、どこか怪我を?!」

「いや。そうじゃない。さっきさんをつけるのを忘れて……お、お尻を叩くのか、生で……」

おいおい。そんなに怖がらなくても。

「あ、あれは緊急時だしいいって。それに、呼び方もリョータでいいよ。もう教えることなくなっちゃったよ。レイナの方が上手だし、明日で依頼期間も終わりだもの」

「そうか、もう2週間たってしまったんだな……」

そういったときのレイナはなぜか少し寂しそうだった。

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