お金稼ごうか、ってことで冒険者を......ってことで逃げることにします
「さーて......これからどうしようかな?」
月明りが差し込む部屋の中、僕は残りの残金を目の前に「ふむぅ」と考え込んでいた。
「1、2......で銅貨が1枚」
まずい、これはまずい。
一応この宿は先に宿泊料を払っておくタイプの宿屋であるため今日は問題なく泊まることはできる。
しかし......
「明日からは無理だなぁ」
この宿の宿泊料は銀貨3枚。つまり、足りない。
.....うへぇ。
僕は机に突っ伏すとそんな声を上げる。
「これは、お金稼がなきゃいけないよなぁ」
僕はそう言って外を見る。
追っては来ていないようだ。風も怪しい人物はいないって言ってる.....そう言えばいつの間にか風と会話できるようになってたんだよな。これもシルフのせいか。っと話を戻そう。
どうにかして、金を稼がなくてはいけない。
この世界で金を稼ぐ方法、それはたくさんあるが、一番簡単な方法は......
「冒険者。うん!明日はギルドに行こう!」
ヘンリラッテでは追手がいてできなかったし!
さて、そうと決まれば早速寝よう。
冒険者は体力が必要な職業ってシルフから聞いてた。森の中やダンジョンに入って魔物を狩ったりするからだそうだ。
「.....おやすみー」
僕は誰ともいわずそう言うとベッドの中に入って目をつぶる。
.......少し、ワクワクして眠るのに時間がかかってしまったが、窓から入ってくる風のおかげで問題なく眠ることができたのだった。
ガタッ......そんな音が聞こえ僕は目を「ぱちり」と開ける。
何だろ?この音。
どうやら僕の隣から聞こえてくるようだ。
「っち、何だよこいつ。金持ってねえじゃねえか」
男の声だ。
僕は体を動かし寝返りを打ったふりをして顔を男の方に向ける。
「うわっ......なんだ。寝返り打っただけか。脅かしやがって」
そう言って男は胸をほっとなでおろす。
なるほど......どうやらこの男盗人らしい。
僕の荷物を物色しているようだ。
......まったく、夜は窓を閉めなきゃいけないね。すっかり忘れてたよ。
「『聖拘束』」
「うわっ⁉なんだ!」
僕がそうつぶやくと男の体を光の輪がしばりつけた。
「な......くそ!ほどけねえ!なんだよこれ!」
「無駄だよ、それは君にはほどけない」
「なっお前起きて......」
盗人はそう言って驚いたような顔をする。
「うん、最初から起きてたよ。とりあえず君は明日衛兵さんに突き出しておくから......」
「ちょ、おま「『聖拘束』」んんんん――――!?」
僕はうるさい男の口に『聖拘束』を飛ばし......もう一発ぶち込む。
「『聖拘束』」
ドテッ。
これは盗賊が倒れた音。
足にも『聖拘束』を打ち込んだ僕はベッドに入ると......
「それじゃ、お休み。いい夢を」
「んんんー---......」
男は倒れたままどたどたと暴れまわる。
うーん......うるさいな。これじゃねむれな......あ、そうだ。
「『聖気絶』」
「ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”」
男はそう叫ぶと煙を上げて動かなくなってしまう。
あさ、僕は宿をチェックアウトすると男を引きずって衛兵さんの詰所へと向かった。
「どうしま......こいつは⁉」
「はい、夜部屋に入ってきたから捕まえときました」
僕がそういうのも聞かずに衛兵さんは奥へと消えていく。
どうしたんだろ?
「ふぁぁ......」
あくびをしながら僕はそんなことを思う。
うーん、朝はやっぱり苦手だ。
それに昨日の夜から何も食べてないしでもうおなかペコペコだし......
そう僕が待っていると詰所の奥から先ほどの兵士さんの上官と思われる鎧の男がやってきた。
「いやはや、お待たせして申し訳ない」
「いえいえーぜんぜんだいじょうぶですよー」
僕がそう言うと兵士さんの上官さんはにっこりと微笑み、そして僕が連れてきた男に険しい顔を向けた。
「それにしても、こいつを捕まえてくるなんてな......」
「ん?そんなにひどい泥棒なんですか?」
「いやいや、手口はせこくて単純なんだが......如何せん逃げ足が速くてな。今まで捕まえることができなかったんだ」
そう言うと男は「んんー--」という叫び声をあげた。
口ふさがってるから何を言ってもうめき声になるんだよな。
あ、もしかしたらせこくて単純ってところに怒ってるのかもしれない。結構単純な盗人だね。たぶんそういうことなんじゃないかな?
「被害総額は全部で金貨にして100枚前後。私たちも頭を悩ませていたところなんだ」
「ふむふむ、そうだったんですね」
「こいつには報奨金がかかっていてな......お、丁度来たな。ほれ」
さっきの兵士さんから袋を受け取った兵士さんの上官さんは僕にその袋を手渡してくる。
ずっしりとしていて、ジャラっという音がする、これってもしかして?
「それがこいつの報奨金だ。金貨1枚と銀貨が5枚入っている」
「おおおお!」
僕はそう言って目を輝かせた。
そんな様子を兵士たちは微笑ましそうに眺めた。
「さて、とりあえずそういうことだ.......それじゃ、もう帰っていいぞ」
「あ、そうですか?それじゃ、また......」
「あ、そうだった。すまんがこいつの魔法を解除していってもらってもいいか?」
そう言って兵士の上官さんは、『聖拘束』でぐるぐる巻きにされている盗人さんを指さす。
「おお、そう言えばそうだでした。『聖解除』」
僕がそうつぶやくと盗人の体を捕縛していた『聖拘束』は崩れ去り消える」
その瞬間、どこからか取り出したロープを取り出した兵士さんが盗人さんの体を縛り付けた。
うわぁ......早い
「やめろ!やめろおおおおおおお!」
「こら!大人しくしろ!」
「よし!そのまま牢屋にぶち込んでおけ!」
「イエッサー」
そんな感じに一気に騒がしくなる彼らを見て僕は。
「それざ、今度こそ.......また.......」
そう言って僕は苦笑いのまま詰所を出ていきました。
......さて、まあなんかいろいろあったけど。とりあえず!
僕は手に持った袋を掲げる。
お金が手に入ったああああ!
僕はニヤニヤとした顔で、前を向いて歩き出す。
ふふーん....これからどうしようかな。あ、とりあえずご飯を食べよ。それから......
と僕が考えていると、背後でこの世の物とは思えない絶叫が聞こえてきた。
「ん?......あ、そう言えば」
盗人さんにも僕が『聖女』であるってことを内緒にするようにって魔法一応かけておいたんだった.......あれ?ってことは喋った?
「......なんか嫌な予感するな」
おそらく、兵士さんたちが掴まれられなかったお前を捕まえた。あいつの正体はなんだとでもいうような質問をされたんだろう。
......ってことは僕探られてる?
「......これ、面倒になる前に逃げた方がいいかな?」
一応この街は昨日のうちに堪能したし......よし。逃げるか。
......ブランは知らない。兵士たちが質問したのではなく、盗賊が自分から「アイツは『聖女』だ!」と言おうとして電撃を喰らったことを.......
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