優しさの潜入作戦
よし、考えた。恐らくはこうだ。『私の女子としての魅力があるかないか』ということであろう。そうゆーことなら俺も男だ。本気で受けて立つ!待ってろ、シルフィー!
もうすぐ浴場に入るだろう。ここは4階だが、俺は窓を開けると飛び降りてすぐに翼を出した。このまま露天風呂から入ると、それは覗きではなくなる。犯罪だな。この際だついでに俺も入ろうかな。…入るのはちゃんと男湯なっ!!
ちゃんと服を脱いでから、浴場へと入った。露天風呂は結構広く、女湯との境には竹で積まれた竹壁があるのみだった。
一先ずゆっくり入るか。
__シルフィーside
うわぁ、広〜い!しかも、こんな時間だから他のお客さんもいない。独り占めだいっ!
ゆっくりとお湯の中に入ってみると、適温で安心した〜。熱かったら長く入っていられないもの。
はぁ〜 気持ちいい
ちょっと怒っちゃったから、京夏は来ないよね〜
私はゆっくりと頭を岩に付けて空を見上げると、星々は薄らと輝いていた。私は星座の名前とかには詳しくないけど、綺麗ということは分かる。
すると突然 男湯の方の壁から風呂桶が落ちる音が聞こえた。京夏なのっ!?覗きに来てくれるなんて…えっち…じゃなくて変態!ド変態!
私はそう思いながらも口元は笑っていた。可笑しいのかな、私。
もう少し入ってから出ようかな。
__京夏side
俺は風呂桶をわざと落として、物音を出せばシルフィーも気付いて納得するだろう。もしも、覗かないでという意味でもただの物音に聞こえるだろう。俺の出した最適な答えはこれだった。
しかしまぁ、設定の透明化で全身を透明にして本気で覗きに行ったことはシルフィーにも永久的に内緒だな。
何事も無かったかのように部屋に戻って椅子に座って待っていると、10分後くらいにシルフィーが帰ってきた。その表情は部屋を出た時のむくれた表情とは逆で照れながら微笑みを浮かべていた。
「お、なんだ?お風呂でいい事でもあったのか?」
「う〜ん、内緒っ」
この不自然な、風呂場での出来事を知っているような言い方についても、あの物音に気付いたようで良かった。
「そうそう、今日の依頼の報酬金は40マインだったぜ」
「じゃあ あと45マインだよね?」
「あぁ。明日も仕事をするから今日のところはもう寝よう」
「うん。おやすみ〜」
俺とシルフィーはベッドへ移動すると同時にダイビングした。ふわふわのトランポリンのように反発して弾んだ。こういうのは心も弾むな。
◆ ◇ ◆ ◇
__翌日
気付いたら、俺らは眠ってしまったようだ。
まぶたを開くとすぐ目の前にシルフィーの可愛い寝顔があったことに驚いた。別々のベッドで寝たはずなのに、いつの間にか俺のベッドにシルフィーが入ってきていたようだ。
シルフィーも目を覚ますとキャーー!!と叫ばれた。
「なんで、京夏が私のベッドのところにいるの!」
「違う違う、ここは俺のベッド」
「えっ、私の方が入ったの?」
俺は「そうゆーこと」と頷くと段々顔が赤くなっていくシルフィー。
装備を整えて、今日も冒険者の宿に行った。輪証を見せて掲示板を見ると、新しい依頼も貼られていた。
さ、今日も一仕事するか!
次回…カレー代を返却する…?
 




