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黒と白のコントラスト
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いつの間にか目の前のキャンバスが真っ黒に染まっていた。
いかん、いかん、私は何をしているのだ。思い出に呆けて絵を台無しにするなんて。
一度落ち着こう。いつも花子さんがやっていたように自分もコーヒーを作る。これでもかと砂糖を入れた、とても甘ったるいものだ。
長いことこのアトリエにいるとこれで心が落ち着くようになってしまった。
気分が整ったらまたキャンバスの前に座り直す、今度は筆に白色をのせる。
それは海野が『真っ白な未来』とか下らないことをほざいた色だ。
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