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さ~て。 世界の欠片でも集めるか!!__京夏魔王編  作者: 結城 睦月 & まひる
第三章
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悪魔で噂

シルフィーと仲直り(?)をして数週間が経過していた。

あれからというもの、シルフィーは俺の左腕に抱きつくようにべったりとくっついて、全然離れようとはしない。

何度か歩きにくいと言ってみたものの、「やだ!」の一言を返されるだけである。


そんな中、俺たちはある噂を耳にすることになる。それは衰退した滋賀の街から乾燥した大地ビワに向かう途中の冒険者の宿に泊まった時のことである。

冒険者の宿では毎日様々な情報が行き交う。それが例え、衰退した街にある冒険者の宿としてもだ。ただ、衰退したと言っても世界融合事件の前の街のことであって、事件後に新しく作られた街ではない。ここら辺はまだ新しく、土地も多く余っている。これから先、人が増える可能性があるかもしれない。



話を戻そう。俺たちが聞いた噂についてだ。

その情報を聞いたのは冒険者の宿で朝食を食べている時だった。別に盗み聞きしていた訳ではないが、噂を言っていた冒険者がやけに大声で言うものだから耳に入ってきただけである。

その情報が正しいのであれば、大声で言うのも可笑しな事でもなかった。なぜなら、『奈良のイカルガで悪魔を見た』という内容だからだ。悪魔はとても知能が高く人の言語を話したり、魔法も使えるから危険視されている。…吸血鬼の俺が言うことではないが。


しかしながら、俺たちはその奈良方面に向かっていた。96年前は普通に琵琶湖があって、反対側へ行くのは外回りか船で行くしかなかった。今というと水の一滴も存在しない大地に変わってしまった。周りを見渡しても何も無い土地が広がっている。


「京夏、喉乾いた〜!水ちょ〜だい?」


突然腕に巻きついていたシルフィーが上目遣いで水を欲しがってきた。その水というのは俺の魔法“空想(ファンタジー)”で創り出したものである。ちょっと前までは魔法で創った食べ物などは受け取りもしなかったというのに、今では自分から願ってくる有様だ。別にいいんだけどな。むしろ空腹でいるより食べてくれ、と思う。


「クリエイト、“水筒”」


水の入った水筒をシルフィーに渡すと、美味しそうに飲んだ。ただの水なのにと俺はいつも疑問に思う。水に限った話ではない。昨日の夕食の時だって…。夕食は別に良いか。


ついでに俺も水分補給した。

それにしても、日差しが眩しく暑い。空に何も遮蔽物がないだけでこれだけ暑くなるんだ。なんで()りに()って雲一つないのか。


またしばらく歩けば、すぐに疲れる。やはりこんな時には移動手段を変えようか。


「クリエイト“馬車”」


魔法を詠唱すると目の前に馬車が現れた。これで水のない琵琶湖は超えられる。


「さぁ、乗って?」


とシルフィーの手を引き、馬車の客車へと誘導する。シルフィーは少し照れながら、客車に座った。俺は運転しないといけないからゆっくりは出来ないけど、彼女はゆっくりと身体を休めてほしい。


……それよりも暑過ぎる。いくら俺が太陽が平気な吸血鬼とはいえ、さすがに灰になる。あっ、そうか。


「クリエイト“日傘”」


これがあれば多少マシってものだな。

―琵琶湖を超えるまで残り1kmあまり。

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