空から美少女が降ってきた結果
「あー暑い。だっる」
真夏の朝、学校への登校中。まだ日が照って短いはずなのに、この茹だるような暑さはなんなのか。
人通りが少なく、日陰の多い小道を進む。障害物のない大通りなんて歩いてられるか、と愚痴っていた。
とぼとぼと歩いていると微かに音が聞こえる。
「なんだ?暑すぎて幻聴でも聞こえたか?」
ぁぁぁぁぁぁと叫びのような声が聞こえてくる。だんだんとこちらに近づいてくるようだ。
「っ、どこだ?」
辺りを見回すが、特に異常はない。横道や角からくるには声の近づく速度があまりにも速い。
「ぁぁぁぁぁぁああああ!!」
「上かっ……」
見上げると、真上から落下してくるのはパッと見でも分かる美少女だ。ただし、凄まじい速度で。
(あっ、死んだわ)
スローモーションになる世界の中で、なんとか頭をずらし、予想落下地点に腕を伸ばす。だが、いかに火事場の馬鹿力を発揮し走馬灯が流れゾーンに入っていようと、ただの学生に何が出来ようか。落ちてくる質量に耐えきれず、腕が折れ、足が潰れ、衝撃で体全体にヒビが入ったような感覚を覚えた時には既に意識はなく、生命もなかった。
「ああっ!どうしましょう!?」
落ちてきた美少女は、控えめにいってミキサーにかけた状態になるだろう速度で地面に激突したとは思えない様な格好だった。体に傷はなく、服に乱れもなかった。
落ちた事実などなかった様子で、死んだ少年を見てあたふたしている。自分のせいで起きた惨劇を一体どうするというのだろうか。
「とりあえず蘇生……うげっ、必要ポイントえげつない!?私に過失があるからでしょうか。とはいえこの辺りに通行人はいなかったはずなんですけどねぇ」
むむむ、と頭を悩ます美少女。自分が悪いとはいえ、対価が大きすぎて払うには厳しい現状をいかに誤魔化すか。
「おや?存在をなかったことにする方が消費が少ない?……おかしいですね、手間を考えると蘇生の方が楽なはずですが」
うーん、と一瞬考えるが
「ま、いいでしょう。少ない方がいいですし何もなかったということで。こんなことになるなら今後は空から来るの止めますかね、スカイダイビングみたいで楽しかったんですが」
ほいほいっと何かを操作した様子の美少女。美少女が何事もなかったかの様に立ち去った、人の成れ果てが飛び散り言葉で表すには難しい程に凄惨な現場だった場所は、既に綺麗さを取り戻し平穏な日常を演出していた。
(続きは)ないです。設定はあったけど忘れました。