表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ミルクティー、ソー・スイート

作者: 我孫子K







「…あ、ごめん…」




嘘でした




あの頃の僕はただただ怖くて仕方なかったのです


君に嫌われるのが怖くてそうするしかできなかったのです




「うん…わかった」




君はそう言って、笑ってお辞儀して、僕の前から去って行きました


少しして、この会社からも居なくなってしまって、僕は毎晩泣いていました


顔をぐしゃぐしゃにして、鼻水垂らして、ただ悲しくて、ひたすら毎晩




あのゆっくり話す優しい声とか、朗らかな笑顔とか、一緒に笑いたくなるような大笑いとか、ゆるやかなパーマのかかった長い髪とか、綺麗な形の目とか、それを縁取る長い睫毛とか、ふわふわのマシュマロのような腕、色々思い出して、胸が捻り潰されそうに苦しくて




君が住んでいたという駅に行ってみたり、改札を出たり出なかったり






君は、今どこにいますか?


何をしてますか?


新しく好きな人はできましたか?


僕のことまだ好きですか?


僕がもし君を見つけて声をかけたらなんて言いますか?




ホームタウンの小さな駅なのに、それでも君を見つけることができません


もうこの街からもいなくなってしまったのでしょうか?




君を、君を、君を忘れることができません


初めて出会った日を忘れることができません


君にまた会いたくて、触れたことなんかないのに触れたくて、たまりません、たまらないのです




捻れて張り裂けた胸に優しく触れて欲しい


ミルクティーのようなまろやかな君に




コンビニで手に入るミルクティーではなく、君に




そう、君に




「お次の方どうぞー……あれ?」


「…………………あっ………けけけけ結婚してください!」


「……は…?」


「………………カミキッタンデスネー……」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ