罪と新規
「まず、カレー代でも返そうかな?」
「いいよ。あれはクリエイトで創ったものだし」
「それって偽造じゃない!」
「ちゃんと使えるし…」
「偽造でしょ?」
はい。その通りですね。偽造通貨ですよ。くそっ、今までこれでやってきたのに ここで注意されるとは。
「とは言っても私も食べてしまったから文句は言えないけども、でもさすがにこのままっていうのも見逃せない」
「なんだ?魔征軍に突き出すのか?」
「嫌、私まで同罪で捕まってしまうもの」
あ、魔征軍とは、“魔界征服軍”の通称でこの世界の悪魔や魔物退治やら、悪人の逮捕、裁判まで行っている機関というか、組織だ。魔界征服軍と言ってるくらいだから、現魔王のエンドを倒そうと何度も何度も遠征しているようだけど、3年前に魔征軍のトップが変わり、すぐに出したそいつの成果が最後だ。“天の勇者”と呼ばれていたな。ちなみにその前の成果は25年も前の事だ。
話がだいぶ逸れたけど、それにしても意外だ。シルフィーのさっきまでの言動力は正義感なのか、それとも自分の決まりなのか。
そして、シルフィーは考え出した結論。冒険者の宿でカレー代(85マイン)を稼ぐこと、ということになった。
まずはこの街の冒険者の宿を探すところから始まった。まず街の人に聞き込みからだな。とりあえず俺らの右側で果物などを売っているおじさんに話しかけることにした、シルフィーが。
「すみませ~ん!この街の冒険者の宿は何処にあるんですか?」
「この道をずっとまっすぐ進んだ先に木造の大きな建物があるだろ?アレさ。何だい、お嬢ちゃんたち。旅の者かい?」
「そうなんですよ~。迷いっ…!」
シルフィーが迷いの森について語る前に俺は阻止した。自分がエルフだと、明かすつもりか?人が良いようにも見えるが、大抵は表向きだ。この人も商人、もとい人間なのだから。
しかし、話を途中で遮ったことにこのおじさんは不信に思うかもしれない。
「迷い?…あの森か!?」
「いやいやいや、俺ら旅の途中で道に迷ってしまって、そこで盗賊などに遭遇したりと色々あってお金が底を突いてしまったんですよ!」
「そりゃ~ 災難だったなぁ。それなら、これを受け取ってくれ」
と言ってどういう訳か、おじさんは俺ら2人に林檎をそれぞれくれた。これは俺の嘘の話を間に受けたな。
その林檎を有り難く貰い冒険者の宿に向かったその途中はシルフィーは、気に入らなそうな顔をしていた。
「あの人、優しそうな人だったのに」
「あの人だって、人間だ。目の前に金になるモノがあればそれを選ぶだろうに」
シルフィーはフードを深く被り直した。少し意地悪だったかもしれないが、それもこれもシルフィーの身の安全のためだ。
そうこうしているうちに目的地である冒険者の宿に着いた。扉を開けると昼間っから酒を飲んでいる中年のベテランぽい冒険者で既に賑わっていた。入口のすぐ横にお姉さんがいた。いつものやつだ。
「“輪証”の提示をお願いします」
俺は右の手首にあるリング状の紺色の刺青を見せた。シルフィーは不思議そうに見ている。ちなみにこれは何をしているのかというと冒険者であることを証明しているのだ。
「貴方は釧路 京夏様ですね?えっと、そちらの方は?」
「新人なんだ。輪証の登録をしてやってくれ」
「かしこまりました。貴女のお名前は?」
「私は、シルフィア=エルミーテよ」
「シルフィア様、利き手をお出しください」
と言われシルフィーは右手を出した。そして、手首にスタンプのような物を押すと、そこからリング状に広がっていった。それから数分で登録は完了した。
「登録完了です。良い仕事を」
「あの、ありがとうございました」
そう言い終えると、俺ら2人は奥の依頼が貼ってある掲示板に向かった。
次回…シルフィーの初依頼




