願い事ひとつだけ
白く煙る地上に限りなく近い場所
君がやってくる
たぶん、手作りのモノを片手にして
スローモーションのように映る
横断歩道を渡る君に
僕はココロの中で
両手を広げて待っている
僕の手には
少し顔を出した約半分以上は恥ずかしがり屋さん
君の位置からは、もう
確認できるのかもしれない
ほほえんで
差し伸べて
軽く握る程度で
あたたかさを生んでく
そのすべての動作が
いま君の知るなかで進んでゆく
僕はそれ以上の笑顔はつくらない
君に頼んだ手作りのモノ
僕は「何でもいいんだ」
君にそう言って
はにかんだ
そのお返しに
君に尋ねる
君は『何もいらないと』
僕が選んだモノは
君の歳より一本多い赤いバラ
次の君の誕生日も
こうしていられますように・・
そんな願い事ひとつだけ