表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

七粒と二片

怒涛の「七粒と二片」です。


誰にも心情を分かってもらえない宰相さまが遂に激白。

暴走する第五枢機卿を止めるため、サヤもまた激白。


そして“優しい女王さま”が優しくなくなって、遂に…!


今も信じられない。

信じられるものか。

あいつが俺を残して逝くなど!

俺が愛したのは、そんな(やわ)な女じゃない。中身も外見も超絶頑丈に出来ていた。


断言できるぞ。あいつに比べれば、俺の方がまだしも繊細だ。本当に。

遠目には小柄な少女に間違えられるくらいなのに、冬山に独り分け入り、

猪を狩ってくるような奴だ。初めて出会った時のあの強烈な印象は忘れられない。


後で聞いたら、麓の村で食料が不足して臨時調達に自ら出向いたんだと。

その時はまだ辺境女伯に叙されていなかったが、土着勢力を味方に取り込んで、

早くも女首領の片鱗を見せていた。


正直、 俺はこう…なんと言うか、もっと肉感的な美女が好みだったはずだ。

胸も尻も張っていて体力があり、朝まで一緒に楽しめる奴。

カヤは俺の好みを逸脱していた。

確かに体力はあったが…寝屋でしつこくしていると、容赦ない鉄拳が繰り出された。

北方総司令部総司官たる俺は、何度あいつにぶちのめされたことか。


何故あんな凶暴な女に惚れてしまったのか…永遠の謎だ。

結婚する前もした後もいろんな女たちと遊んでみたが、誰もあいつの代わりには

ならなかった。むしろ海水を飲むように心が渇いて、益々あいつが欲しくなった。


あいつは酷い女だ。

“亭主元気で留守が良い”とばかりに、俺が都にいる間、独り伸び伸びと

熟睡している。

こっちはいくら美女を侍らしてみたところで、睡眠不足で苦しんでいるってのに。

俺は…カヤの隣でないときちんと休めない。呼吸すら満足にできなくなる時がある。


「そんなこと言って、エルミヤに居る時はほとんど眠ってないじゃない!」


怒られた。結婚してからのカヤはますます怒りっぽくなった。

仕方ないじゃないか。一緒に居られる時間は極端に少ないんだ。

起きて二人でイロイロやることがあるはずだ。眠ってなんていられるか。

娘のサヤが生まれて、有頂天な俺にあいつはしっかり釘を刺した。

曰わく、王都の仕事をサボるな。

曰わく、やたらにエルミヤに帰ってくるな。

曰わく、娘を甘やかすな。

最後のが一番キツかった。たまにしか会えないんだ。

デロデロドロドロに甘やかして何が悪い。

王都で買い揃えた「ぬいぐるみ」も、特別あつらえた子供服も、

あいつはほんの少し手元に残して、他は神殿主催の奉仕会(バザー)に出してしまった。


「ぬいぐるみ100個、子供服100枚って、どこの親馬鹿よっ!」


また怒られた。納得できない。

ぬいぐるみも服も日替わりで使うものはないのか…?まだ足りない位なのに。

ああ、適当に買ったんじゃないぞ。これでも厳選して都から運ばせたんだ。


カヤ曰わく、親は子の成長に責任があるんだと。子が独り立ちして、自分で未来を

切り拓いていけるように育てなければならないんだと…よく分からん。

サヤと同い年の王女さまは周囲から甘やかされ放題だ。

まぁ、確かに、親はどうしだって先に死ぬものだし、この先悪い男に引っかからない

ためにも、ある程度、逞しく育てるのは必要だな。


断言できるぞ。あいつに比べれば、俺の方がまだしも温厚だ。本当に。

どこの世界に夫を殴り倒し、蹴り飛ばし、家から叩き出す妻がいる。

家庭内暴力はいけないんだぞ。暴力では何も解決しないんだぞ。


「貴方にそんなこと言う資格ない!」


怒鳴られた。

でもな、奥さん。愛妻を傷つけられたり、

愛娘が食べられそうになったり、売り飛ばされそうになったり。

そんな極悪人どもを俺が許す訳ないだろ。

村ごと綺麗に灰燼に帰して何が悪い。

細切れにして獣の餌にして何が悪い。

「その極悪人たちだって、エルミヤの民よ。飢餓と貧困に苦しむ私の民よ。

 軽々しく命を奪わないで!」

時々、あいつの言うことは難解だ。意味が分からん。敵を討って何が悪い。

将軍の妻子に手を出したらどうなるか、はっきり示しておくことも必要だ。

俺がしたことは間違っていない。

しかし…カヤに泣かれてしまった。

隠れて声を殺して涙をするあいつを見つけてしまったら。

俺が正しくとも、悪かったことにして、ひたすら謝るしか道はないじゃないか。

涙を手管にする女に騙される俺ではない。

癇癪を起こして泣き喚く女も煩わしい。

ただ…普段泣かないあいつに泣かれたら適わない。

結局、掌で転がされているのは俺の方か。

腹の立つ、憎らしいほどに愛しい女。


それに、あいつは狡い女だ

自分はちゃっかり「母さま」と呼ばれて娘に懐かれている。

俺に対する態度と娘に対する態度が全然違う。

娘に与える優しさや思いやりを旦那にも分けてくれないか。いつも邪慳にしやがって。

何とか時間をやりくりしてエルミヤに来ても、サヤに「父さま」と呼んでもらえず、

寝顔しか見れない。

さすがにあいつも俺を哀れに思ったのか、"じじばば特権"なるものを教えてくれた。

曰わく、子どもはきちんと育てなくてはならないが、孫は甘やかして良いそうだ。

サヤがいずれ大きくなって婿取りをして(嫁には絶対やらん)、孫が生まれたら、

孫はありったけ可愛がっても良いそうだ。

…気が長い話だ。

まぁ、カヤとは“共白髪”まで添い遂げるつもりだから、いずれは訪れる未来か。

早めに引退して、エルミヤでのんびり暮らそう。

カヤとサヤ。気に食わんがサヤの伴侶。それから孫は…5人、いや10人か。

そうやって“家族”ってもんが増えてゆく。そんな未来。そんな未来が訪れる。


「閣下」

宰相が自らの思いに浸っていたのは僅かの刻であった。

運転手に到着を告げられ、杖を取るや車から降りる。

夜も更けた王宮は門という門を固く閉ざしし、侵入者を固く拒む。

もっとも、夜間の通用門が例外的に一つ設けられており、こちらも入城は厳しく

制限されているものの、宰相ともなれば無審査(フリーパス)で通過できる。

まして今回は女王陛下からの正式な召喚であった。


通用門の警備隊は近づいてくる男に一瞬、強面(こわおもて)を向けたが、杖を突いている姿を

認め、しばし固まり、それから慌てて最敬礼を取った。

宰相は軽く片手を挙げただけで何らの確認もされずに、その場を通過した。

長年、女王の公然“恋人”であった彼に「何処に何しに行くか」など尋ねる

勇気のある者はいない。


ふと、娘に浴びせられた非難の数々が思い出され、宰相の胸がちくりと痛んだ。

カヤの夫としてもサヤの父としても不出来なのは認める(自分では頑張っていた

つもりなのだが、“良夫賢父”とはどんなものか未だに分からない)。

女にだらしないと責められても弁解できない(遊びで付き合う女たちとカヤは

全然違うのだと、若い(サヤ)に説明したところで理解されないだろう)。


アガイルの中で燻ぶるのは「もしも」という思い。

「母さまだって閣下と別れた方がせいせいしたはずです!」

「エルミヤで母さまを慕う殿方なんて、沢山いたんだから。

 再婚相手には全然不自由しなかったはず」

サヤの言葉は投げた本人が意図した以上に、宰相の心を(えぐ)っていた。

カヤよ。

俺と結婚して不幸だったか?おまえは苦しんでいたのか?

その苦しみが寿命を縮めたのか?もはや…俺への愛は()めたのか?

なぜ俺に何も告げずに逝ったのだ?

どうしてそんな残酷なことができたのだ?


あいつの心が知りたい。

その事が、宰相を真夜中の王宮に駆り立てた理由であった。

もはや偽りの恋人に会うつもりはなかったのだが。


(アガイルへ 

 自分でもびっくりなのだけど、どうやら寿命が尽きかけているみたい。

 “共白髪”の約束を果たせなくてごめんなさい。)

そんな書き出して始まった断簡が紙縒が宰相の元に届けられた。

カヤの最後の手紙を女王が握っている。

それを知って、何としても取り戻さなくてはと、彼は動いたのであった。


*** *** *** *** *** ***


真夜中を過ぎ、既に日付は変わっていた。

王宮の前でシイと分かれたサヤは再び勅印を用いて、入城を果たした。

此度は王女ではなく、女王の元を目指す。

ナナツからの知らせで、第五枢機卿も宰相も王宮に向かったと知り、サヤも急いだ。

女王の命が危ない。もはや一刻の猶予もならなかった。


イオは神王座を得るため、やむなしと判断すれば女王の息の音を止めるだろう。

実の母であろうが、いやむしろ、実の母であるからこそ綺麗に排除しようとする

かもしれない…“優しい女王さま”は我が子には一度も優しいことはなく、イオの

存在が王子として認められたことはなかったのだから。

宰相も当てにならない。女王の“恋人”という役柄を降りたあの男が、何故深夜に

登城したのかは謎だ。しかし、今更、身を挺して女王を守るとも思えないし、

第五枢機卿を諫めて事を穏便に収めてくれる…などと、とても期待できない。


サヤとて別に女王も王家も守る対象ではないのだが。

守りたいのはエルミヤの地。エルミヤの民。それだけだ。

それは辺境伯としての責務でもある。

けれども叶うならば、イオの…己が愛する人の心も守りたい。

彼が冥き道に惑わぬように手を伸ばしだい。


襲撃されたエルミヤ出張所の復旧はナナツに任せた。

イオを支持する神兵と女王を守る国軍と、双方の足止めはシイに委ねた。


(確かに…君の命を半分頂戴した)

シイはそう言って、サヤの額に唇を当てたが、それ以上は触れて来なかった。

何だか一瞬気が遠くなって、身体が浮き上がるような不思議な感覚がしたが、

実は何が起こったのか、よく分からなかったし、よく覚えていない。


(“魂の片割れ”としての絆が再び結ばれた)

どうやら、半分といえど命を差し出すことで、イオがぶった切ったサヤとシイの絆が

修復されたらしい。それによって、シイは人外の力を広範に振るえるようになった

らしい。のだが、全部「らしい」で、正直、サヤには理解不能であった。

それでもシイならやってくれると信じて、自分が進むべき道へとひた走る。


「女王さまはどこっ!」

不寝番の女官を捕まえ、勅印をかざしながら尋ねる。

さほど王宮内の間取りは詳しくないものの、ともかくも女王さまの寝室前まで走り

…そこで最も会いたくない人物と鉢合わせしてしまった。

後頭部を抑えながらよろめくように副宰相が歩いて来た。

エルミヤ辺境伯を見るや牙を向く。

「お前、なぜここにっ!」

「カリウド副宰相、あんたに用はないわ!」

「黙れ、この疫病神!」

サヤはやり過ごそうとしたが、リウは許さず、揉み合いになった。

亡き母やナナツから一通りの体術は教え込まれているとはいえ、正規の軍人、

それも将軍の片腕であった男には適わない。

幾らもせぬ内にサヤは壁に叩きつけられ、首を締め上げられることになった。

「宰相閣下に免じて手加減してやれば、図に乗りおって!

この場であの世に送ってやろうか」

それは案外、悪くない考えかもしれなかった。

第五枢機卿は怒り狂うかもしれないが、女王は手を叩いて喜んでくれるかもしれない。

彼女の笑顔が見られるのならば。


「副宰相さま、お止めくださいませ!」

そこに飛び込んできたのは女王付きの女官長であった。

彼女はそのままリウに体当たりし、辺境伯から引き離す。

「…何のつもりだ、女官長?」

長年、女王の側近くに仕え、女王と宰相の関係も女王と副宰相の関係も熟知している

人物である。余計な事を一切言わず、せず、淡々と職務をこなしてきた彼女が、

ここに来て初めて副宰相の邪魔をしてきた。

「辺境伯を害してはなりません…少なくとも今は。

彼女は第五枢機卿との取引材料となりましょう」

つまりは人質である。

言っていることは酷いが、取り敢えず目前の危険が去ったサヤは大きく息を吸って

吐いて…呼吸を整えた。

独りで暴走しているイオを殴る…いやいや、説得する前に窒息死なんて冗談ではない。


「陛下はどこだ?ご無事なのか?」

副宰相は女官長に掴みかからんばかりの勢いで女王の安否を尋ねた。

「先ほど“星見の間”へ入られました。かの場所で皆さまをお待ちでございます」

女王さまの、恐らく最後となる舞台を整えたのは女官長だった。

薄絹一枚で逃げ出してきた女王をしっかりとお迎えし、君主として恥ずかしくない

衣装を整えて差し上げる。そうして乱れた髪を梳いて結い上げ、薄化粧すら施した

のだった。

女官長の仕事ぶりに女王は終始無言であった。

視線がぼんやりと宙を彷徨い自分の置かれた状況をどこまで認識しているかも

怪しいものであった。

「アガイルを“星見”で待つわ」

支度を終えた女王は、そう呟いて、もうそれきり女官長に一瞥も与えなかった。


「来い!サヤ」

副宰相はエルミヤ辺境伯の腕を捕らえて怒鳴った。

「言われなくとも行くわよ!」

その腕を払いのけ、サヤは副宰相と並んで走り始めた…どのみち、王宮内に詳しく

ない彼女は“星見の間”がどこにあるのか分からず、案内してもらうほかはない。

第二枢機卿(サヴァイラ)に王室儀礼を(いやいや)習った時、王宮正殿の最上階にある特別な

広間だと聞いた気がするが、何がどう特別かはサッパリ思い出せない。


「陛下に万一のことがあれば、お前の命もないものと思え。

アイオンともども地獄に叩き落としてやる!」

かなりの速度で走りながら、リウが悪態をぶちまけ続けた。

副宰相としての威厳はどこへやら、すっかり冷静さを欠いている。

それだけ“女王・命”という心情がひしひし伝わってきたが、サヤにしてみれば

やれやれというところだった。今更ながら、こんな奴と婚約しなくて良かったと

しみじみ思う。


「とっとと進め、このグズ!」

脚力には自信あるサヤだったが、軍人上がりの男に罵声を浴びせられ、かつ、

目の前に最上階へと真っ直ぐ続く長い長い階段が現れるに及んで

…溜まりに溜まった鬱憤が爆発寸前の所までせり上がるのを感じた。


*** *** *** *** ***


銀の燭台に据えられた何十本もの蝋燭の灯りが広間をほの暗く照らす。

四方にある大型の吊し香炉が微かにくゆり、栴檀を聞かせる。

中央に据えられたら玉座に(ましま)すのはもちろんマルモア王国の“優しい女王さま”。


丸天井には一枚硝子が嵌め込まれ、そこから月と星の光が注ぐ。

南面の扉は全て開け放たれ、城下の…民の暮らす灯りを遠くに臨むこともできる。


「女王さま、お覚悟を」

遅れて“星見の間”に入ったアイオンは片手に短剣を携えていた。

最後の慈悲として、女官長が女王の死に化粧を施すのを待ってやったのだ。

女王は我が子であるはずの第五枢機卿に最後まで冷たかった。

褐色の肌に銀の短髪、琥珀の瞳の青年。

彼を“神の使者”と認めることは容易かった。

けれど、先王と自分が夫婦の契りによって成した子であるとは

…どうしても認めることができなかった。

「最後にもう一度だけお尋ねします。私に王位を譲りませんか?」

イオの問いにも女王はただ首を傾げるばかり。

何を求められているか分からないとばかりに。

そうして、「アガイルはまだ来ないのかしら?」と呟くばかり。


「それでは幸せな夢の世界に行かれるといい…永久に」

鞘を払い、“神の使者”は静かに前に進みでる。

彼の心は不思議と凪いでいて、女王に対しても実の母親に対しても何の感情も湧いて

来なかった。或いは…心が凍ってしまっていたのかもしれないが。


「待て」

その声は北面の壁から届いた。

隠し扉から滑り出た男の正体をイオは確認するまでもなかった。

「今更、何の用です、宰相?」

杖を付いたアガイルより早く玉座に辿り着くと、アイオンは狙い違わず女王の

首筋に刃を押し当てた。

「待て。その女に用があるのだ」

「女王さまのお守りに飽き飽きしていた閣下が今更命乞いですか」

「その女に尋ねたいことがあるのだ。殺すのは少し待て」

(…こちらの用事が済めば、お前の好きにしろ)

言外に匂わせたものを正確に読み取って、イオはひとまず短剣を下ろした。

宰相と現時点で正面から事を構えるのは得策ではないと判断する。

何と言っても未来の舅殿だ。


一方、宰相はアイオンが神王座を狙うなら、それも良いかと思っていた。

それで(サヤ)が最強の力と守りを手に入れて幸せになってくれるなら、彼として

異存はない。第五枢機卿がもう何年も前から娘にどうしようもないほど愚かしい

恋心を抱いていることをアガイルは知っていた。


「アガイル、待っていたわ」

命を脅かされていたことなどなかったかの如く、女王は玉座から(おもむろ)に立ち上がると、

宰相にすり寄り、自ら唇を合わせる。イオの存在は軽く無視され、女王は激しく

“恋人”を貪った。

「…相変わらず、自己中心の女だ」

宰相は女王の行為を許したが、応じることもせず、両手は垂らされたままだった。

そうして、ようやく息を付いた時に出たのが先の皮肉である。

「アガイル、どうしたの?いつものように私を抱いて寝室に運んでよ」

「お前は…どこまで人の気持ちを踏みにじるのだ。

 一度でも他人の、誰かの気持ちを思いやったことがあるのか。

 先王…タフタ王はお前を愛していた。

 お前に憎まれ、疎まれながらも、お前を守り、最後まで気にかけていた。

 カリンドに、エルダス、イマルム、ガルジンを覚えているか?

 お前に仕え、お前のために死んだ“4人”だ。

 カレントの義兄カリンドもお前を愛していた。

 毒杯で正気を失ってなお、死ぬまでの十年間、お前と王女の身を案じていた。

 エルダスは先王に忠誠を誓っていた男だった。

 やはり毒杯で正気を失い5年後に死んだ。クレアの、お前の女官長の夫だ。

 5年もの看病の間、クレアは発狂した夫の暴力に耐えた。

 イマルムは王女に仕えるリイナ侍女長の夫だった。

 腹黒い男だったが、没落した妻の実家を助けようとしていたのも事実。

 毒杯を受けて死んだのは、新婚一月に満たぬ頃だった。

 ガルジンは現財務大臣夫人カトレの婚約者だった男だ。

 見栄っ張りな男で“美貌の令嬢”として名の知れたカトレを得るために権力を求め、

 結局は得ることなく死んだ。

 “4人”を利用したのは先王だが、王の死の床で彼らの処分を囁いたのはお前だ

 …俺が知らないとでも思ったのか?」

自己中心的で、他人を思いやらないのは、宰相も同罪だった。

ただし、最初から意図したことではないとはいえ、先王と女王によって不幸になった

ものをせっせと拾い集める役割を結果として果たすことになった。


「アガイル…何を言っているの?わたくしはいつだって貴方のために」

「全部自分のためだろう?

 これも何回も言ったが、俺がお前を愛したことは一度も、一瞬たりともない」

「何を言っているの?貴方は私の“恋人”でしょう?

 だからこそ王も私に似たカヤを身代わりに与えたのだわ」

「身代わりだと?カヤが身代わりであるものか。

 あれはお前とは全く違う。似てなどいるものか」

「そうね。謀反人の娘だもの。

 這いつくばって泥塗れになって、生きるのが相応しい田舎女…」

「黙れ!あれを愚弄するのは許さん!」

宰相の鉄拳が女王の頬を打った。20年以上王家に仕えてきたが彼が女王に暴力を

振るったのはこれが初めてであった。

十分手加減されたものだが、それでも女王は後ろに吹き飛び、床に(うずくま)ったまま容易に

動くことができない。


「返せ!あれが俺に宛てた手紙…お前が不当に奪った手紙を返せ!」

頬を押さえたまま口を引き結んだ女王。

業を煮やした宰相は彼女を足蹴にしようと動いた…が、そこに飛び込んで来たのが

サヤを引き摺った副宰相であった。


「女王さまから離れろ!」

カリウドが吠え、小刀が人質の娘に向けられた。

「サヤっ!」

イオが一歩踏み出そうとした途端に、リウの刃が一閃する。

袖の中に隠れてしまうほど小さな刀だが、抜群の切れ味でサヤの髪を半分持って行った。

忽ちエルミヤ辺境女伯はざんばら髪となり、刃が掠めた首筋から血が滴った。


「近付くな!」

副宰相の牽制に、第五枢機卿は後退したものの、対抗して女王に短剣を向けた。

「サヤにそれ以上触れたら、この女を切り刻んでやる!」

どちらも愛する女の危険を前にして、あっさりと理性を手放した。


「…リウ、娘には構うなと私は言わなかったか?」

そこに感情を殺した宰相の声がかかる。

「閣下、大恩ある貴方とは争いたくない。

 だが、女王さまを害すると言うならば、閣下でも許しはしない」

「副宰相もイオも馬鹿な真似は止めて。王家のくだらないゴタゴタに巻き込まれて、

 命を落とすなんて真っ平ごめんだわ」

(やいば)を突き付けられても、サヤの声は震えなかった。

女王も宰相も通り越し、真っ直ぐにイオを見つめる。イオだけを。


「王宮に貴方の望むものはないはず。神王なんて止めて」

「私はっ!神王になってマルモアの権力を全て手中に収めてやる。

 そしてサヤに最高の幸せを用意する」


見つめ合う二人を邪魔したのは女王の嘲笑であった。

もはや“優しい女王さま”の姿はどこにもなく、そこにはサヤへ対する憎悪を

隠さない女がいた。


「副宰相、この娘を始末して」

「陛下?」

「政略結婚でもアガイルの血を引く者と情をかけたのが間違いだった。

 忌まわしいカヤの娘など、死んでしまえ」

「陛下、しかし…」

副宰相は躊躇った。

女王を守るためにやむを得ず手にかける、というならば迷わない。

しかし、私怨で正式な辺境女伯を殺めるのは。

「何をしているの?その娘は“神の使者”を誑かし王家に仇なそうとする極悪人。

 さっさと殺しなさい」

…どう見ても第五枢機卿の単独暴走だろう。

女王さまへの愛に惑うカリウドでも、その程度は判断できる。


「女王の命が聞けないというの?わたくしを愛していると言ったのは嘘なの?」

ただ自分の愛と忠誠が試されている。

そう感じたリウはゆっくりと小刀を振り上げた。

嫌いな娘だが、苦しめるつもりはない。一思いに母親の所へ送ってやることにする。

刹那、宰相の杖が飛び、それと同時にイオがサヤに飛びついて確保するや、

彼女を抱きしめて床を転がった。

宰相の杖は(あやま)たずリウの腕を打って、小刀を弾き飛ばした。

サヤはイオと共に何度か横転したが、彼に守られてほとんどの打ち身を免れた。


「この馬鹿っ!

大人しく神殿で待っていればよいものを、王宮までノコノコやって来るなんて!」

腕の中に囲ったサヤをイオは早速に叱りつける。

その声音とは裏腹に、首筋の傷に触れる指先は酷く優しい。

「馬鹿は貴方の方よ。勝手に自己完結して、突っ走らないで。

 い~い、イオ、よく聞きなさい!」

パンッと小気味よい音を立て、サヤは相手の両頬を自分の手の平で包み込む。

ぶん殴りたい気持ちは取り敢えず保留にしておく。

「貴方が真実、神王になりたいと言うなら私は止めない。

 でも神王になったら、私は絶対に貴方に添うことはない」

「だが、枢機卿のままでは君と結婚できない」

そこでサヤはにっこりと笑って爆弾を落とした。

「枢機卿止めてエルミヤに婿に来ればいいじゃない」

求婚は殿方から。素敵な状況下(シチュエーション)で…などと若い娘が抱く夢に全く無関心、

という訳ではなかったが。

相手はイオである。

待っていたらどんどん暴走する。そうなれば、なりふり構ってなどいられない。

例え…二人きりではなく、極力接触したくない女王や宰相や副宰相が近くで

見ていたとしても、もはや恥ずかしがっている場合ではない。

「…私と結婚してくれるのか?」

彼女の言葉が信じられなくて、イオは低い声で確認を求めた。

「無職でも無一文でも構わないわ。というか、全てのしがらみを王都に置いて、

 身一つで来てくれた方がむしろ歓迎。私がバーンと養ってあげるわ」

「サヤ…」

聞きようによっては傲慢な求婚(プロポーズ)であった。

女の方から。しかも今までの地位も名誉も財産も全て(なげう)てという。

そして、女の方が男を養うという。

だが、只のイオで良いと、いや、只のイオが良いと言ってくれる。

それは王家の血を色濃く引きながら王家に棄てられた男にとって、

“神の使者”と敬われながら、その実、神も神殿も信じられなかった男にとって、

何より嬉しい言葉で。


けれども。


「私を支持する神殿勢力に王宮を制圧するように命じてある。もう…遅いんだ」

内乱は既に始まっている。始めた以上は、「やはり止めた」と翻すことはできない。


「いいえ、始まってはいない。王宮はココ以外、平穏そのものよ」

サヤは南面に開けたバルコニーにイオを連れ出した。

そこから見下ろす王宮は常夜灯が静かに瞬き、時折、歩哨が行き交うのが見える

だけで平穏そのものだ。

「何を…したんだ?サーヤ」

「エルミヤ辺境伯、一世一代の婿取りのために、考えつく限りのことを」

まさかシイを頼んで、人外の力を揮わせるために寿命の半分を差し出したなど、

とてもではないが白状できない。

イオはそれ以上、追及して来なかったが、何か感じるものがあったのか、

(すが)りつくかのごとくサヤを掻き抱いた。


「おい」

そこで突然、宰相が割り込んだ。杖を失い、片足を引き摺りながら、“星見の間”を

出てくる。

「本当に“それ”で良いのか?」

“それ”が指した先には、第五枢機卿がいる。

「望めば神王妃にも女王にもなれるものを。

 辺境の領主で生涯を過ごすことに後悔しないか?」

「しない」

サヤは宰相の眼を見て、きっぱりと答えた。

「イオと一緒にエルミヤで生きたい」

「…カヤがなんと言うかな」

「私が選んだ人よ。母さまが反対するはずないわ」

亡くなった妻の意向を気にしだす宰相をサヤはくすぐったく思った。

もしかして、という小さな希望が膨らむ。


だが、宰相一家の幸福を何よりも厭う者がその場にいた。

「認めないわ」

月明かりに、息を呑むほどに美しく、そして冷たい。

女王さまが若い恋人たちを睨み付けていた。

「あの男の息子とあの女の娘など、認めない」

憎むべき王の息子。憎むべきカヤの娘。

同時に自分の息子と愛した男の娘であるのだは、こちらは考えない。


「そうやって人を恨んで生きるのはもうやめろ、カナイ。

 お前を愛し、命を捧げた者たちは幾らでもいただろうに」

宰相が諭す。そう、今も副宰相が女王の傍らにいる。

「幾らいても意味がないわ!貴方でなければ。

 どうして…アガイル?わたくしたちはあんなに愛しあっていたじゃない」

「お前の相手は俺じゃない。俺はお前を抱いたことは一度もない」

誰も信じないだろうが。

“恋人”を演じて接吻や抱擁は日常的だったが、本当の意味での交わりは

一度もなかった。

仕事でも遊びでも、さんざん女たちを相手にした宰相だったが

…律儀なことに「本気な女に手を出すな」という妻の命令を厳守していたのだ。

「貴方はわたくしのものよ」

「俺が誰かのものだとすれば、カヤだけだ」

「嘘よ!」

叫んだのは女王だったが、居合わせの他の3人も同感だった。

第二枢機卿(サヴァイラ)に諭されてはいたものの、両親の恋愛をサヤはどうしたって

信じられなかった。

(宰相が?母さまを…本当に?)


エルミヤ神殿管区長として、エルミヤ(みやこ)代理たる宰相と接する機会も多かった

アイオンも、宰相の腹心の部下として武官時代は副将を、文官となってからは

副宰相を務めたカリウドも気付けなかった。

宰相はそれだけ「政略結婚」を隠れ蓑に、妻子への思いを隠し、

そうすることで「家族」守っていた。


それにしても、一応「娘」である自分の前で「痴情のもつれ」は止めてほしい、

などと自分のことをさておいて、脱力してしまうサヤであった。


「カヤになんか貴方を渡すものですか」

支えてくれていた副宰相の腕を振り払うと、女王は釣り香炉の一つに突進した。

何をするのか悟った宰相も直ぐさま動いたが、杖を手放した状態では

遅れを取ってしまう。

「止めろっ!」

宰相の懇願を無視して、女王は(えん)然と微笑むと、香炉の蓋を外し、

服の中に隠しておいた手紙を炭火にくべてしまった。


「カヤッ!」

半狂乱になった宰相が女王を突き飛ばし、小さな炎をあげた香炉の中に

躊躇いもなく両手を突っ込む。


「カヤ、カヤッ!」

ほんの一瞬の差あったが、小さな手紙を灰にするには十分な時間であった。

宰相の手の平から黒くなった紙片がパラパラと零れてゆく。

それを床に(ひざまず)いて泣きながら掻き集める男は

…もはやマルモア最強の将軍の片鱗もなかった。

「カヤ、教えてくれ、最後に何を願った?俺を恨んでいたのか?

俺と結婚して後悔していたのか?ずっと我慢していたのか?

お前は不幸だったのか?

どうしたらいい?何だってしてやる!何か言ってくれ!

……逝くな、俺をおいて逝くなっ!」

しかし、灰となった手紙は何度掬(すく)っても零れ落ちるだけ。

宰相の焼け爛れた両手を黒く染めるだけだった。


(母さま…父さまが泣いているよ。母さまを思って泣いている)

臨終に立ち会ったサヤは、母の死を辛くとも現実のものとして受け止めた。

しかし、この男はまだ妻をきちんと(おく)ることができずにいるのだ。

手紙のかけらが一ひら、サヤの足元まで飛んでくる。

拾い上げて光にかざせば、そこに微かに浮ぶ文字が一つ、二つ。

それだけで、宰相が何を求めて嘆いているかサヤには分かってしまう。


死の床で都にいる夫に宛てた手紙。

届かなかった母さまの最後の手紙。


「貴方はアガイルではないわ。

 わたくしの宰相がこんなみっともない男であるはずないもの」

宰相に突き飛ばされ、香炉の灰にまみれた女王が、カリウドに助け起こされ、

ゆらりと立ち上がる。再び正気と狂気が回転し、女王さまの精神は現実を拒絶する。

「陛下、どうかもう…」

副宰相が弱々しい声で呟きながら、愛する女性(ひと)を抱きしめようとする。

しかし、幽鬼のようにその腕からすり抜け、女王は訳が分からないという風に

しきりに首を振る。

「アガイルはどこにいるのかしら?

 いつも側にいてくれるのに。絶対、近くにいるはずよ」

嫌な予感がして、サヤは女王に近づこうとしたが、リウに牽制され、

イオには後ろから抱き込まれた。

女王だけが何やらぶつぶつと呟きながら“星見の間”をぐるぐると回りだす。

その病的症状に慣れているのか、副宰相が2、3歩遅れて女王の軌跡を辿る。


常と違うのは、女王が見つけてしまったことだ。

彼女が求めて止まない“アガイル”を。

マルモア最強の男で、常に彼女を守り、彼女だけを一途に愛し続ける男を

…彼女は遂に見つけた。

「あら、そんな所にいたの?隠れているなんて酷いわ」

女王さまの“恋人”は半分闇に溶け込むようにして、極上の笑みを浮かべていた。

「待って、わたくしも行くわ!」

突然走り出した女王を、もちろん副宰相は追いかけた。

「女王さまっ!」

バルコニーに飛び出し、闇に向かって身を投げ出した女王の衣を副宰相は

辛うじて掴んだ。しかし、勢いの付いた身体を留めることはできず…二人の姿が

手すりの向こうに消える。


数刻の後に何か激しくぶつかるような…潰れるような音がサヤの耳に届いた。


「ここから…」

表階段を駆け上がって来たから分かる。

建物十階分はゆうにある高さだ。

おまけに遮るものは何もなく、真下は大理石張りのテラスである。

ここから…落ちたら助からない。


「あっけない幕切れだ。

 宰相に捨てられた女王さまが治世に絶望して自殺。

 助けようとした副宰相が巻き添えとなる、と」

「イオっ!」

淡々と脚本作りをする未来の夫を慌ててサヤは諫めた。

「ん?未来の舅を悪者にするのは、私としても不本意だから、

 副宰相が報われぬ恋に絶望し、女王と無理心中したことにするか?」

「まだ死んだと決まった訳じゃ…それに女王さまは」

貴方のお母さまでしょう、とはとても声に出して言えなかった。

「本当に、いっそ見事と言えるほど、ただの一片も“母親”になったことは

 なかったな」

そうイオが吐き捨てる。

子どもの頃なら心の傷にもなったろうが、今は心底どうでもいい。

どうせ捨てていくものだ。

彼は身一つでエルミヤに嫁ぐ…いやいや、婿入りする決心をしたのだから。


(冷静に見えるけど…)

実は半ば思考停止状態に陥っていると、イオを横目で伺ってサヤは判断した。

もっと思考停止状態の男は相変わらず床に蹲ったままだ。


(いざという時に、この二人、役に立たない…)

一番早く立ち直ったのはサヤであった。

歩哨が瀕死だか即死だかの女王と副宰相を見つけるのは時間の問題。

宰相と第五枢機卿とエルミヤ辺境伯が真夜中の王宮に揃っている理由も含め、

迅速に事態を収めないと新たな紛争が勃発してしまう。


「父さま」

転がっていた杖を拾い上げると、サヤは片膝をついて宰相にそれを差し出した。

「父さま」

2度目の呼びかけに宰相は反応し、3度目の呼びかけで、のろのろと娘の方を向いた。

「サヤ…カヤがどこにもいない。呼んでも応えてくれないんだ」

灰と涙でぐちゃぐちゃになった顔からは「宰相」の仮面が剥がれ落ちていた。

こんな男だったのか。こんなに不器用で、こんなに脆い。

流石に…サヤにも優しい気持ちが生まれる。

頑なな心が少しずつ綻びて、今ようやく、父親に杖を手渡すことができた。


今ようやく。


「父さま、大丈夫。 最後の手紙の“心”は私が持っているから」

「お前が…?」

父の半信半疑に娘は力強く頷いてみせた。


「母さまと一緒に書いたから。中身は一語一句覚えている」

カヤが己の最後を悟って、アガイルのために筆を取るのをサヤは見守っていた。

最初は見守るだけであったが、母が筆を取り落としそうになって、手を添えた。

最後の数行はそれすらも難しくて、母が途切れ途切れに紡ぐ言葉をサヤが代筆した。

母が永い眠りに就いたのは手紙が完成して間もなくのことで、サヤにとっては

辛い記憶となった。


そうして母の最後を無視し続けた父を随分と恨んだものだった。

同じ頃に、父親もまた重傷を負って死にかけていたなど知らぬまま。

手紙が父親の元に届かず、女王に掠め取られていたなど知らぬまま。


「教えてくれ。カヤは…何と?」

「母さまの心はずっとエルミヤで父さまを待っている。

 全部片付けたら一緒に帰りましょう。その時まで…手紙の中身はお預けです!」

「…意地悪な娘だ」

「あとちょっとだけ、宰相として頑張ってください。

 貴方もよ、イオ!枢機卿辞める前にもう一働きしてもらうわ!」


サヤに発破をかけられ、二人の男はようやく事態収拾に動き始めた。

サヤにとって…マルモアの王都で最も長い夜が今、明けようとしていた。


自分で書いてて、長っ!


そうです、サヤさん、まさかの逆プロポーズでイオの暴走を食い止めました。

女性の側が待っているだけではダメなのです。


宰相が灰となった手紙を前に号泣する場面と、サヤが打ちのめされた宰相に

杖を拾ってあげる場面は、雪柳が物語の中で一番書きたかったシーンです。


そうして、女王さまと副宰相さまがああなりました。これからどうなるか

「七粒と三片」までに考えます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ