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追放報告と精霊さんたちとのお別れ

新しい小説の投稿を始めました!よかったら見てってください!

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僕はくるくるハイテンションで回る彼らを落ち着かせると、こほんと一つ咳払いをした。


「今日はみんなに喜ばしい知らせを持ってきました!」

「えーなになに~」


「今日僕は......勘当されて城から出ていくことになりました!」


僕がそう言うと精霊たちは「ぱちぱち~」と手をたたく。


「まあね~王城での暮らしはいわば籠の中の鳥。ずっと窮屈だったからねー。でも、これからは自由!のびのびと!上の兄上や姉上たちからの小言も、妹や弟からのいびりもない!ビバ自由!我は自由の翼を手に入れたのだ!」


僕がそう言うと精霊さんたちが「「「おおーっ」」」っと湧き上がる。



「おお!素晴らしいじゃないか!」



僕が精霊さんたちへ追放報告をしていると、森から一回り二回り大きな精霊がやってきた。


「おーシルフ!帰ってきてたの!」

「おう!君の勘当祝いだからな!」

「そっか~......あれ?でも勘当されたの今朝の出来事なんだけど......」

「ふ、そーれーはー」


僕にそう言うとシルフは顔を近づけた。


「風の噂だよ」


そう言ってシルフは「にししー」っと笑う。


なるほどねー。


僕はそう思うと、くすっと笑って周りを見渡した。


思えば、彼らと出会ったのは遠い昔の話。


僕がまだ5歳の時だった。


兄上たちから虐められて......逃げ出して。


やってきたのがこの森だった。


『ん?君君~なんで泣いてるの~』

『ふぇぇ⁉......だ、だれ?』

『ふふ~ん、僕の名前はシルフ‼風の大精霊だよ!」

『風の......大精霊さん?』

『おうとも!......ところで、君の名前は?』

『......ブラン......ブラン・アインシュタル』

『ブランちゃんか!ブラン君かな?まあいいか!よろしくなブラン!』


そして僕とシルフは友達になって、そして精霊たちと友達になった。


精霊たちは僕にいろんなことを教えてくれた。


魔法の使い方から、世界の事。


家庭教師なんかよりずっと面白くって、ずっと為になった。


ある日のことだった。


僕はこの森である一匹の馬を見つけた。

馬は足にけがをしていて、立つことすらできなかった。


『.....お馬さん』

『馬.....!?だめだブラン!近づいたら!』


突然シルフから怒鳴られたけど、僕は黙って馬に近づいて.......


『『聖回復(セイント・ヒール)』』


僕がそう魔法を使うと、馬のけがは簡単にすぐ治った。


『これって、回復魔法?』

『......そうみたい?』

『みたいって、使ったことないの?もしかして』

『うん』


それが、初めての回復魔法だった。


後で知ることだが、この世界『回復魔法』は女性限定の魔法らしい。


そして、先ほど治療した馬は『聖女』以外が近づくと攻撃を仕掛けてくる。冒険者ギルドでSランクに分類されているユニコーンと呼ばれる魔物だった。


『君って......もしかして『聖女』』

『『聖女?』』

『うん!君『聖女』なんだよ!......おお!』


シルフは、そう言って嬉しそうに飛んでいた。


『聖女』というのは世界に7人、7つの大国に1人ずつ居て、その国の守護神として君臨している。


この世界には魔素と呼ばれるものが存在し、それが溜まるとそこは人の住めない場所になってしまう。


それを事前に阻止しているのが聖女と呼ばれる存在だ。


そして『聖女』の名の通り、その力を得られる存在は『女性』のみ。そのはずなのだが......


すごい。男の『聖女』なんて見たことがない!うわーすごいなあ!』


シルフはいつもこうだ。なんか珍しいものがあると毎回こういう風にはしゃぎまわる。


「風精霊は旅好きで珍しい物好きが多いんだ!そんな風精霊の中でもトップの大精霊であり精霊王たる僕の興味の探究心は.......くはぁ!すうちかできないのさああ!」


そういうことらしい。


それから僕は、シルフ達からありとあらゆる『聖女』としての教育を受けた。


まあ、教育って言っても基本ピクニックとかしかしなかったわけだけど。


『......ねえ、『聖女』の勉強ってこれでいいの?』

『うん~......まあいいんじゃない~』

『いいんじゃないって......僕は将来この国を背負う『聖女』になるんだよ?』

『でも、父親からは信じられてないんでしょ~』

『うぐっ......そうだけど』


そうなのだ、僕は聖女として力が発言してから真っ先に父上である王に報告した。けど......


「男のお前が『聖女』?笑わせるならもっと面白い冗談を考えてこい!」


そう言われて突っぱねられてしまった。かれこれ10回。


10回目の報告の後、「ああ、これこのまま報告してもダメだ」


そう思った僕が外堀を埋めようと周りの人に行ってみたが、皆『冗談』として一瞥し、僕の言葉に耳を傾けすらしなかった。


幼い妹にすら


『ぷぷ、おにいちゃま。せいじょにはおんなのこしかなれないのですよ?わたしでもしってるじょうしきですww』


と一笑されてしまった。


『確かに......みんなからは信じてもらえなかったけど』


僕がそう言うとシルフはちょうどさっきのように顔を近づけて言った。


『ねーねーブランは何になりたい?』

『何になりたいって......』

『将来の事さ』

『......それはもちろん『聖z『むーそういうことじゃないよ!』じゃあ何のことさ』


シルフはパタパタと小さな羽を揺らして僕の目の前に立ち、その小さな胸を張る。


『それは、君がならなきゃって思ってる使命感!それじゃなくてさ!もっと、君自身の。君がいっっっっちばん!心の底からなりたいって、かなえたいって思ってる夢だよ!』

『......かなえたい、夢』

『そうさ!』


精霊たちは前向きだ。


どんなことがあってもそれも人生!と割り切って生きている。


言われた僕はふと王城を見た。


ずっと、言われるままに生きて、ずっと子の王都から出ずに、決められた道を歩き続ける。それが王族であり『聖女』だけど......


『そうだな、僕は。自由に旅をしたいかな。君たちが......語ってくれた世界を見に』


僕がそう言うとシルフは満足そうにうなずいて、ある助言をしてくれた。


それは僕がこれから入る国立アカデミー。そこ劣等生になって、親からの呪縛を解き放つということ。



魔導学会のレポートには彼らは小さいから頭も弱いからあまり深く考えていないとかそんなバカげた論文もあるけど、それは大きな間違いだ。


だって彼らは、僕たちより。もっともっと深く物事を考えている。


そして僕は王立アカデミーで最下位。劣等生というレッテルを貰い今に至る。

まあ、魔法学は少し楽しかったからついつい勉強しちゃったけどね。



僕がそう過去にふけっていると、精霊たちが思い出したかのように言った。


「あ、そうだ!ブランに僕たちからプレゼントがあるんだった!」

「え?プレゼント?」


なんだろ?


僕がきょとんと首をかしげていると彼らは森の奥へ飛んでいく。


暫くして戻ってきた彼らの手には、いくつかのアイテムが握られている。


「そう!プレゼント!」

「これは僕たちからの!」

「君への気持ちだよ!」

「受け取ってくれると嬉しいな!」


僕はちらっと後ろを見ると、森の中から顔を出す彼らが見える。


彼らが持ってきたものは杖、ローブ、靴、十字架のお守りの4つだ。


「これって?」


「これはー」

「僕たちが作ったー」

「精霊の装備?」

「だよー」


そう言って彼ら彼女らは「いししー」と笑う。


「杖はー」

「僕たちの力が」


そう言って赤色の火属性の精霊たちが僕に差し出す。


「靴はー」

「僕たちの力が!」


靴を差し出した緑色の風の精霊たちは空をくるくると回る。


「ローブはー」

「僕たちの力が!」


ローブを差し出したのは青色の水の精霊たち。僕に手渡すとみんなで見やって「にししー」と笑っていた


「そして最後に」

「十字架には」

「僕たちの力が!」


十字架を渡してきた黄色の土の精霊たちはそう言ってぴょこぴょこ飛び跳ねた。


「......これを。君たちが」


「「「「「「うん!」」」」」」」


「わぁ!ありがとう!」


僕は装備を受け取るとギュッと抱きしめる。


そんな僕に1人の精霊が近づいてくる。


シルフだ。


「ふふ、君たちーまだ僕の分があるじゃないかー」

「「「「「あっ」」」」」

「にししーはい。ブラン、これが僕からのプレゼントだよ!」


そう言って手渡されたのは1個の髪飾り。


「......シルフ!ありがとー!」

「わああ⁉な、なんだよーぶらんー」


僕がシルフに抱き着くと、彼は慌てたような声を出す


「あーずるい!」「しるふさまだけなんてー」「わたしもー」「わたしもぎゅっするー!」

「うわあ。はは!ちょっとくすぐったいって!」


僕がそんな風に戯れていると、突然別の人間の声がした。


「あ、いた。ブランさ......ってなにしてるんですか?」

「ははは......あ、騎士さん」

「あの、馬車の準備ができましたのでそろそろ行こうかと思うのですが......」

「え?もう?」

「はい、できるだけ早く叩き出せと.......その、国王様が」


ふーん、なるほどー。

ってことはもう、行かないとな―


「えーもう行くの?」「まだまだあそぼーよー」「だめだよー」「これからブランちゃんはー」


「「「たびにでるんだからねー」」」


「うん!それじゃみんな......またね!」

「「「「「「またね!」」」」」」


僕はそう言って精霊さんたちに手を振る。


さようならは言わない。さようならっていうのは精霊さんたちの中ではタブーな言葉だ。


またね。また会おうね!そういうのが精霊さんたちと僕の別れの挨拶。


もう会えない......いや!また会おう!また会いたいから!


「あの、ブラン様?」

「あ、ごめん」


彼ら精霊はどうやら僕以外の目からは見えならしい。


だからこの騎士さんもこんなきょとんとした顔になってるんだろう。


「がんばってー」「ファイト―」「イッパーツ!」「楽しんで―!」


そんな声が聞こえて僕は思わず振り返る。


「......どうしました?」

「ん、なんでも」

「はあ......?」


僕だけの。僕しか見えない僕の友達。

僕はそんな彼らが大好きなのだ!


感想、評価は作者のモチベーション維持に直結しています。


なので、面白い期待してる、ブランちゃん可愛い!と思った方は是非!


感想、評価そして、ブックマーク登録の方をよろしくお願いします!


それでは皆さんさようなら!

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