第15話 決意
このタイミングでまさかの逆夜這いきたっ?!
慌てる俺にランジュは言った。
「こわい夢みたの。あの魔物の」
「……うん。そうか」
なんかごめんなさい。
そうだよな。あれはショックだよな。
俺自身も思い出して冷や汗が出る。
「おにいちゃん……いっしょに寝てもいい?」
うわあそんなのダメだけど、そんな顔で言われたら困る。
「お。おじいちゃんまだおきてるよ……」
ここはマテウスさんだ!
「おじいちゃんに言ったら、いいって」
お爺様公認ですかーって、いや、まて、ただの添い寝だ。
そうだ、ただ一緒に眠るだけだ。
何の問題もな、うわあああ。
マテウスさんが隠れて覗いてる。
マテウスさん、うん、あんたほんとに剣士だったんだな一瞬の眼光鋭すぎー!
「わ、わかりました。ど、どうぞこちらへ」
とにかく一応は許可を得ているというのだから。
「ありがと、おにいちゃん」
ばふっとベッドに飛び込むランジュ。
ベッドのなるべく離れた位置で寝ようとするが。
「おにいちゃん」
ぎゅっとしがみついてくる。
こないだのことは相当怖かったんだろうな。
「だいじょぶです。魔物が出たらおにいちゃんがやっつけてやる所存です」
「だめ」
速攻断られたぞ。
「なして?」
「あぶないから。死んじゃだめ」
俺は、はっとなった。
魔物もショックだったろうけれど、目の前で突然人があんなふうに死にそうになるのもランジュには怖かったのだろう。
「ごめん。大丈夫だよ」
「うん」
しばらく頭を撫でてやると、落ち着いてきたようだ。
「でもランジュが危ない時にはまた助ける」
「うゅ。ありがとぉ。でもぉ」
安心したのかすごく眠そうだ。
「でも?」
なんだろう。
「わたしがぁ。まもってあげりゅ」
守る。
その言葉に俺は今まで感じたことの無いほど心を揺さぶられた。
今まで生きてきて、誰かにそう言って貰ったのは初めてだった。
「ありがとう。ランジュ……おやすみ」
「おやすみ、おにーちゃ……」
そのまますぐに寝てしまった。
「強くならなくちゃ」
剣の修行を頑張ろうと思う俺だった。