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第21話 リョータ出荷される?!

俺は樽の中に身を潜めて馬車で揺られている。

揺れるし、狭いし、蒸し暑い。

これが市場へ続く道か……

って、俺は出荷されているわけではない。

樽に隠れているのはエクゲートの村人には、俺の存在は秘密だからだ。

俺がマテウスさんの家の方から村に入るのはとてもまずいのだ。


異世界から来たことを打ち明けた時、マテウスさんはなぜすぐに信じてくれたのか理由を話してくれた。

それは俺があまりにもこの世界の常識から外れていたこともあるが、森の中にいたからだ。

あの森の奥には聖なる場所があって、森とその周囲は隔絶された結界地のようになっているそうだ。

森に入るにはエクゲート村の関を通り、マテウスさんの所を通らないと行けない。

マテウスさんは森の番人も務めている。

俺が突然に森の中にいたのは明らかに異常だった。魔物までいた。

これは何か結界を破る特別な方法で侵入したに違いない。

マテウスさんはそう考えた。

さすがに最初から異世界人とは思わなかったが、明らかに変だったそうだ。

あまりにもこの世界のことを知らない。

魔法やポーションに驚いたり、コモン語すら知らなかったり。

一緒に暮してみて俺が全く異なる環境から来ているのがわかった。

魔法使いとしてこれらのことを考えた結果、俺が異なる世界から何らかの理由で転移してきたのではと結論付けた。俺が打ち明けた時は「驚き半分、やっぱりそうか半分」だったそうだ。


決定的だったのは俺がかけていたメガネだったらしい。

この世界にもレンズはある。メガネもある。

しかしそれは物品を鑑定するための魔法がかかったものだったり、不可視の物を見るためだったりといった魔道具なのだ。

俺の殺害現場、じゃなかった。死にかけた戦いの場から回収された遺留品じゃなくて持物。身につけていたメガネから、既におかしいと思っていたらしい。

だってレンズは高い。

そのお金でポーションを買えるのだから。ポーションで視力も治ってしまう。

視力の矯正のためだけにレンズメガネをかけている俺は最初から怪しかったわけだ。

マテウスさんって名探偵みたい。


そんなマテウスさんとじっくり話し合った結果、異世界から来た事は隠すことにした。

ランジュにも言おうか迷ったが、マテウスさんと相談してやめた。

彼女には俺はすごく遠い海の向こうの秘境からきて森に迷い込んだ超絶田舎旅行者ということになっている。

マテウスさんは俺のことは村では内緒にするようにとランジュに言ってくれていた。

どうして森に入れたのかは不明だが勝手に森に入ったとなると捕まるからと。

そこは俺達のせいじゃないと、今は亡きグレイホーンウルフの分も代弁して抗議したいところだが、どうやって侵入したか厳しく問われるのは確実だ。

俺が異世界人だとわかったら、さらに面倒なことになるだろう。

ランジュとマテウスさんも調べられるかもしれない。

ランジュの魔法は既に大魔導士級だ。

もしそれが知られたら。

各国が欲しがる人材だろう。

ランジュを巡って争いが起こるかもしれない。

二人が困難な目に合うかもしれない。

それは絶対に避けなくちゃ。

ランジュがいつかは外に出るとしても、今はまだここでマテウスさんとゆっくり学んで欲しい。

そんなこんなで俺は異世界初の村を全く見ずに通過中だ。


思えばあのグレイホーンウルフも異世界や別の土地から紛れ込んだのろう。あのおかしな霧の中で動物っぽい鳴き声や何かの影を見たけど、世界が重なって混じっていた状態だったんだろうか。そして俺と同じく森に出現したのかもしれない。

さすがにマテウスさんにも原因は不明だし、調べようにも難しい。

「うちに異世界から来た居候がいるんだが、誰か還し方知らない?」

なんて聞けないもんな。

でもマテウスさんなら無理してでも調べてくれそうだ。

だから、絶対やめてといってある。

俺が自分で探しますと。


この世界は広い。

人族以外の種族もいる。

大きな町で人の多いところなら俺が少々変であっても、ど田舎から出てきたって言えば平気だ。

だから俺は遠くの町に行く。


ゆっくりと馬車が止まった。

エクゲートの村から充分に離れたようだ。

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