復活のご馳走
焚き火を消して、再び歩き出した。一晩寝たから魔力は回復した。
20分くらい歩くと、またあの広い空間に出た。今度は斜め左と斜め右の2つの別れ道があった。ここは、斜め右が正解だ。
また10分歩くと今度は斜め左,前,斜め右の3方向に続いていた。斜め右の道に進む頃のシルフィーの様子は、もうフラフラで今にも倒れそうな感じだった。
「いったい、いつまで、歩くの」
「出口はすぐそこだって」
「ダメ、もう歩けない…」
仕方ないから俺はシルフィーをお姫様だっこして、背中から翼を出して洞窟内を高速で飛行し、外を目指した。正面には光が輝いている。あれが出口か。
猛スピードで洞窟を出ると、そのままの勢いで上空に上がり、シルフィーに街の方角だけを聞いた。シルフィーは上空からでも自分たちの居場所を把握したらしく「あっちよ」とゆっくりと指を指した。
◆ ◇ ◆ ◇
結構な距離があったけど、数分で着いた。念のため街に着く前に、シルフィーにフードを被せておいた。ほら、エルフだからね。フードを被るだけでどれだけ安全になることか_
街の中に入ってすぐの何の店か分からないけど食事処に入った。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「二人」
「では、奥の席へどうぞ」
店の人は半分死にかけのシルフィーを気にしつつ、しっかりと接客してきた。これについてはあんまり触れてほしくないな。別に疚しいことなんて何もないけどなっ。
椅子に座るとシルフィーが店に広がるスパイシーな匂いに反応した。どうやら、ここはカレーの店だったらしい。
「シルフィー、大丈夫か?何でも食べたいもの選べよ?」
「…ジャンボカツカレー」
「良いけど、相当でかいと思うぞ?」
「…大丈夫」
そっか、食べれるならそれでいいんだけど。昨日の朝御飯が最後のご飯か? 食欲が凄いのも分かる。
俺は店員を呼んで注文した。ちなみに俺は ビーフチキンカレー を頼んだ。
少しすると、俺の頼んだカレーが先にきた。至って普通の大きさの美味しそうなカレーだ。
「じゃあ先に食べるな?いただきます」
俺が4分の1程食べてた頃に、やっとシルフィーが注文したカレーがやってきた。最早俺の席の反対側に座っているシルフィーの蒼い瞳から上しか見えない量だ。来た瞬間半分死んでいたシルフィーが生き返って、「わぁ~」目がキラキラと輝いている。
「いっただきま~す♪」
パクパクと凄い速さでシルフィーの口に吸い込まれていく。俺が一口食べるとシルフィーは三口減っていく。
店の人も周りの客も速さに唖然としている。
「ごちそうさまでした」
「はやっ」
俺が残り数口ぐらいなのに、後から食べたはずのシルフィーが先に食べ終えた。俺もすぐに食べ終えて会計した。
「85マインになります」
俺はポケットから銀貨を1枚取り出すと見せかけて、ポケットの中でクリエイトした。
「100マインで」
「15マインのお返しです。ありがとうございました」
店を出るとシルフィーが袖を掴んできた。
「色々とありがと」
「何のこと?」
「助けてもらったり、おごってもらったり」
「別に気にしなくてもいいって。それじゃあ気を付けてな」
「えっと、こういうのはちゃんと恩返しがしたくて…」
「恩返しをされたくてやった訳じゃない」
「分かるけど、私の気持ちも分かって!」
怒ってはいないけど、強く言ってきた。いったい何を恩返ししてくれるのやら。しかし、強く言ってきたのだから恩返しをしてもらおうかな。
「分かった。じゃあどうするんだ?」
「え?えっと、えーっと…」
どうやら、考えていなかったようだ。大丈夫だろうか?
次回…これからの計画




