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妖話舞闘会  作者: 風紙文
4/9

プロローグ B

はじまりはじまりのはじまり

ある日、森の中を歩く1人の少女の姿があった。

赤い頭巾を被り、手に持つ藤の籠にはパンとワイン瓶が入っている。

まるで童話に出てくるこの後出会う動物に食べられる少女のような姿だが、そんな目の前にまさに動物が現れた。


ただし、童話とは少し異なっていて。


森の中を歩く赤い頭巾の少女の前に現れたのは、少女の倍は背丈がある熊であった。

グワァァァァ!!

「ひっ……!」

熊は立ち上がって少女を威嚇。怖さに体を震わせる少女であったが。

『……おい、何怖がってんだよ』

どこからか、声が聞こえてきた。

少女よりも少し低めなその声と、少女は驚くことなく言葉を交わす。

『こんな奴たいした事ないだろ。いちいちビビってんなよな』

「でで、でも……やっぱり怖いよぅ……」

『そりゃ大きさにか? それとも声か? まさか爪とか腕の太さとか言わないよな?』

「それは、大丈夫だけど……やっぱり、大きさ、かな」

『なら、まずはそれを無くすことだな』

「う、うん、分かった」

すると少女はどうやって入れていたのか、籠の中から大きなハサミを取り出し、籠は地面に置いてハサミを半分に分けて双剣のように持ち構えた。

『気にせず突っ込め』

「は、はい!」

立ち上がっている熊目がけて少女は走った。

グワァァ!!

熊は高所から少女に爪を振り下ろす。

真っ直ぐに突き進む少女の頭、その赤い頭巾に向かって太く鋭い爪が……


『悪いが、そうはさせねぇ』


赤い頭巾が伸びて現れた腕のようなものとぶつかった。

『行け!』

「はい!」

少女はそのまま身を低くし、熊の足の間をくぐり抜ける。その際に双剣で両足の内側を切りつけると、熊はバランスを崩して前に倒れ込んだ。

『これで大きさの怖さは無くなったな?』

頭巾から伸びた腕が消え、低めの声だけが聞こえてくる。

そう、少女と話す声は、少女が被る赤い頭巾から発せられていたのである。

『じゃあ、後は頑張れ。ホントに危ない時は助けてやるよ』

「は、はい。頑張り、ます!」

『そういや、返事。はい、じゃなくて、うん、で統一しろって言ったよな』

再び腕が現れ、自身でもある少女の赤い頭巾をぺしぺしと叩いて注意した。

「あ……う、うん! 頑張り、ます!」

等と話している間に、熊がこちらを向いた。しかし足をやられている為か先程のように立ち上がることなく四つ脚で少女を睨み付けてくる。

『やられんなよ?』

「はい!」

赤い頭巾はもう一度叩かれた。

「あぅぅ……」

『とにかく、さっさと終わらせてそれ届けに行くぞ』

「う、うん!」

少女は双剣を握り直し、一歩踏み出した。

しかし、そこに地面は無かった。

「へ……?」

『お……?』

数秒前までは無かった筈の大きな穴がそこには開いており。踏み出した少女の足は地に付くことなく、浮遊感は一瞬に。


「きゃぁぁぁぁぁ!?」


少女は穴の下へと落ちていった。

これも

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