警句
へたくそなので笑ってしまってかまいません。
深い恨みが彼を満たしていた。
彼は小さい頃から人に見下されて生きてきた。
彼は小さい頃から肌の色が白かった。日焼けしようと何度も試みたが、その日一日赤っぽく見えるだけで次の日はなおってしまっていた。
色が白いだけではなく、彼は内気な割りに目立ちたがり屋だった。
彼はいつも目立とう目立とうとして人前で失敗ばかりしてきた。そのせいで人より多く恥をさらしてきた。
この性格のせいで人一倍馬鹿にされ、見下され続けてきた。
彼は得意のサッカーでも馬鹿にされ続けた。教師に殴られ、蹴られ、壁にたたきつけられたりした。
「お前の顔を見てるだけでイライラする!」
という理由だったそうだ。彼はそんな事ばかり考えている教師達に怯えていた。一時も早くこんな学校を出て行きたいと思っていた。
彼はとりあえず人から見下され、自尊心を保つためだけのストレスの掃き溜めにされたのである。
彼はそれでも人を恨もうとしなかった。彼は神仏を信じていたからである。同級生から毎日毎日無視され馬鹿にされ苛められても自殺さえもしなかったし、その人達を恨もうともしなかったのである。
彼は人々に虐げられ続け精神病にかかった。それでやっと人を恨む気になれたのである。
彼は高校を休み続けた。自分が学校に行けなくなったのに虐げ続けた人達がのうのうと学校に行っているのに耐えられなかった。
精神病は彼を孤独にした。毎日見える幻、幻聴、妄想、それぞれが彼を苦しめた。
「自殺さえ考えたが、俺は死なんぞ!くそ食らえだ!そうさ!こんなのただの栄養失調さ」
彼は自分が精神病だと知らなかった。それでも果敢に立ち向かった彼は自殺のことを毎日考えたが、後に残された人々の気持ちを考えた。そうすると余りにも悲惨な画が創造された。死んだ少年を追い自殺した母という想像ばかりがされた。絶望しかそこにはない気がした。
彼は小説家を目指すことにした。彼は幻想、妄想、幻聴から逃れようとした。だがそう簡単に逃れられるわけがなかったのである。
彼は人に会うのがあまりにも恐怖だった。おっくうだった。不快だった。いらだたしかった。
彼は会う人会う人に不快なものを見出していた。目を合わすとなにか心が読まれるような気がした。彼は頭の中の妄想が読まれるかもしれないと、恥ずかしかった。
また彼は人々を眺めるのもいやだった。罪を知らぬ人々が蟻のようにただそこを歩き回るのが不快で仕方なかった。
彼は人々がただお互いに憐れ合わなければいけない。という言葉を知った時、彼は人々の罪がそこにあることを知った。世のさまざまな醜聞がそれを表していた。
彼は人々と話すのが空恐ろしかった。彼は人と話すたびに恐ろしい猜疑に怯えたのである。
彼は老人が好きだった。身の程を知った人々がお互いに憐れ合ってる気がしてならなかったのである。
憐れ合わなければ生きていけない。そうとしか彼には思われなかった。