第6話 打ち上げ
「リョータさん。死ぬなよ?」
シグムが心配そうに言った。
「う、うん。頑張るよ」
あんまり自信が無いけど。
2週間の新人講習が終わった。
俺達は冒険者ギルド近くのレストランにいる。
これから初心者講習会の打ち上げだ。
レストランは大きなホールにテーブル席がたくさんあって、たくさんの人が居てとても賑やかだった。
俺は講習の実技は散々な結果だった。
座学に関してはかなりいい評価を貰ったし、素材の採取や扱いは褒められたけど……
ゼールトが真面目な顔して言った。
「あのさ。初日にさ、言ってることはよくわからなかったけど、あの時マジに俺に言ってくれたじゃん。あれがきっかけになったぜ。マジありがとう」
見れば他の子達も頷いてる。
年齢は離れているけど同じ新人冒険者同士だ。
野営とか実地訓練なんかもあって皆とはけっこう仲良くなった。
彼らはここから離れたカラト村の子達で、アンファングで冒険者登録と講習を受けた後は、村に帰って主に魔獣退治の仕事をするという。
彼らは充分にやっていけるだろう。
俺はというと……
「ははっ。ホーンラビットに殺されそうになったヤツ。はじめて見たぞ。講習会が無事に終わってよかったぜ」
「ゾラ先生。それは言わないでー」
だって、跳躍の前にはどうなるかってじっと見てたらぐさりと。
保健の先生、じゃなかった治癒魔法の出来る僧侶さんが着いてきてくれていたので治してもらったけど。
「いいんだよ、冒険者は死ぬのも仕事だ。その分、生きている間は楽しめよ。つまらない死に方するんじゃねえぞ」
ゾラさんの剣は野外実戦講習で見たけれど素晴らしい腕前だった。10年以上冒険者を続けているベテランで、ギルド内でもけっこう人気があるようだ。
「はーい。ビール6つお待たせしましたー」
狐耳の綺麗なウェイトレスさんが両手にジョッキを掴んでやってきた。
ゾラさんが礼を言って受取り、皆にジョッキが配られる。
「では冒険者新人講習お疲れ。冒険者人生にかんぱい!」
「かんぱーい!」
先生の音頭に俺達が唱和する。
俺もジョッキをぐびぐびとあおった。
やがて食べ物が運ばれてくる。
「「おねえさん! お代わり!」」
シグムとゼールトはさっそくビールのお代わりだ。
「ほら。こっちのも食べなよ」
ニーナが俺に手羽先のような料理が盛られた皿を渡してくれた。
感激だ。
彼女が俺に向けて最初に言った言葉は「キンタマついてんのかよ。しめっぞコラ」だったからな。
「ありがとう!」
飲んで食べて、皆で和気合い合いと騒いだ。
しかし。俺の前途は多難。
何せこの歳から冒険者だ。圧倒的に後れを取っている。
「りょーたっち。頑張って強くなったらうちらの村に冒険にきなよ。アタシがいいことしてあげるかもよ?」
魔法使いのアナが言う。
りょーたっち?!
なななななんという愛称だ。おどろいたが、今はそれよりも。
いいことって……ごくり。
ちなみに彼女が俺に向けて最初に行った言葉は「ちょーうける」だ。
「あ。アナのことえっちな眼で見てる」
隣のニーナが笑う。
「そんなことないもん。お、大人をからかうなよっ」
「「きゃはは。童貞のくせにー」」
えっ。何でばれたんですかっ。エスパーですか魔法ですかっ。




