乗合馬車でガタガタガタ。行き先は......
どうも皆さん『聖女』のブランです。
僕は今日も今日とて乗合馬車に揺られ旅を続けています。
馬車の乗客は僕と御車さんとエルフの女性が二人で、僕はこの馬車の行き先を知りません。だって急いでいたので。
ふと、外を見ますが今のところ追手らしい追手はいません。
「......そう言えばブランちゃんはさ好きな子とかいるの?」
僕がほっと一息ついて眠ろうとした時、隣にいた女性が話しかけてきました。
「うわっ突然なんですかいきなり」
「あ、ごめんね。けど、ちょっと気になって」
にぱーっと笑って話しかけてくるこの女性の名前はフローラさん。
なんでも彼女はエルフらしく、弓の扱いが上手なんだとか。
彼女はエルフ何のも関わらず大きなその二つの果実を揺らしながら僕に迫ってきます。
「わわわわ」
「ねーねーおしえてよー」
そう言って僕の肩を持って揺らしてくるフローラさん。
「ちょっとフローラやめなさい。ブランさんが困ってるでしょ?」
そう言って声をかけてきたのはフローラさんのお姉さんであるカローラさん。
彼女もエルフであり、腰には細身の剣を付けている。
彼女はフローラさんとは違って、剣術に重きを置いた戦闘スタイル。エルフの中でも結構珍しいらしい。
あ、それと、カローラさんはフローラさんと比べて......ちょっと胸の発達が。あれみたい。なんていうかまないt......
そんなことを考えているとフローラさんからギロリと睨まれた。
......ひえっ。え?考え読まれた?......そんなわけないよね?
僕が心の中で冷や汗をだらだら流していると、フローラさんがまたぐいぐいと話しかけてくる。
「それでそれで!ブランちゃんって好きな人がいるの?」
「こら、フローラ。だからそれは......」
「いえ、別に話してもいいですよ?」
僕がそう言うとカローラさんは驚き、フローラさんは目をキラキラさせて話を聞いてくる。
......なんかあれだね。フローラさんって、精霊さんたちと同じ匂いを感じる。
なんていうか、知らないものをとにかく知りたいっていう純粋な探求心っていのかな?
「......えっと、僕が好きな人......ですか.......」
僕はそう言って少し考える。
さっき別に話してもいいといったが、まったく考えたことがなかった。好きな人......か。
家族......は、僕に対して冷たくて冷めていた。
友達.....は幼いころは城での勉強が主で友達なんていなかったし.......学園の頃は劣等生で城のときと同じく。友達と呼べる人間は一人もいなかった。
精霊たちは僕が大好きな友達。
それは間違いない。
けどおそらく、彼女が聞いているのは恋愛的な感情について........好きな人。好きな人。
「そうですね.......僕が好きな人。おそらく名前を言っても知らないと思うので、人物像を言いますね」
「ほうほう」
そう言うとフローラさんだけでなくカローラさんも耳を傾ける。
......なんだ、この人も結構興味しんしんだったみたいですね。
「こほん......それでは。僕が好きな人は、そうですね。ざっくり言うと風みたいな人です。風みたいにふらっと旅に出て、世界を自由に見る。そんな人」
僕はそう言って外の景色を見る。
今馬車は草原を走っている。
草原を、風が巻き上げ波を作って光が反射している。
「......実は僕。子供の頃は虐められていましてね。その時に手を差し伸べてくれたのがその人だったんです。その人は、それから僕にいろいろなことを教えてくれました。ただ生きているだけじゃわからないことを。世界のことを......生きるすべ、思想。僕のすべてはその人の受け売りです。あの人がいなければ僕はここにはいませんでした。この僕は絶対に存在しませんでした。まあ、そのせいか分かりませんが。僕も結構自由人な性格が移ってしまっている訳なんですけど」
僕がそう言って苦笑いする話を彼女たちはじっと聞いていました。
一息つくと、僕はあの人......シルフの話を続ける。
思い出を話す......
「ずっと一緒にいた僕はいつしかその人に向けていた感情.......それが変わっていったんでしょうね。今フローラさんが質問してくれたおかげで僕はそれに気がつけました。ありがとうございます」
「え、いや......」
そう言ってもごもごと口ごもるフローラさん。
どうしたんだろ?
僕がきょとんとしているとカローラさんが口を開いた。
「.....大変だったんだな。ブラン」
そう言って彼女は僕の頭をなでてくれます。
「......それにしても、お前の好きな人。なんか聞けば聞くほどシルフ様と似ているな」
そう言われ少し僕はドキッとした。
し、シルフのことを知ってるの?
「あ!それ私も思った!なんか伝説の風の大精霊シルフ様と似てるなって思った」
伝説の風の大精霊......シルフだ。
「ななな、なんでふたりともシルフのこと知ってんの⁉」
僕は反射的に焦る場面でもないのに思わず声が裏返り彼女たちに質問する。
「なぜって......エルフの中でも有名な伝説だからな」
「そうだよ!風の大精霊シルフ様は私たちエルフの守り神だからね!......それにしても、ブランちゃんも知ってるなんてそっちの方が驚きだよ!」
「そうだな」
そう言って二人は僕を見て笑う。
......そ、そうなんだシルフってエルフの守り神なんだ......。
僕がそう思っていると、フローラさんが思いついたように「そうそう」と拳を鳴らした。
「......この馬車が向かう先の街の名前。風の街シルフっていう名前だぞ」
「にゃっ⁉」
僕はここで衝撃の事実を知ったのだった。
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