して・・・如何せん?
「そろそろ、落ち着きましたか?」
突然の声に三人三様、互いに背中合わせになりどこから現れても打ち倒せるようにと身構え、腰のものに手を・・・スカッ・・・自分たちが今、童と童女であることも忘れて、何もない腰に手をやっても何もつかめるはずがない。案の定手を閉じて開いて・・腰元をまじまじと見なおして「アッ」とため息とも何とも言えぬ声を漏らして。
「何も取って食おうとは思ってもいません。落ち着いて話を聞いて下さい。」
その響く声に一瞬戸惑うも、三人は互いに目を合わせて「うむ。」と頷くと、それぞれの方向を向いたまま、ドカッと腰を下ろして覚悟を決めたのかそっと目を閉じた。
「応!話せ。」一同を代表して源三郎がなぞの声に応える。
「・・・」
「話せと申しておる。」謎の声が源三郎のいらへに答えぬため、再び口を開く。
「・・・あッ。すみません。」謎の声は『あーそうだった』と言わんばかりの答え様。
「構わぬ。・・して、話とは?」まるで源三郎が主人でもあるような高飛車な展開ではあるが、謎の声はそこには触れず
「お三人は今の状況をどこまで解っていますか?」謎の声は穏やかに話す。
それには忠義が「どこまでと言われてもな・・・そもそもここはどこなんだ?」
それに重ねるように「この・・・童女の姿は仮初であろうか?」とは文之丞
「正直なところ。何もわかっておらず困惑しておる。・・」と源三郎
「はい。おそらくそんなところだとは思っていました。」謎の声は続ける。
「あなたたちがここに来たのも実はイレギュラー…本来は地球で輪廻転生の中に居続けていただく予定でしたが・・・」
「・・・ちょっと待った!その・・なんだ?えれぎゅ・・とか、ちきゅう?とかは。」
謎の声を遮るように忠義が疑問を投げかける。その質問に頭を抱えたのか・・しばらく間があって、
「・・あぁ。つい、いつも対応する文化レベルで話をしてしまいました。イレギュラーと言うのは・・変則・・的でわかりますか?」
「変則・・何となく理解した。」
「そうですか?次に地球とはあなたたちが居た世界の惑星です。」
「これはまた奇怪な言葉。・・我らがいた世界とは日ノ本のことか?・・なら『わくせい』とは何じゃ?」
「あぁ・・これも・・惑星は忘れてください。あなたたちの日ノ本との理解で結構です。」
「なれば最初からそう言えばよい。」文之丞はほとんど理解の外だったが何とか日ノ本で理解した。
「それでは改めまして・・私はこの世界の担当女神のテリファです。」
「あっ。・・もしやその女神とは『弁天様』か?『淡島様』か?・・・これは失礼申した。」
「・・・」
「・・・」女神様から返事がないのでどうしたものかと・・・
「こちらは、その弁天・淡島というものを知らないのですが、少なくとも私はそれたちではないですよ。」
「なに?『弁天様』『淡島様』を知らんじゃと?」驚く忠義
「・・・よもやキツネやタヌキの類ではなかろうな?」訝る文之丞
「物の怪の類ならば、成敗せねばならぬが・・・」源三郎が少々怒気をはらむ声で答える。
「い・・い・・か・・ら。・・最後まで・・話しを・・・聞いてぇ!」最後は叫ぶように大声を張り上げる女神テリファ「ハァ・・ハァ・・」姿こそ見せてないものの、明らかに肩で息をするほど息が乱れているのが解る。
「「「すまぬ。」」」三人は威勢に押されて詫びるほかなかった。
「あなたたちは本来の生まれ変わりの輪から外れてしまって、違うところへ生まれ変わることになりました。それが、わたしテリファの管理する世界です。この生まれ変わりは私たちの手続きの間違いから起きたことなので、そのお詫びにひとつづつ願いをかなえてから生まれ変わってもらいますので、一人ひとりの希望を聞きましょう。」
「・・・しばし・・待たれよ。」一言言うと源三郎は頭の中を整理する。
(本来の輪廻転生の中に我らはおらん・・と。して、そのテリファなる御仁が治める国に我らは・・・生まれ変わる?・・これはテリファ殿たちの手続きの不備であるが故我らはに何なりと希望を申せと?・・)
背中を向き合わせたままの三人であったが、お互いに話し合わないといけないと考えた源三郎が中央に向き直り忠義と文之丞に声をかけ、膝を付き合わせて話を始める。
源三郎は二人にテリファから聞いた話を自分なりにまとめて二人に披露する。
「テリファ殿たちの手違いで我らは輪廻転生の輪から外れた。が、此度はテリファ殿が治める異国に我らは生まれ変わることとなった。が、手違いの詫びに何か一つづつ、望みを聞いてくれるということのようだ。」忠義も文之丞も黙って聞いていたが話が終わると、
「まあ、おそらくそう言うことで大差あるまい」とのこと
「そうなれば、我らの望みとは・・・」お互いに目を見て頷きあうと
「・・・得物じゃな。」「うむ。」
「テリファ殿。待たせてすまぬな・・・我らの望みはきっ待っておる。」源三郎はテリファに待たせた詫びを述べると、テリファが待っていたように返事をする。
「いいえ。それでは伺っていきましょう。」
「それではまず、わしからじゃ。」そう言うと源三郎は一歩前に出て(どっちが前かもわからぬが・・)
「手前の槍を。」
「わしは備中の刀。もちろん大小揃いじゃ。」とのたまうは、忠義。
「わしは、銘など無くてもよいから、勝手の良い大小が望みだ。」文之丞も忠義に続く。
それを聞いていた源三郎は、丸腰の自分を思い出し槍もさるものはがら・・・と、
「あいや、・・槍と刀は併せて一つにならんかのぉ?」と言い出す始末。
「・・・」テリファもこれには予想外だったようで、思わず三人の前に姿を現してしまった。
「「「おーっ・・・さすがに神々しいわ。これはありがたい。南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。」」」
「・・あのぉ、お三方。ほんっとーーに、そんなんでいいの?」呆れた様子のテリファ。
「何を申される?侍が刀も持たずして何が侍か?」そう自信満々に答える源三郎。横でそうだと頷く二人。
「構わないならいいんだけど・・普通、レアよこせとか。何に生まれたいだとか。結構さばき切れないくらい盛ってくるのが最近の流行みたいだけど?」
「・・ん?・・テリファ殿?早口すぎてよーわからなんんだ。すまぬが今一度申してくれぬか?」
「・・・そうだったわね・・・」テリファは見る影ない程肩を落としてがっくりと項垂れた。
「「「・・いや。すまんなぁ・・・」」」




