従者桜木花子と召喚者、津井儺祥那。2
そうして先ずは魔王の家が有るイギリスへ向かうと、苔むす精霊ドリアードが立ち塞がった。
《連れ込んで何をする気じゃろうか》
「この方は?もしかして私、邪魔されてますか?」
「津井儺さん、聞き取れましたか」
「僕がお願いしてココへ来ました、アヴァロンへ行く前にと」
「え、俺は何も、見えも聞こえもして無いんすけど」
『クーロンは聞こえない』
《私分かる!》
そうして花子と祥那とカールラがアヴァロンへ。
《お主、従者なんじゃよな?随分と不格好に降りおって》
「感触を味わってましたが何か問題でも」
「ツルツルでさらさらで触り心地が良いですからね」
《ふふ、ありがとうございます》
《まぁ、良いんじゃけど》
そうして森の木が根本から動き、獣道が出来た。
その道を少し進むと泉が有り、美しいティターニア、少年の様なオベロンに、小さな。
《ノームさんやで、宜しゅうな》
「凄く、関西弁です」
「あぁ、そう聞こえるんですな。ロンドン訛り」
《訛りやと?!なんやこのチビッコは!》
「どーもー、従者の桜木花子でーす」
《なんやその言い方はぁ、自分、コ》
《はいはい、そこまでにして下さい》
『すまんな、コイツ女嫌いなんだわ』
《気にせんでくれ、嫌いになったのも自業自得じゃし》
「おぉ、女性嫌いに有ったの初めて」
「あの、魔道具のご相談に来たんですが」
《せやったらその女を辞めさせなワイは魔石上げへんで!》
「常に男女で補佐するんでワシが辞めても代わりは来ますが」
《全部辞めさせたらエエねん!》
「そこまでさせるのに、魔石だけですか」
《おぉん!キノコもや!》
「金属は無理って事ですかねぇ」
《はん!舐めた口をききおってからに、そん位は簡単じゃい!》
「成程、どうしますか津井儺さん」
「あの、ココをご紹介下さったも同然ですし、僕としても困る事になるので」
《アカン!もう毒牙に掛かってしもてる!おっちゃんが助けたるさかい、はよ手を切った方がエエで?》
「だそうで、なら他に行きましょう。同行させないは無理なので」
『あーぁ』
《すみません、下げさせますので》
《すまぬ、埋めたで暫くは来ぬじゃろ》
「冗談ですよ、先ずは魔道具の神様をご紹介下さいませんか?」
《勿論じゃよ!》
そうして今度は泉から転移し、鍛冶神達の居る聖域へ。
《武器か?》
《戦闘訓練か?》
《魔道具だろう?》
「はい、出来るなら全てをこの召喚者様へお願いしたいのですが。対価として、このお酒で足りないかも知れませんので。この髪は、どうでしょうか」
『あら、切り立てね』
『良い髪ね』
『勿体無いわ、どうして?』
「召喚者様の対価で足りなかった場合にと、長年伸ばしておりました。昔のはコチラです」
「あの、桜木さん、切り立てって」
「連絡が有って直ぐに切りました、邪魔でも有るので」
『あらあら』
『なら、コレはアナタの対価にもするわね』
『献身的な従者で良かったわね、ふふふ』
「桜木さん」
「また伸びますし、一石二鳥、いや、三鳥なんです」
「もう一羽は」
「沖縄の神様や巫女の言い伝えで、女性の髪はお守りになる場合が有るんです。例えゲン担ぎだったとしても、それが本当に守る力になれば生き延びられますから」
《そうね、魔道具も最初はそんな事から始まったんだもの》
《願いが形を得て、能力を発揮する》
《無より有から発する方が容易、魔法の杖も魔道具だものね、ふふふ》
そうしていつの間にか置いてあった魔石や花子の髪の毛を使い、魔法のマント、嘘が分かる魔道具に嘘を見抜け無くさせる魔道具。
通信機に性転換の魔道具まで作って貰った。
「あのー、宇宙にも魔石が有るのではと思ってるんですけども」
「そうなんですか?」
《そうよ、とっても珍しくて貴重だけれど》
《中々降って来てはくれないし》
《取りに行ける者も限られてるから》
「おぉ、効果に違いは?」
《色、位かしらね?》
《そうね》
《貴重だけれど、好み、よ》
「でしたら、対価には」
《私達は大きなのは所有出来無いの》
《だから、一時鑑賞したり》
《端材で充分なの》
「津井儺さん」
「ですね、少しお待ち頂いても良いですか?」
《勿論よ》
《楽しみね》
《そうね、ふふふ》
1度泉でアヴァロンへ行き、魔王城で休んでいたクーロンへ通信機を付ける事に。
「大丈夫ですか?」
『少しジンジンしますね』
「もう、バラすか、治したる」
花子がそう言うと、クーロンの耳の傷口がすっかり治っていた。
祥那は初めて見る魔法に、本当に異世界なのだと感動していたのだが。
「ショナ君、コレは黙っててあげてくれませんか」
「魔王、知ってるのか」
「はい、ですがもう惨敗で、蘇生に時間が掛かって」
「あの、どう言う事なんですか?」
「いや、俺も良く分かんないんすけど」
「ワシの体質、魔女狩りに有って絶滅しかけてんの。しかも、転生者と召喚者によって」
「科学の妨げになるからと、雷電も使えますよね?」
「おう。治癒魔法と雷電って、両方、科学には邪魔じゃん」
「そん、俺、マジで知らないんすけど」
「魔女狩りで調べて、相応の理由が有れば許可されるけど。津井儺さんがその能力が有るかもってなったら、不味い状況になるかもなんだわ」
「少なくとも、怠惰も憤怒も知ってる事で。確認に行きますか?」
「ショナさん、どうしますか?」
「桜木さん、それが本当なら、どうして僕にバラしちゃったんですか?」
「使えるモノは親でも使え、まして従者なんで、最悪は使って貰おうかと、この能力を」
「僕が殺すかもとか」
「貴方は良い人だから絶対に無い、そしてこの期待を裏切る人じゃ無いと信じてる」
『許可を貰えるか、知恵神と呼ばれているクエビコだ』
《うむ、一時許可するが、何か知っておるのか?》
『膜の事を話したろう、それがバレてもいずれ突き止められると思ってな。どうやら、膜故の体質なんだと、ネイハムが突き止めた』
「で、正解だから今、クエビコさんがこうやって警告してくれてるのね」
「大罪達の居る、隣の地区の者の祖先が嘗て主導し、行った虐殺行為です」
「うわー、あー、ただの魔女狩りだって、あぁ、信じてたのになぁ。国もそれ知ってるんすよね?」
『その事実だけはな、離れた地だった為に被害は無かったが。知った者は国際化の果てに怯え、隠し育て、雷電の継承は途絶え、そう膜が薄い者も生まれる事は無かったんだが』
「生まれちゃって、捨てられてネイハムが気付いて、柏木さんとガーランドさんに保護して貰ってる」
『国は知らん、国連もな』
「でも検索や申請をしたらバレるかもで、殺されなくても、何か有るかもとは言われてる」
「あの、賢人君」
「バラさないっすよ、仲間なんすもん。他の従者にも言わないっす」
「はぁ、良い方達で本当に良かった」
《なんじゃろ、魔王の印象が聞いているのと違うんじゃけど》
『凶悪で残虐で虚ろだ、とな』
「ついでに話しちゃえよ、最初から」
「俺、聞きたいっすけど」
「大事な事だと思うので、聞かせて下さい」
そうして魔王が魔王になった話を聞き、全員が沈黙した。
「あの、大事な確認を忘れてるで。嘘かどうか」
「心配性だなって思ってたんすけど、桜木さんの立場だったら慎重になって当然っすよね。すみませんでした」
「いや、自分でも偶に心配性だなって思ってるから大丈夫。魔法が怖いなら使わないけど、ピアスどうする」
「いえ、僕も桜木さんを信じてますから、お願いします」
「あまり信じ過ぎないでくれよ、程々にだ」
そうして其々に通信機と嘘が分かる魔道具を付け、試す事に。
「そうですねぇ」
「海老大嫌い」
「じゃあ、私ははなちゃんが大嫌いですね」
「嘘でもショックかも」
「マジで、曖昧な返事には効果が出ないんすね」
「結構、明確に分かるんですね」
「ただ、サイコパスやソシオパスに通じるかどうかも不明だし、微妙な事には使えないかもだから、過信は禁物で」
「うっす」
「桜木さんも、魔王も、復讐したいとは思わないんですか?」
「私は、私を苦しめた一族を全滅させた段階で気が済みましたね」
「羨ましい。けど、親を殺してもどうにもならなそうだから、復讐する気は無い」
「それって、逆に、意味が有ったら殺しちゃうんすよね?」
「んー、正直人間にはにバレ無い方法で殺せるから何度も考えたんだけど、今は厄災を無難に過ごすのが先決で。余裕が出来て、何処かの神様が許してくれて、ワシが不幸になったら殺す」
「それで神話に詳しいんすか?」
「詳しくさせられたっつうか、天罰とかバチの概念を教え込むのにね。んで、大きくなったら復讐を許してくれそうな神様探しに移行して、そのままズルズルとな」
「そこで何で従者なんすか?」
「恩返し。ネムちゃんや柏木さんの役に立ちたかったし、親を殺さないで済んだお礼」
「召喚者様が来ない程度の災害なら、確実に有効っすもんね」
「でも、バレそうなら使わない事も考えてた。そこまでお人好しじゃないから、自分の命を優先して、見殺しにしてたかもだよ」
「あの、最悪は僕が使えるって事にしたらどうでしょう」
「あのね、最悪は監禁軟禁で、実験体にさせられるかもなのよ?却下」
「なら、魔道具のせいとか、どうっすかね?」
「特殊な魔道具で僕が使えると装うなら、魔道具の回収だけで済むかもですし、最悪は帰還すれば大丈夫ですし」
「すまんね、綺麗な面だけを見せたかったんだけど、罪悪感が出た」
「俺はその考え良いと思いますよ」
「私も同感です、子供達には両側面を知って貰いたいと思ってますから」
「僕は、改善点が有る事にホッとしてます。完璧で完全で、僕の来た意味は何だったんだろうって不安だったんです。けど、少なくとも目の前に明確な目標が有るので、教えてくれて感謝してます」
「目標って?」
「第1目標は、桜木さんが安全に暮らせる世界です」
こうして目標を得た祥那は、先ずはクーロンを魔石取りへ向かわせ、他に作るべき魔道具が無いか相談する事に。
「ワシ、何処へでも行けるドアが欲しい、泉での移動でゲロっちゃいそうになる」
「なら引き出しタイプも良いっすよねぇ」
「ショナ君、空を飛べるのはどうでしょう?」
「やっぱり、箒ですかね?」
「ワシとしては保留にさせて欲しい。それについては空間移動があるし、ちょっと試したい事が有るから」
「じゃあ、アレっすよ、水中系、水に沈まないって重要っすよ」
「あ、魔法印はもうされました?精神に影響を及ぼすのも居ますから、ウチの悲嘆がそうなので」
「その、魔法印って」
「刺青なんすよねぇ」
「人間でも出来ますけど、エルフからの伝来技術なんで、エルフも従者に引き込みませんか?」
「良いかも知れませんね、長寿なので技術は人間より確実に上でしょうし」
「ドリアードさん、エルフの方で従者になりたがってる人なんて」
《おるぞい!山程な!》
『選抜が必要だろう、どう選ぶ』
「先ずは胸のサイズじゃろ」
「急に巫山戯るんすね」
「その、人間を嫌いじゃない方とかって居るんでしょうか」
《勿論じゃよ》
「私も意見を良いですかね?魔王が嫌いだと、大変かなと」
「じゃの、大罪もじゃね」
「後は、何っすかね?」
「お付き合いしてる方が居るのはちょっと、避けて欲しいなぁ、何かで揉めてもヤダし」
「じゃ、特に結婚を考えて無い、とかで良いんじゃ無いっすかね」
こうして地上で相談を終え、アヴァロンへ戻ると数名が着陸地点で待っていた。
そして花子を気に入らない者を排除し、ミーシャとサイラが選ばれる事になった。
「宜しくです、早速ですが泉で移動しますですよ」
ミーシャも酔う体質で、何処へでも行けるドアから作られる事に。
そして大きな石を10個だけ、連絡が有る迄に選んでいる様にとクーロンに言っていたので、そろそろだろうと思い、呼び戻す事に。
「あれ」
《相性じゃろ、一先ずは戻ると良いじゃろな》
だがどうしても神々の掟で、魔属性をアヴァロンへは入れられない。
「浮島分けて貰えませんかね?」
「そん、桜木さん、流石にそんな」
《ふふふ、ご迷惑もお掛けした事ですし、どうぞ》
割譲された浮島を大きくするのは花子。
そうして中立地帯を得て、クーロンを呼び戻す事に。
『あの、ココは?』
「ショナさん、名前付けちゃった方が楽っすよ」
「護、護島で」
「厳ついなおい」
「カッコいいじゃないっすかねぇ?」
「アカン、マジで尽きたかも」
「ちょ」
「スクナ様、お願い出来ませんでしょうか」
『召喚者の為とは言え、無理は良くないよ』
「だって初めてこんなに使ったから、勘弁して」
「あ、マジでヤバいかも、点滴点滴」
「え、桜木さん」
『ただの失神だから大丈夫だけれど、何度もは良くないよ』
「あ、起きた」
「枕、くれ」
賢人が鞄を枕にさせ、慣れた手付きで花子が自ら点滴をすると、スクナが仙薬を点滴へ入れる様にと指示を出した。
「結構な色合いっすよねぇ」
「すみません、ありがとうスクナさん」
『命、大事に』
その言葉を聞き終えると、今度はゆっくりと花子の瞼が落ちていった。
「コレは、寝た感じっすよね」
『うん』
「あの、僕もいつかこうなるかも知れないので、他に回復方法を知りたいんですが」
『温泉だろうね、ココは魔素の循環もしてるから、地上よりも濃く出来る』
「お願いします」
そうして温泉が出来上がったのは良かったのだが、服を着せたまま入れるか、脱がせるか。
結局はカールラが服を脱がせ一緒に入る事に。
「後はドアの設置っすかね?」
「出来たら家の中に付けたかったんですけど」
『なら、呼べば良い、酒はまだ有るのだろう』
そうして家の神様を呼び、大きな囲炉裏の有る質素な小屋が建った。
「流石に魔法のレベル超えてるっすよ」
「ありがとうございました」
2人で内部を見学し、ふと温泉を見ると脱衣所や洗い場が出来上がっていた。
「無音だったっすよね」
「だったと思ったんですけどね」
もう神様の姿は見えなくなってしまっていたので、どうしようかと相談していると、ドリアードが現れた。
《泉も設置してはどうじゃろか》
ナイアスを紹介され、更についでにと川が出来上がる事になった。
「こ、そ、コレはどうなってんでしょうか」
目覚めた花子は普通に驚きました。
自分が覚えている時の浮島とは、かなり違った景色だったからです。
「まぁ、流れっすよね」
「ですね。大丈夫ですか?」
「まぁ、何とか、トイレとかって」
「無いっすね」
「ドア、魔王城に繋げちゃいましょうか」
服を着て魔王城へ行き、今度は皆で浮島へ。
後は何を増設するかの相談へ。
「トイレ」
「そうっすよね」
「囲炉裏での調理は流石に経験が無いんですけど、お2人は出来ますか?」
「俺も無いっす」
「ちょっと、買い出しに行きましょうか」
「ですね」
島根に戻り酒造巡り。
おつまみも有るべきだろうと、珍味や佃煮を買い漁り、少し移動し大分へ。
焼酎や海産物を買い漁り、花子がポツリと呟いた。
「津井儺さん、温泉に入りましょう」
「え?」
「まぁ、冷えましたし、行ってみましょう」
そこは乳白色の見た事も無い綺麗な温泉で、宝石の様にキラキラする温泉でした。
花子はこう言う綺麗なモノが好きなのだと、祥那は感心しました。
「どうでしたか」
「初めて見ました、綺麗でしたね」
「アレっすね、後であの温泉に変えて入りましょうよ」
「ですね」
「魔王の持ち出し許可を、買い出しを任せて下さい」
「大丈夫なんすか?」
「回復しましたし、買い食いとかもするんで」
「あぁ」
「どうぞ、宜しくお願いします」
祥那達が浮島の設定や温泉の事を聞いている間、花子が真っ先に買い出しに行ったのは問屋街。
七輪や鍋を買い、ついでに便器とキッチン用の蛇口を。
布団屋では敷布団やスベスベのお布団を3セット買い、地方に行き炭と薪を買った。
「ただいま帰りましたぞ」
「お布団とか買ってたんですよー」
「おぉ、炭もっすか」
「お願いしようと思ってたんです、ありがとうございます」
「もしキッチンが出来たら、明朝にでも調理をと思ってたんですが」
「またお呼び出しするのもアレっつうか」
《我らの方に任せて欲しいんじゃけど?》
「お願いします」
すると突然外が騒がしくなりました、外を見ると屈強な男性達がわらわらと。
そうして花子が買って来た物を使い、離れを作る事に。
『アレだな、渡り廊下を作るか』
『トイレはココで、キッチンは向こうで』
『おい兄ちゃん、何か要望は有るか?』
「いえ」
「ワシは2階建てが良いです、個室と、個人用のシャワールームに密閉型の石暖炉」
「滅茶苦茶言いますね」
『おうおう』
『それ位はチョロい』
『そうだそうだ、モノを請うならこうでないとな。がははははは』
「良いんすね」
「お願いします」
「やったぜ」
何と言う事でしょう。
母屋の雰囲気を壊す事無く、テラスから母屋へと渡り廊下が繋がり、一体感は完璧。
そして独立した厠や個室で、プライバシーも完璧な出来栄えに。
「何か、旅館っつうか別荘地っすよね」
「ですね」
「我儘を聞いて下さってありがとうございます、どうぞ」
『酒だ!』
『つまみだ!』
『宴会だぁあああ!!!』
そうして大盛り上がりの中、囲炉裏小屋を作ってくれた神様へ、花子が改めてお礼を言いに行き。
「何か、飲まされてるんすけど」
「嫌がってなければ良いんですけど」
花子が心配で観察していましたが、どうやら何かを相談しているらしく、神様達がうんうんと頷いていた。
「度胸っつか、親戚のオジサン感覚なんすかね」
「良いんでしょうかね?」
《神によるが、忌み嫌われるよりは良いじゃろう》
『崇め奉られるだけでは、まぁ、つまらんな』
『だな、無駄に恐れられてもだ』
『そうなって話が出来ん方がイラつく』
『そうだな、少なくとも俺らは、希望を盛り沢山に言ってくれる方が面白い』
「津井儺さーん、我々も魔道具を作り出せるかもですー」
「何か、とんでもない情報得てるんすけど」
「どう、作り出せるんでしょう?」
花子が言うには、魔力が循環すれば魔道具になる、と。
試しに花子の私物で試すと、蝋燭の蝶々が発光し、動き始めた。
「作ってる時ってどんなんか聞いたら、イメージらしいので、出来るかなと」
「で、出来ちゃうんすねぇ」
「綺麗ですね」
『貢ぎ物に、最高過ぎだろ』
『蝋が光るのが特に良い』
『次の貢ぎ物が決まったな』
「あの、僕のじゃなくても良いんでしょうか」
『お前の従者、だろう』
『お前がそう認めるなら、だが』
『お前はどうなんだ?』
「苗字、津井儺にでもしておきます?」
「な」
「まぁ、確かにショナさんのモノにはなるんすよねぇ」
「戻っても記憶も戸籍もまっさらになるでしょうし、まぁ、半ば冗談ですが」
「半分なんすね」
「その、戻った場合桜木さんはどうなるんですか?」
「状況によってどうするかは考えます、厄災が終わってはい、おしまいとなるのが理想なんですが。そうならなかった時は利用させて頂きます」
「あぁ、そこまで考えてるんすね」
「その、それでは過負担なのでは?」
「身を守る為に、半ば私的利用の目論見を含んでますから」
「でも、結婚したら他の方と」
「そこは臨機応変にしますけど。あ、コレは強制でも無いですし、半分は冗談ですからね?少なくとも従者は自分の所有物だと思って頂けるなら不要な行為なんで」
「そうっすね、俺らを手足と思ってくれて良いんすよ?」
「まぁ、はい」
『なら、お前がソレを収納しとけ』
『譲渡も正式な儀式の1つだ』
『ストックを作っておけよ、不要になれば返還したら良いさ』
そうして今度は蝋燭屋へ買い出しに行く事に。
「まいどー」
「もう、それはコッチの台詞なんですってば」
昔馴染みの蝋燭屋へ。
もう爆買いです。
「ふぅ」
「加減無しっすね」
「これからも宜しくお願いしますね」
「はい!」
そうして今度は百貨店の屋上へ。
「もう、馴染みを回ってる感じっすか?」
「ワシの世界は狭いので、ご紹介出来る限界はココまでです」
「素敵な場所ですね」
「そして美味い」
お雑煮やナポリタンを食べ、百貨店でお買い物。
「あぁ、向こうのの高級版って感じなんですね」
「直近の転生者の方が考案されました」
「何で今まで無かったんだって感じっすよね」
そうして改めて服や靴や下着を買っている間、花子は地下で飲食品の買い出し。
「ロボット、便利ですね」
「つかショナさん、さっきの何で断っちゃったんすか?」
「へ」
「受け取り方次第ではプロポーズっすよ?」
「いや、でも」
「あ、楔の事を気にしてるんすか?なら気持ちを確認すれば良いかと」
「その、もっとちゃんとした」
「守る為にも、良いと思ったんすけどね」
確かにと、自分の立場を使って守れる時が有るかも知れない。
けれど、そんな風に結婚を利用したく無い気持ちも有って。
「僕の理想としては結婚を利用しないで済む世界になって欲しいんです」
「あぁ、マジで真面目で完璧主義、似てて良いと思うんすけどねぇ」
恋もした事が無いのにと。
ただ同性に言うのは何だか気が引けると言うか、恥ずかしいと言うか。
コレが、プライドなんだろうか。
そして今度はドラッグストアへ。
シャンプーや石鹼を嗅ぎ比べる事に。
「ワシのオススメ」
「あ、匂いがイケメンっすね、何か嗅いだ事が」
「洗い心地も良い、家に置いてる」
「偶にこの匂いさせてたのって恋人さんじゃ無かったんすね」
「アレやねん、匂いの感じ方が変わるから限られるねん」
「あぁ、偶にずっと麺類なのそれなんすね」
「何か体調が?」
「女の子の日ですはい」
「んで、俺が集中してないと男の子の日だろうって誂ってくるんすよねぇ」
「日頃はコレ、気分で使い分ける」
「滅茶苦茶女の子っぽい匂いっすよね、ほら」
赤面する祥那に、ココで賢人は花子へ気が有るなと思い、花子はノンセクとかじゃ無いんだなと思い。
祥那は初めて香りを嗅いでドキドキしたなと思いました。
そして2人は、生暖かく見守る事にしました。
「じゃあ、ベガスに戻りましょうか」
「あ、服、忘れてました」
「盛り沢山だったっすもんね」
「賢人君や、水着は買わせたかね」
「バッチリっすよ、桜木さんは有るんすか?」
「備品にな、一応女子なんで非常時用にと詰めといた」
「流石っす」
そうしてベガスへ戻り、本格的な夕食へ。
魔王は浮島でお留守番。
ミーシャやサイラとも食事をする事に。
「ミーシャさん、菜食なのね」
「はい」
「ミーシャは脂やタンパク質の分解酵素が少ないので、お魚なら大丈夫ですよね」
「サイラさんは何でも食えるんすね」
「ネイハムさんはどっちなんでしょうかね?」
「ネムちゃんは何でも食うけど、食うの忘れる、過集中やねんなアレ」
「あぁ、お世話になっております」
「ネイハムの知り合いなら、マーリン様のお話は聞けてますか」
「それ俺も聞きたい」
「お願い出来ますか?」
そこでマーリンの悲劇が語られる事になった。
悲惨と言うか、悲恋と言うか。
「すみません、またしてもこの世界の暗黒面を紹介しました」
「でも温泉最高だったっすよ」
「良いお話も有りますよ、少なくとも女性同士での婚姻と生殖は叶いますから」
「ネズミのカグヤのお陰だそうです」
「良い面だけを知るより、僕には有益だと思うので大丈夫ですよ」
そうして夜はココで眠る事に。
部屋には祥那と魔王と賢人、浮島には女性陣。
「何か、修学旅行っぽいっすよね」
「ココもそうなんですね」
「あぁ、やはり人間らしい生活をさせるべきなんですかねぇ」
「その、拾った経緯をお聞きしても?」
「ボロボロで、すっかり痩せてて、私を見ても驚かなかったので、拾って育てました。人里から離れてたので、多分、召喚者なのかもと。ですが幼いので、そのまま届け出も無しに育ててました」
「あー、理由は分かるんすけど」
「その、予防接種とかは?」
「させて無いんです」
「え、不味いっすよ。従者には子持ちも居るんで」
「連絡は来てますか?」
幸いにも元気だそうで。
ただ、予防接種をさせないワケにも行かず。
「魔王の覚悟次第やで、人を信用するか、子供が病気になったら代わってやるか」
「そう代われたら良いんですけど」
「その、ネイハムさん達に任せる事も難しいですか?」
「桜木さんを匿う位なんですし、どうなんすか?」
「寧ろ、過負担になるのではと」
「いや、大丈夫じゃろ、行くべ」
そうしてリサとルカを北海道の病院へ連れて行く事に。
《どうも初めまして、エルフのネイハムと申します。このお爺さんより、私は年上なんですよ》
「コッチは五十六先生、どっちが良い?」
「「コッチ」」
《はい、ではご案内致しますね》
「宜しくお願い致します」
「桜木さんのメンクイって、あの先生のせいっすかね」
「否定は出来ないな」
「はぁ、にしても元気そうで良かったよハナちゃん」
「おう、良いもん食えてますんで最高ですわ」
「良かった良かった、昔はねぇ、もう細くて細くて」
「それよりよ、あの子達」
「大丈夫、普通の子として登録するよ」
「はい、宜しくお願いします」
「っす」
それからやっと、ベッドで眠る事に。
あっと言う間に朝になり、先ずはディナーバイキングへ。
そうして今度はハバスへ。
神様から良く備えろと言われ、祥那が導き出した答えは、やはり神様同士の連携だった。
「桜木さん、オススメは有りますか?」
「インカですかね、蛇が大丈夫ならですが」
「珍しい所を推すんすね」
「魔石持ってそうなので」
「そこなんすね」
そうしてインカへ。
半ば人間によって追い立てられたのにも関わらず、神々が歓迎してくれた事に花子は感動した。
「取り敢えず土下座させて下さい」
神々や祥那が止めた事で何とか収まり、話は神々同士の交流へ。
ココでも合意を受ける事が出来たので、交流場所は浮島でと言う事になった。
そうして次はフィンランドへ。
「ココは?」
「ユグドラシルっすか?」
「トリックスターはちょっと後回しで、魔道具の神様が居られると踏んでます」
《ロウヒじゃろかね?》
「ドリアード、なんで無許可やのに」
《北欧も我の範囲じゃもん》
「結構、初動で良いキャラゲットしてるんすね」
「ですね、案内をお願い出来ますか?」
そうして先ずはロウヒへ。
花子がイルマリネンの事を突っ込み、賢人はもしかして思い合ってるのかも知れないと思い。
祥那はほっておくべきか悩み、花子は会いに行くべきだと勧めた。
「良いんすかね、神様の恋路に茶々入れるなんて」
「茶々では無くて補佐や」
「兎に角、お話を聞いてみましょう」
そうしてイルマリネンに話を聞くと、どう考えても思い合ってはいるんだなと3人は理解した。
そしてどうしたものかと。
「あ、ちょっと行ってきます」
「桜木さん」
「あー、俺分かったかも。待ってれば大丈夫っすよ、多分」
そうして花子が男の姿でロウヒを抱えて来た。
そのまま目の前で口付け様とすると、イルマリネンに口を塞がれた。
『参った、僕に彼女を返しておくれ』
「どうしますかロウヒさん」
《そうね、渡してくれるかしら?》
何でも、柏木の家の隣に住む小雪と言う幼馴染が居るそうで、その子がお姫様になりたがっていたのがヒントになったと。
「ふぅ、何とかなって良かったわ」
「ぶっ殺されるかもって考えないんすか?」
「片腕は覚悟した」
「そう治せるからって無茶はしないで下さいね?」
「おう」
こうして神々を繋げ、成果を持って鍛冶神達の里へ。
《お、マジで宇宙のか》
《取り敢えずは磨くか》
《だな、何か欲しいモノでも考えとけ》
そうして初めて武器を要求すると、ベリサマが案内してくれる事になった。
倉庫ごと貰い、色々と試してみる事に。
「やっぱり銃なんすね」
「刀剣等は練習して無いので」
「アレよアレ、アクトゥリアン」
【はいはーい?】
「飛ばせない?射出」
【イメージして頂ければ可能かと】
「ショナさん、頑張って妄想して下さい」
「妄想って」
同僚のゲームで、確かに武器を異次元から飛ばしていたのは見た事が有るけれど。
【それですね!了解でー】
そうして亜空間から武器が射出、そうして今度は地面に刺さった刀剣達が地面に飲み込まれる様に収納された。
「おぉ、しゅごい」
「桜木さんのお陰です、ありがとうございます」
「コレ、俺らも使えたら良いんすけどねぇ」
《おーい!もう出来上がるぞー!》
真っ青でキラキラした魔石、海と空の様なコントラストの魔石。
様々な寒色系の魔石が揃うと、同行していたウルカグアリーが話し掛けた。
やはり自分もお嫁様が欲しいと。
「タマノオヤさんの近くに、蛇神様が居るかと」
「じゃあ行ってみましょうか」
「うっす」
従者用の魔道具をお願いし、島根へ。
お互いに一目惚れだろうと分かる雰囲気だったので、暫しの逢瀬の間に金山彦神の神社へ。
「ワシ、女なので待ってます」
《じゃあカールラも待つの》
そうして神様からヒヒイロカネを貰い受け、連携にも賛成して頂いた。
『向こうも、話がまとまったそうだ』
クエビコ神に言われ神社へ戻ると、結納の品が並べられていた。
そうして先ずは浮島へ。
そのまま婚礼の儀が執り行われる事に。
「良いんでしょうかね」
「沢山の方に祝われる方が良いかと」
「そうっすね」
チチャを飲み交わしていると、あのノームが現れた。
「変・身」
「ポーズ完璧っすね」
「お礼が遅れてすみません、コチラでどうでしょうか?」
《おう、男はエエねん、男は》
「中身が女でもエエの?」
《せやろが、ケバケバしい毒ガエルとアマガエルちゃんやったらアマガエルちゃんやろが》
「マジでガワなんすね」
祥那は以降の召喚者にも普及させるべきで、それこそ従者にも、果ては民間にもと思ったが。
「この魔道具、普及させるデメリットって何が思い付きますか?」
「恋愛でしょうな」
「そうっすね、嫉妬心が全包囲になりそうっすね」
「あぁ、友達だって行っても嫉妬深いと信用されないとかですかね」
「でもそれって、今も既に女性同士のケンカの常套句ですけどね」
「それが男同士にもって感じっすよね」
「でも、男性同士でも、妊娠って可能なんですか?」
《長期間付けりゃな》
《そうなると、取れても問題は無いだろうが、臍や耳は危ないな》
《だな、舌用も作るか》
そうして花子が試す事に。
「あの、もっと言うと中性体にもなれるのが欲しいんですが」
《あぁ、身を守るには確かにな》
《こう、目盛りを付けるか》
《ココをこう》
そうて3種類の体になれる魔道具、2種類になれる魔道具が完成した。
「ふぅ、ワシは食うのに邪魔なので臍で良いです」
「元が女性なら付けないで良いっすもんね」
「男性なら舌、女性ならお臍か、好みで選ぶか、ですね」
「普及させるには解析させる必要が有るんですが」
《おうおう、イルマリネンを懐柔させた礼だ》
《俺らはどうにかしたくても出来なかったんでな》
《仲間が増えた礼だ、人間にもギリギリ作れる様にしといてある》
「ありがとうございます」
そうして今度は省庁の隣へ。
先ずはリズに会う事に。
「何か、普通だな」
「何だよリズちゃん、可愛いでしょうが」
祥那は社交辞令なんだとグッと堪え、賢人はニヤニヤしていた。
そしてリズは成程なと思った。
「で、魔道具だったか?」
「おう、君も欲しがる筈だ」
「ま!」
「マジだが、普及してもだ、未成年の使用はイカンだろうよ」
「うぐぐぐ」
「まぁまぁ、解析頼むよ」
そうして一通りの魔道具を預け、申請する事に。
「はぁ、俺の救世主様だったか、感謝する。普通とか言ってすまんかった」
「リズちゃん、元が男の子やねん」
「そうでしたか、なら不安でしたよね」
「おう、コイツ酷い方だからマジでビビってたんだわ」
「さーせん。あ、体質知ってるから大丈夫、味方に引き込もうと思って直ぐに言ったねん」
「痛みで起きるとかマジで有り得ねぇ」
「あの、直ぐに治さなかった理由は?」
「まぁ、体験してみないとね、科学をさ」
「1年だったっけか、もう見てる方が辛かったわ」
「どうして、そこまで」
「体験しないと分からないじゃん、痛みとか不便さって。ズルっこ出来る余裕が有ったから耐えられたけど、しんどいわな」
「だから余計に、なんですね」
「その、神様を頼るとかって、出来る様になんないんすかね?」
「ワシも考えたけどさ、科学の衰退は願って無いのよ。何なら引き続き進歩して欲しい、けど、科学が追い付くまで、何年掛かるのって思うよね」
「その、神様も選り好みされる方も居ますし、願い請われるのが嬉しいみたいですし。兎に角、話を聞いてみたいと思うんですが」
「なら、オススメが有りますが」
「はい、お願いします」
「よし、リズちゃんも来い」
「え、俺も?」
花子の意図は直ぐに分かった。
神々がどれだけ人間の事を考えているか、自力で頑張る姿勢が大事で、それを支援する事が喜びなのだと。
少なくともこの目の前に居る神様エンキ神は、そうなのだと。
「泣くな、ワシもフォローするでな」
「おぅ」
「あの、ご協力をお願い出来たらと思っているのですが」
エンキ神も神々の情報交換には同意したが、浮島が狭い、と。
そして倉庫のエリクサーをやるから、もう少し広々と出来ないものかと。
「ワシの力でも良いなら」
寧ろココの人間が出来る事ならすべきで、ある意味でそれを助力するのも召喚者の使命であったりもすると。
祥那は改めて花子に頼み、浮島を拡張させる事になった。
ただ浮島を拡張させる筈が、植物が育ち、妖精が生まれた。
《命を促すのは、植物であっても同じ事ですから》
「おぉ、お花屋さんし放題やんな」
「でも桜木さん虫ダメじゃないっすか」
「そうなんですね、ふふ」
そうして花子が休み休み浮島を拡大させる間、祥那と賢人は次の神様、トール神の元へ。
初めてユグドラシルへ足を踏み入れると、大きな鴉のフギンとムニンに案内されながら、ヴァルハラへ向かった。
そうしてアッサリと了承を得ると、ドリアードが鼻歌を歌い始めた。
花子から魔素が溢れ、影響を及ぼしたのだ。
「マジっすか、誰か」
「その、こう言った事に詳しい方って」
エイル神に事情を話すと、偶に居る体質なんだそうで。
霧散を待てば問題無いとの事だった。
だが暫くは立入禁止、花子は1人で過ごす事に。
【すみませんでした、前は腹痛だった筈なんですけど】
「そうなんですね、痛みが無いなら安心です」
「そうっすよ、久し振りの1人はどうっすか?」
【そら寂しいですよ、多少】
「桜木さん、嘘を言って貰っても良いっすかね?」
【ハンバーグ嫌い】
魔道具の通信機経由でも反応した。
コレは便利だと思ったけれど、一体、どう活用したものか。
「どうもっす、じゃあコッチは休暇にしましょうか」
「あの、刺青を入れたいんですが」
『あら、じゃあ私が手伝うわよ?』
こうして、祥那は神域でエルフと神様に刺青を入れて貰う事に。
まだ何処かで異世界だと実感出来て無いのか、異世界だなと思った。
そして刺青が終った頃、花子の魔素も消え去ったと連絡が来たので戻る事に。
どれだけ頑張ったのか、アヴァロンやユグドラシルの様に広大な浮島へと変化していた。
そして木々には実がなり、味見していると聞き慣れぬ声が掛かった。
『ココ、誰が作ったの?』
「ワシですが、そも貴方様は」
『ロキ、結婚して』
眉目秀麗な男神ロキが、花子の手を取り求婚をした。
「あの、厄災が終わってから考えるのでも良いでしょうか、なんせ従者なので」
『うん、待つ待つ。あ、君が召喚者?』
「そうですが」
『この子頂戴?』
「あの、僕は」
『好き?』
黙ってしまった。
好きとは何なのかもまだまだ分からないのに、好きかどうかなんて。
「そんな事を考える間も無くお忙しくされてるので、邪魔するならお断りしたいんですが」
『ごめーん、そうだよね、まだまだ赤ちゃんだものね。ごめんね』
花子が何とかロキを引き剥がし、どうすべきかの相談へ。
「なんか、思ったよりチャラいっすね」
「ですが、悪い方では無いんですよね?」
「そも、ラグナロクが人間側と同じなのかを確認したいんですが」
「あ、確か……」
ロキの立ち回りにより、ラグナロクは演舞で終ったと。
「フギンさんとムニンさんにお会いしたいんですが」
「お願い出来ますでしょうか」
《任せるですぞー》
《凄い森ですぞー》
『あ、フギンとムニンじゃーん』
《《げっ、ロキ》》
「何か、伺い知れると言うか」
「お察しって感じっすけど」
「一応、確認しましょか」
ロキへの情報共有は、少なくとも北欧では御法度。
ロキと人間の為、利用し合わない為、互いに興味を引かせない様にと。
「その、具体的な弊害は?」
《不幸の鈴持ちなんですぞ》
《何某か不幸が訪れるんですぞ》
「え、帰れ」
「ちょっと、魔道具がぶっ壊れるのは困るんすけど」
『えー、でも神々のなら大丈夫だと思うけど』
どう不幸が訪れるのか。
今回は花子の魔素を引き出す結果に。
「もう嫌や、帰れ」
「おぉ、キラキラ凄いっすね魔素」
「え?」
取り敢えずはロキを連れ、ヴァルヘイムへ。
そうしてココで祥那には魔素が見えない事が確認され、将来的にも見える事が無いと発覚した。
『災い転じてって感じじゃない?』
『ごめんさなさいね、鎖を付けるワケにもいかなくて』
「あの魔素が見えた方が良いと思うんですけど」
「そうっすよねぇ、魔道具っすかねぇ」
『あ、ならこんなのはどう?』
それは眼鏡。
そしてフギンとムニンの案内で魔道具の神々に会いに行くと、そこは鍛冶神達の居る里だった。
《あぁ、繋がってるんだが》
《どうした》
《良いから言ってみろ》
そうして魔道具で眼鏡も制作する事に。
そこで花子の相談をしたのだが、もう体質なので遺伝子レベルで作り変えるか、死ぬ以外に方法は無いと。
【まぁ、追々、困ったら変えるつもりですが】
「あ、強制と言うか、もし困ったらなので」
【おう、どうもです。ご迷惑をお掛けしまして】
「いえ」
『もう大丈夫だろう』
そうして眼鏡姿の祥那を、花子は拝んだ。
「桜木さん眼鏡フェチなんすよね」
「有り難いねぇ」
流石にお世辞として片付けるワケにもいかず、眼鏡ごと顔を覆ってしまった。
「あ」
「慣れないウチは少しずつですな」
「そうっすね」
花子は祥那からの好意を危険視した。
独占していると嫉妬される事への警戒は勿論、もっとこの世界を良く見てから考えて欲しいから。
自分よりも良い人間は沢山居る、だからこそ。
「そろそろ、ワシ交代しますよ」
「え」
「桜木さん」
「ご迷惑もお掛けしましたし、ほら、女なんで」
「あぁ」
「でもっすよ、他にって」
「多分、ジュラさんかと、ただ」
「結婚控えてるんすよねぇ」
「それか、華山さんですかね」
「あー、ぶっちゃけ俺は近付けたく無いんすけど」
「自分達とは合わないにしても、津井儺さんには合うかもですし」
「寧ろ元教官の方が良いと思うんすよね、似た感じだし」
「確かに、そう話してみましょう」
そうして元教官が従者になる事に。
「こう、元教え子と組むとは感慨深いですね」
「俺は緊張するんすけど」
「宜しくお願い致します」
「はい、宜しくお願い致します」
少し母親と似ているから落ち着くと言うか、少なくとも花子の様に心を動かされる事は無くなった。




