表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/164

第3話 ISDDTだ!

「異世界で最強だ。そして脱DT。略してISDDT(Isekai Saikyou Datu Do T)だ!」

力が漲ってきた。

これが次元を超えた者のパワーか。

よし早速に自分の能力を試そうではないか。


我、大地に立つ!

ブラック企業に勤めて疲労困憊の姿ではない。

自信に満ち溢れた勇者の姿である。

なお、俺の中ではレベルアップ後に赤いオーラを身にまとう予定である。


地面に目をやる。

そうだ。まずはこれだ。

自分の力を試してみよう。

優しい俺はいきなり森の木々を標的にするのはやめておいた。


「フッ……我を召喚した大地よ。その礼に我が力を見せてやろう! はぁぁぁ砕け散れっ!」

俺はしゃがみこみながら地面に向かって拳を突き出した。

超すごい力によって、大地は窪み土ぼこりが舞い上がる!

――はずであった。


ぐきっ。

という音がした。

「――ぐぅいでぇぇぇ」

そのままごろごろと俺よりも強大だった大地を転がりながら涙目で痛めた手首をさする。

「いてぇぇよぉぉぅぅ、ほ、骨が折れたかもしれないぃ」

というか手首どころかやっぱり全身が痛い。

全然強くなっていなかったのである。


「やっぱりそんな上手い話はないよな……」

見上げていた双子の月がぼやけた。

涙があふれた。

チート能力を得ていると思いたかった。

突然のことに不安で独りで、無理にでも強くなっていると思いたかったんだ。

そうじゃなければいったいなんで異世界になんかに俺はトリップしたんだろう。


「知らない夜空だ……」

某アニメのセリフをもじって呟いてみるが、ツッコミを入れる人は居ない。

そして気が付く。

この世界にいる人は誰もこのセリフの元ネタを知らないんだ。

普段ぼっちな俺だったけど、この状況はかなり辛い。

俺は異世界に完全に一人ぼっちだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ