真実の花
咄嗟の判断でクリエイトでシルフィーに障壁を張った。
しかし、急に貼ったせいか、上手く貼れなかった。こんな事は今まで1度もなかった。きっと、もうシルフィーを失いたくないという気持ちだろうか?それって恋かよ。
不完全な障壁は宛にならないから、もう1人の敵に手を延ばす。そうすれば、刀が当たると思ったが、実際は2mほど離れていたようで、かすりもしなかった。
撃たれた弾はそのまま障壁にあたった。しかし、不完全と言えど俺の障壁を破ることの出来なかったようだ。これがもっと強い冒険者だったら、簡単に破られていたことだろう。助かったぜ。
障壁は透明だから、まるで銃弾が空中で跳ね返されたかのようで口の悪い冒険者は動揺していた。
「これでチェックメイトだ」
俺はその隙に背後から刀を首に当てて脅し制圧した。
脅された冒険者は膝から崩れ落ちた。
もう戦意喪失しているだろう。これでもまだやろうっていうやつは、愚か過ぎる。少なくとも素人ではないようだからその心配はないだろう。
俺はシルフィーの方へと駆け寄った。
「大丈夫だったか?怪我とかないか?」
「私は大丈夫だよ。京夏が守ってくれていなかったら、今頃立ってなかったよ」
「少なくとも、俺がいなかったらあいつらに絡まれてもいなかっただろうけど」
「それもそうかもしれないね。どうする?また、花を創り出すの?」
「別にその必要はない。七色の花なんてそこら辺に咲いているからな」
「え?どこどこ?」
シルフィーは背伸びをして、周りに咲いている花の中から必死に見つけ出そうとしている。この様子だとまったく知らないようだな。
俺は足元に咲いている1輪の花を手に取ってシルフィーに見せる。
「ほら、これだよ」
「でもそれ、普通の花だよ」
俺はもう片方の手で1つの太陽の光からそれを覆い隠す。すると、時間差で虹色に輝き出した。
「うわぁ、綺麗。でもどういうこと?」
「太陽は2つあるわけだろ?その片方から光を隠すともう1つの太陽だけの光になる。それで光るって訳」
「つまりそれって…」
「そう。ここに咲いてる花、すべて正真正銘、本物の七色の花ってこと。でも、その真実を知らない人がほとんどで、たぶんこの花を依頼主にあげたとしても嘘と思われるだろうから、結局は創り物も合わせて、2輪あげてあげよう」
シルフィーは納得したように頷き、自分の足元に咲いている花を取り、髪に飾った。
「これは記念にとっておくね。どうかな?」
「とても似合うと思う。…さて、じゃあ日が暮れる前に帰ろうか」
また帰り道は長い長い道のりだということが最悪だ。
帰りの道中、馬車の中でシルフィーが質問をしてきた。
「すべてが七色の花なら、それこそすぐに帰れたのに。何を探していたの?」
「1番綺麗に輝く花だよ。同じ花でも綺麗なほうがいいだろ?でも、真実を知らない人には、それほど大したことじゃないんだけど」
「優しいんだね。吸血鬼のくせに」
「よく言われるけど、その言葉が1番嫌いだな」
「そっか。……ごめん」
シルフィーは俯いたまま、シデアの街に着くまで何も喋らなかった。
次回…まだ足りない




