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第1話 イケメンリア充どもめ爆裂しろと思ったら、謎の霧に包まれて地震が来て駅の階段からすっころげ落ちて異世界トリップしました?!

初投降です。

更新は不定期かつ間隔が開くと思います。

拙い文章と物語ですが、お読み頂けたら幸いです。

よろしくお願いします。

俺は突然閃いた。


サンタさんってDT(童貞)なのでは、と。


電車からぼけっと窓の外を見ていると、ライトアップされたサンタクロースの看板が見えたんだ。

ああ、クリスマスシーズンだな。サンタさんかあ。プレゼントとかいいなあ、と考えていた。

彼女が居たらなんてことは考えないようにしている。

そして俺は重大なことに思い至った。

サンタさんってもしかして凄いDTかもしれないと。


だってだ。外国の子なんて成長早いし、もしサンタを信じてる金髪碧眼美少女がネグリジェみたいなの着てて。そんで、寝相が悪くておへそがちらっと出してたら……俺だったら、これこれ風引くぞーなんて布団をかけなおす前におへそをガン見しちゃうかもしれない。いや、したい。となるとサンタさんってすっげえ忍耐力がある。

ん。そういえばトナカイとソリが浮くのは魔法っぽい。

あれ。サンタさんって奥さんとか子供さんがいるって聞いたこと無いよな。

もしやサンタさんは独身で真の魔法使い。

そうだ。サンタさんは30才を超えたDTが成るといわれる魔法使い。

その最終進化の可能性ともいうべき偉大な存在なんだ!


車内アナウンスが流れた。

もうすぐ駅に着く。

……アホか。魔法なんて。

何をバカなこと考えてんだろ。


疲れすぎておかしくなってるかも。

だいたいサンタさんを待ってるのは幼い子だ。

子供の夢とサンタさんを貶めるようなことを考えてしまった。

俺は心の中で反省する。


今日も夜遅い電車で帰宅して、また明日は朝早くから出社。

どんだけ働かせるんだよこの会社……

特に才能も資格もない27才の自分を雇ってくれたのはありがたい。

が、しかしだ。


俺、大丈夫かなあ。

早出、残業にがしがし削られる休日。

そして薄給。

俺の勤める会社はある意味超優良ブラック企業だ。


ここのところずっと胃腸の調子が悪く食欲も無い。腰も痛い。

このままだと三十路を前に過労で死んじゃったりなんかして。

頼る人も居ない自分はなんとか稼がなければならないけど。


駅に着いた。

はよ帰って寝よう。

そう思いながら電車を降りる。

歩き出すと余計に疲れを感じた。


俺が健康と将来に不安を感じながらホームを歩いていると、背が高く超イケメンの高校生くらいの少年が、女性3人と楽しげに話していた。

その三人が年上美女タイプ、活動的同い年タイプ、可愛い年下タイプとまるでギャルゲーのようなラインナップだ。


俺は心の中で叫んだ。

くそイケメンがばるすばるす!

リア充なんぞ爆裂四散しろ。

こんな夜遅くまで遊びまくってるんだからこいつらはビッチなんだ。

そう思いながら通り過ぎる。

心の中とはいえ滅茶苦茶な言いようだが、俺にはそう叫ぶだけの正統な理由がある!

なぜなら俺は女性と仲良くなったことのない生粋のDTであるからだ。

俺にとって世の中のイケメンリア充は相容れない不倶戴天の敵なのだ。


「あれっ」

そんなリア充憎しの念に囚われていた俺は、疲れからか足元がふらついてよろけてしまった。ホームに膝を着いてしまう。

か、かっこわるう。

恥ずかしい。早く立とう。

うう、腰が痛い。

「大丈夫ですか」

と声がした。

さっき爆裂しろと心の中で呪っていたあのイケメン少年だった。


「顔色よくないですよ。大丈夫ですか?」

「あ、は、はいっ」

立ち上がった俺を支えてくれる。

周りの女の子たちも怪我はないですかとか声をかけたりカバンを拾ってくれた。


「す、すいません。ちょっとこけちゃって。大丈夫です。みなさん、あ、ありがとうございます」

転んだ恥ずかしさとあいまってすごく恥ずかしい。

「いえいえ」

にっこり笑うイケメン少年と女性達。

二重の意味ですみません。ほんとに皆さん良い人たちでした。


「あ、ありがとうございました」

もう一度彼らに礼を言ってその場を後にする。

背中越しに彼らの会話が少し聞こえた。

どうやら人を出迎えるためにホームで待っているらしい。

ビッチなんていってごめんなさい。


人は見かけで判断してはいけないとは言うけれど、本当そうだなあ。

俺はここで認めたくない事実を噛み締めた。

俺がもてないのと彼がイケメンなのは関係ないということを。

実際に、いい少年だったし。


俺も、せめて心はイケメンになりたいな。

よし。

来年からオレもそうなるべく努力しよう。

「来年から本気出す」方向でいこうっと。

そんなことを考えながら駅の階段を降りようとした俺を異変が襲った。


え、何?

なぜか分からないが突然ホームに白い靄が満ちてきた。

「煙?」

「な、なんだ。火事?!」

疲労で自分の目がおかしくなったのかと疑う俺の耳に、あたりの人らしき声が聞こえた。らしきというのは、あっという間にその霧は1メートル先すら見えないほどに満ちて、周囲の人の姿が見えなくなっていたからだ。


さっきの人たちは大丈夫か?!

心配になって振り返ったが、もうどっちがどの方向かも解らないくらいまったく視界がきかない。

煙たくないので火災ではないようだが、駅のある場所は普段霧が発生するような場所ではない。そしておかしなことに、遠くから何か動物の鳴き声のような音がしたり、何か影が見えたりした。それからきらきらと小さな金の輝きが漂い始めた。


どうなってんだ。

この金色の粒子はなんだ?

やがて霧の中でいくつもの鐘が鳴り響くような音がした。

すると輝きが急速に流れて行く。

そして霧の奥の方がぼうっと光るのがみえた。


なにがどうなってんだ?!

パニくる俺の体が突然揺れる。

うわぁぁ。今度は地震?!

あちこちでさらに人々の悲鳴が上がる。

立っていられないほどの揺れによろめいた。


―ーやばい。

あわてて伸ばした手は、空しく中を掴む。

霧に包まれた時、階段近くにいた。

手すりを掴めずに転げ落ちる。

体のあちこちを襲う痛み。

頭をかばうのが精一杯だった。

霧の中へ落下していく。



「ん……ふあぁ」

久しぶりにぐっすり寝たなあ。

寝すぎで体のあちこちが痛いぜ―ーって。

「いででで、痛ぁ」

痛みではっきり目が覚めた。

「あれ。なんで怪我してるんだろ……」

顔を触った手にも血が付いている。

しばらくすると思い出してきた。

「変な霧が……地震で階段を転げ落ちて……」

もういちど体をさぐる。

打ち身と擦り傷。

あちこち痛いけど腰が痛いのはデフォルトだ。

骨折などは無いようだった。

駅の階段を落ちてこれだけですんだのは幸運だったのだろう。


「あっ、メガネ、メガネ」

俺は焦った。

近視なのでメガネが無いとものすごく困るのだ。

今もなんだか暗い部屋にいて、上の方にはぼんやりと照明らしきものが光っているが良く見えない。

あたりを手探りで探すと草のような感触に触れて驚いた。

あれ?

屋外に居るのかな。何でだろう。

「あ、あった! 良かったあ」

メガネは近くに落ちていた。

レンズも無事である。

安堵してメガネをかける。


「は?」

周りがよく見えて驚いた。

そこは駅構内でも病院でもなかった。

うっそうと茂る森の中だった。

なんでだ?

「……なんて星空だ」

俺は呆然としていた。

見上げた夜空には満天の星空に二つの月が輝いていたのだ。

「ここどこやねーん……」

なんとなく関西弁で呟いてみた俺だった。



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