悪化する未来
…チッ!いって…!
目を覚ました瞬間に激痛が襲ってきた。しかし、もう慣れていること。身体、特に地雷を踏んだ右足だが もう完全に治った。
俺が地雷を踏んで爆死してからどのくらい経ったのか、分からんがそんなに時間は経っていないはずだ。俺が独学で考えた2つの太陽の位置関係から今の日時を割り出せる方法があって、それをもとに計算すると5分も経っていないことが分かる。…この計算を論文にまとめて発表しようかな?
それはともかく、今は俺の論文のことよりシルフィーを科学者から救出することだ。
あの科学者め、シルフィーを拐ったことや俺を爆死させたことを後悔させてやる。
そのためにまずは、敵の位置を知らないとダメだ。俺は超音波探知を使って探すことにした。
まったく反応しない。…ということは俺の近くにはいないということか。いったい何処へ連れ去られてしまったんだ?早くしないとシルフィーが危険な可能性がある。
…!やっとあの人間の反応が出た。場所は10km先の洞穴のようだ。随分と時間が掛かってしまったが、見つけてしまえばこっちのものだ。
俺は翼を出して、上空に飛んでから超加速を使おうとした。しかし、後ろから銃声が聞こえ、弾が俺の方へ飛んできた。幸いにも俺の黒いロングマントのお陰で心臓の位置を特定されなかったものの脇腹に被弾した。まさか、俺の超音波探知でも見つけられない程の狙撃者が隠れていたとは。
「チッ…外したか。…って貴方は…!」
その狙撃者の顔は見たことある…いや、知っている顔だった。かつてノーゼアクト王国に雛乃を救ったときの仲間、菊葉 出雲だった。アイツは
『鷹の狙撃手』の異名を持つ程の天才狙撃者で、自らの体質を個体、液体、気体に変化させるという“状態変化ノ魔法”を使う。
超音波探知に反応しなかったということは気体になっていたのだろう。1年前よりかなり魔法の腕が上がっているな。俺が教えた訳じゃないけど。
「な、何で京夏さんがここに…?」
驚いた顔をしているけど、俺も驚きだわ。一人でのんびり旅をしたいって言って別れたのに、今のあいつはのんびり旅をしているようには見えないけどな。きっとあの科学者に雇われたのだろう。けど、今は俺の敵なら容赦はしない!
ちょっと待っててくれ、シルフィー。
__風間博士side
「さてと。帰り道を吐いてもらおうか」
「いやよ!」
「言うことを聞けよ。立場を弁えろよ?エルフ」
「うぅ…」
「吐けって言ってるんだよ!」
風間博士は脅すために腰に付けていた拳銃を出して構えた。
シルフィーは震え半泣きになっていたが、帰り道を言わなかった。
風間博士は呆れて、シルフィーが喋る気になるまで放置することにした。台になるような岩に腰を掛けて、拳銃に弾丸を詰めてた。
シルフィーはその隙に手を縛っている縄を解こうとした。しかし、ごそごそとしていたから あと一歩のところで風間博士に気付かれた。
「おい、何をしてる?」
風間博士はシルフィーが縄を解こうとしていることに感づき、蹴り倒し背中を見た。
「やっぱりか…。縄よりも手錠の方がいいか」
と言うと、手錠に付け変え、また弾丸を詰めていた。
次回…かつての仲間との戦い