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黒月さんとコラボ3

ウル

『ソロさん、何か平和ですね。お茶が美味しいです』


 何故か入り浸っているウル・ローグ。床に散らばっている真っ白な羽は幸福を呼ぶらしいが、長く入り浸ると掃除が大変になる。

 この前ウルが帰った後、羽の散らばる校長室に来た生徒一人が、羽毛アレルギーで大変なことになった。それ以来ソロモンは掃除をこまめにするようにしている。割と本気でお掃除ロボの購入を考えていた


ソロモン

『平和であることに越したことはないさ。あとウル殿、その羽は何とかならないのか?もう少しで羽布団と枕一式が完成してしまうのだが』


ウル

『いいじゃないですか、幸運を呼ぶんですよ? あ、なんならもっと落しましょうか?』


ソロモン

『おい』


ウル

『はっきり言って暇なんですよ? あまりやることは無いんですもん。ソロさんの近くにいると落ち着きますし』


ソロモン

『お前の世界はほったらかしでいいのか? ではそんなに暇ならウル殿の落した羽の掃除を手伝ってもらおう』


ウル

『ふぃ~…ふぅ~~~』


相変わらず口笛はふけていない。本格的に教えてやるべきか? これはこれで可愛いのだが


ソロモン

『吹けていないぞ、毎度のことながら』

ジェラ

『お♪仲良しなソロモンとウルちゃんじゃん♪』


幽霊体のジェラは急に現れる。コイツも相変わらず茶化すような口調だ。ニヨニヨするな、キモい


ソロモン

『丁度良かった、ジェラ殿。掃除を手伝ってくれ』


ジェラ

『いいよ、この部屋ごと掃除しちゃおっか♪』


ソロモン

『やっぱりいい』


ウル

『そういえば、ジェラは何しに来たんですか?』


ジェラ

『ジダイガがナバトを使って何かしてるよ♪ウルなら知ってるでしょ♪』


ソロモン

『またアイツか…なにやらかそうというのだ?』


ウル

『忘れました』


ソロモン

『………メモでも持っていたらどうだ?』


ジェラ

『ハハハ♪やっばりね♪』


ソロモン

『まったく……それで、彼が何をしようとしているのかジェラは知っているか? こちらの世界に実害が出るなら何とかせねばなるまい』


ジェラ

『そんなに危ないことじゃないと思うよ♪ それにジダイガはそろそろ来ると思うから、そのとき教えてもらいなよ♪』


空間の歪みが現れる。何もないはずの虚空が歪み、そこから見た目年齢20代の男が姿を現す。ソロモンが最初に出会った堕神、セイ・ジダイガ。


ソロモン

『久しぶりだな、ジダイガ。元気だったか?』


ジダイガ

『あぁ、相変わらず仕事は忙しいが何とかやっている。それはそうとソロモン、貴様は以前に人間の頃のフォトンに会いたいと言っていなかったか?』


ソロモン

『あぁ……そんなことも言ったな。一度殺しあった相手なのに、どうしても悪いやつには思えんのだ』


ジダイガ

『そうか。そのことなんだが、ナバトの過去の力と、私の空間の力を使い、擬似的な過去を作り出す事に成功した』


ソロモン

『ほう、ということは彼女の過去を見れるということか』


ジダイガ

『平たく言えばそういうことだ。時間の操作は神にも手は出せない。最強の力であり世界そのもの、それが時間だからだ』


ジェラ

『それを言うなら♪空間もだけどねー♪』


ソロモン

『もう言い飽きたが、チートってレベルじゃないよなジダイガは』


ジダイガ

『とりあえずだ、今から起こる事は全て幻影。いいな?』


ソロモン

『え? まだ私やって欲しいとは一言も… そしていつのまにウル殿はナバトを持って私に向けて振り下ろそうとしているのd…』


ウル

『ソロさん頑張って下さい!』


ジダイガは手元の魔剣ナバトでソロモンを貫いた





ソロモン

『………ここは…?』


周りはのどかな村だった。周りが死体だらけでなければ。あちこちに赤い水たまりができ、そこらじゅうに転がる肉塊、体の一部が辺りに鉄の臭いを発散させている


ソロモン

『なんて有様だ…』


『あなたはこの村の生き残りかしら?』


ソロモン

『お前は…』


不意に後ろから声をかけられる。そこには黒い大鎌を持ったフォトンが居た、黒い翼は無いらしい。だがその妖艶な美しさと、顔の陰に隠れているどこか残虐性をはらんだ表情は現在と変わっていない


フォトン

『私はロドキア・フォトン(生き残りが居るなんて知らないわよ)』


ソロモン

『(これはホログラフィだったな…ん? なぜ過去にいるはずのない私がこの幻影の中のフォトンに見えている? …一応用心はしておくか) 私は…名乗るほどのものでもない。この村の有様はなんだ…誰がこんな惨いことを…』


フォトン

『ロドキア・ファルコンに皆殺しにされたのよ。あいつはこのロドキア大陸最悪の殺人鬼。私は許さない(さっさと向こうに行かないかしら)』


フォトンは死体に触れている。まるで母が泣いている赤子をあやすように。だがそれがただ撫ぜているだけではない事がソロモンは直感で解った。

ソロモン

『何をしているのだ?』


フォトン

『この人達の魂と共に復讐するのよ。おかしいわ・・・、この子供だけ既に魂が無い』


それはどこかジェラに似た子供だった。無邪気な笑顔を浮かべていたであろう幼い顔は、今は無表情を貫いている。虚ろな目はただただ、虚空を写していた


ソロモン

『(そういえばジェラもフォトンと同じ人物に殺されたのだったか……)』


ファルコン

『よォ、俺を探してるのはお前かぁ? 俺を殺したいのかぁ? それとも殺されたいのかぁ?』


トランクのような物を持った、ゾッとさせるような雰囲気を持つ男が現れた。ニタリと歪んだ口元、狂気じみ、怖気が走るような喋り口調。


この男とは一秒たりとも同じ空間に居たくないと思わせるような、底知れぬ威圧感


フォトン

『見つけたわよ……今度こそ、復讐してやる!!死ねファルコン!』


フォトンはあの鎌を構える。にび色の刃がファルコンと呼ばれた男を写して輝いた


ソロモン

『(もしかしてこいつがフォトンを殺した殺人鬼か…?) フォトン、一時的に手を組まないか? それがお互いのためだと思うのだが』


懐の銃に手をかける。この状況、自分もこの時代に居た存在として行動すべきのようだ。つまりは、最低限自分の身は自分で護らなければならない


ファルコン

『俺はそこの死神を殺しにきたんだがぁ? 殺すヤツが二人になっても変わらねえよなぁ?殺す楽しみも2倍ってことだよなぁ?』


フォトン

『私一人で十分よ。操作(復讐する魂)』


フォトンは魂のようなものを呼び出し、ファルコンとソロモンを攻撃する


ソロモン

『なっ…貴様! 何故私ごと?!』


フォトン

『人間なんて信用出来ないわ。二人とも葬り去ってあげる』


ファルコン

『やっぱり人間不信だなぁ?そりゃあそうかぁ?魂喰いの死神フォトンさんよぉ?』


ファルコンは魂を避けながら話しかける


ソロモン

『魂喰い…?』


フォトン

『黙れ!』


ファルコン

『その力を恐れた人間になぁ?残虐な刑罰を毎日毎日受けてさぁ?身も心もボロボロになって人間不信だろぉ?墓に生き埋めにされそうになった時に魂を操って周りの連中皆殺しにしたんだろぉ?』


ソロモン

『(なんて壮絶な過去なんだ…だが、このままではマズい、これは動揺を誘い平常心を失わせるファルコンの作戦だ…)』


フォトン

『黙れ!黙れ!!』


ファルコン

『キメラに拾われるまでは災難だったなぁ?さっき俺が殺したがなぁ?』


フォトン

『えっ・・・?エルフェ博士は・・・』

一瞬、魂を操る手が止まる。その瞬間を図ったように、ファルコンは虫唾の走るイイ笑顔でこう言った


ファルコン

『もう死んだ筈だがぁ?そもそもなぁ?あの人間達にお前の情報流して虐待させたのは俺だぁ?』


フォトン

『そんな・・・、許さない・・・許さない許さない許さない!!!!』


ソロモン

『なっ……フォトン?!』


フォトン

『肉体の楔から放たれた魂よその因果を紡ぎ直せ我が身を糧にこの言霊を完了したものとする、呪文(魂喰い)』


コトノハを紡ぎ終えたフォトンの周りに、辺りに放たれた魂がフォトンの体に戻っていく


ファルコン

『やっとその禁術を使ってくれたかぁ?取り込んだ魂の量からするとぉ?もう人間にはもどれねえなぁ?』


ソロモン

『なんだと?!』


フォトンの姿が変貌していく、背中から巨大な漆黒の翼がはえ、腕や足は人間のものとは思えないようになり、フォトンはだんだんと人型の化け物になっていった


フォトン

『ユルサナイ・・・!フクシュウシテヤル!!』


ファルコン

『殺しがいがあるじゃねえかぁ?今から二人殺す!』


トランクから全部で63本の剣を取り出し、その中の一本で二回自らの腕を貫いた。よく見るとファルコンの体中に剣で貫いた傷跡がある


ソロモン

『なん…だ?! 自傷することで発動する能力か?!』


ファルコン

『今から殺されるお前らの痛みを分かち合ってやったのさぁ?さてぇ?くたばりやがれ?』


ファルコンは剣を持ち構える


フォトン

『フクシュウシテヤルフクシュウシテヤルフクシュウシテヤルフクシュウシテヤル!!』


フォトンはファルコンに飛びかかって行った。強化されたフォトンは肉体的にも強く、更に精神攻撃も出来る。だが、ファルコンは63本の剣を巧みに使いこなしフォトンを押している


ソロモン

『私を忘れてもらっては困るな…72柱能力…』


ファルコン

『邪魔すんじゃねえよ?紋章術(五亡星の束縛)』


ソロモンの周りに突き刺さっていた五本の剣によって作り出された紋章で動きを封じられてしまった


ソロモン

『なっ…! 能力が封殺されただと?!』


フォトン

『グガアァァァ!!』


フォトンは地面に突き刺さった剣に気づかずファルコンの近くへと踏み入れてしまった


ファルコン

『終わりだぁ?。紋章術(十八亡星の強圧)』


そしてフォトンは18本の剣によって作り出された紋章術で押し潰され死んだ


ソロモン

『な…フォトン…』


ファルコン

『これで終わりかぁ?つまらねえなぁ?』


ファルコンの狂気の笑い声が頭の中にガンガン響く。と、徐々に自分の視界が歪み、ソロモンは意識を失った


・・・


気がつくと、ジダイガ、ウル、ジェラ、そして、いつの間にかフォトンが居た。誰かがソファに寝かせてくれたらしい。いつの間にか胸にクッションを抱いていた。


ジダイガ

『過去の旅はどうだったか?』


ソロモン

『………いい気分ではないな…』


フォトン

『過去の旅?いったいなんの話よ?』


ジェラ

『もう一度ファルコンと戦ってたりして♪』


フォトン

『そんな訳無いわよ、あれ?確かに私一人だったはず・・・まぁいいか』


フォトンは首をかしげ、記憶をたどり始めたが、昔の記憶なので曖昧なのだろう、そのうち考える様子をやめた


ソロモン

『ジダイガ、やはり私は過去に……お前、何をしたんだ?』


ジダイガ

『ククッ、鏡の映像は現実の一環』


ジダイガは姿を消した




フォトン

『いったい何の話をしてたのよ?別にいいけど』


床には散らばった白い羽に混じって、ちらほらと黒い羽がある。この黒い羽は直接的に害のあるものでは無いが、悪霊を呼び寄せるため良いものでもないらしい


ソロモン

『それって結局悪いものじゃないか…もうサンバ(お掃除ロボット)買おう……』


フォトン

『何よ、通りかかってみたらソロモンさんが倒れてて、心配して来たに決まってるでしょ?』


ソロモン

『その心は?』


フォトン

『もし死んでたら魂をもらって、下位神にするつもりだったけどね』


ソロモン

『ですよね~…』


ウル

『ソロさんが無事で良かったです~♪』


ソロモンに抱きつくウル、純粋に喜んでいるらしい。喜んでくれるのは嬉しいが。あれ?なんで過去を見るだけなのに心配されなきゃいけないの? 

そしてウルは着痩せするタイプなんだと同時に二つの事柄をソロモンは脳内で処理していた


ソロモン

『う、ウル殿?!』


フォトン

『フフ・・・、何慌ててるのかしら?良いじゃない。便乗させてもらうわよ?』


今度はフォトンがウルと反対側から抱きつく。純粋に・・・と言う訳では無いようだ。だって黒いオーラ全開なんですもん。ボソボソ「死ね」とか「このウジムシが」とか聞こえるし


ジェラ

『アハハ♪両手に花だね♪邪魔者は消えるとするよ♪』


ソロモン

『おいちょっと待て帰る前にこいつら引き剥がしてくれませんかお願いします待ちやがれ待ってください待って下さいませんかお願いします!!』


ジェラ

『聞こえないよ♪後ね、足音が聞こえるなー♪バイバーイ♪』


ジェラが消え、その数秒後に誰か来た




『……………見つけた』


校長室のドアを開けて現れたのは美しい女性だった。濃紺の瞳と髪、たっぷり水気を含んでいそうな艶やかな肌。ソロモンを見て妖艶に、そして満足げに微笑んでいる


ソロモン

『………お前は?』


『やっぱり……解ってたけど………先ずはあなたから、じゃダメかしら?』


ソロモン

『……? 私の名はソロモン。龍殺しの日本支部長を務めている』


ウル

『私はウル・ローグです。これでも神様なんですよ』


ウルはソロモンに抱きついた状態で答える、悪気なんて全く無さそうだ。むしろさっきより強く抱きついているようにも見える


フォトン

『私は復讐と悪霊の神、ロドキア・フォトンよ。そのうちソロモンさんの魂を貰いに来るからね』


『あらあら、二人とも神様だったのね。道理で……ウフフ…』


一瞬おぞましい、邪悪な笑顔が見えたような気がした


ソロモン

『それで? お前はいったい何者なのだ。言っておくが、学校への不法侵入は…』


『私の名……はレヴィア、とでも名乗っておきましょうか。今日はアナタに会いに来たのだけれど…お取り込み中のようだからまた今度出直すわ』


ソロモン

『ま、待て! 勘違いしてもらっては困る!! これはだな…』


レヴィア

『ウフフ……元気そうで何よりだわ。じゃあね、ゼヴル』


レヴィアと名乗る女性は優雅に美しく、入るために使ったドアから出て行った。

ソロモン

『待て!』


ソロモンがドアを開けるが、もうそこに女性はいなかった。


ソロモン

『………何者だったのだろうか…』


ウル

『知らない人だったんですか?』


フォトン

『向こうはあなたを知ってるようだったけど。それに最後のゼヴルって何よ。訳わかんないわ。あなた改名した覚えは?』


ソロモン

『あるはずもない、私はずっとソロモンだ…………』


だが引っ掛かる。彼女に会ったとき、なぜか懐かしさを感じたのだ。彼がその懐かしさの理由を知るのは、ずっと後のこと






フォトン

『ソロモンさん、生命は作り出せると思う?』


ソロモン

『藪から神力になんだ。少なくとも人間に生命を作り出す力はない。せいぜい生殖行動くらいだな』


フォトンは手をかざすと、人間の入ったカプセルのようなものが現れた


フォトン

『でしょうね。でも神である私も完璧な生命は作り出せなかったわ、魂だけの状態だと無垢過ぎて生きる事すらしてくれない』


ソロモン

『抜け殻同然、か』


フォトン

『私は魂に悪意を組み込んで生命を作ったわ、温かみのかけらも無い人形になったけど』


ソロモン

『感情全て純度100パーセントの悪意で構成された人間なんて創造も想像もしたくはないな』


フォトン

『上手いこと言った感じ出してドヤ顔しないで虫唾が走るわ。そもそも、私達神も魂を管理はするけども、魂はなんなのか知らないのよ』


ソロモン

『ふむ……知ったところでどうしようもないだろうがな』


フォトン

『私は魂食いの死神で終わりたく無いわ、私は生まれてからずっと死神のままだもの』


ソロモン

『お前はそれでよかったのか? 死神となり、悪意を喰らい続ける悪鬼同然の存在になって』


フォトン

『因果応報、私の望んだ結末よ。罪には罰を与えなければ』


ソロモン

『お前は、フォトンは……もう十分償っているのではないか?』


フォトン

『いいのよ。これが私の終わらない償いだから。私は既に温かい生命では無いわ。それでも、ソロモンさんのような温かい人に出会えてよかったと思ってる。

私は屍ばかりに触れてきたから。たとえそれが嘘でも、暖かい光に触れられてよかった』


そう言ってフォトンはソロモンから離れ、飛び去って行った。心なしか寂しそうな背中が暁の中に消えていく


ウル

『私は罪を許す事も必要だと思います。許されないと彼女は思っていても、周りが許せばそれでいいって思うんです。フォトンさん、何だか辛そうでしたね』


ソロモン

『許す許さないは、結局は本人次第なのかもしれないな…』


ウル

『ソロさんもこれから先苦労しますよ?私でも肩代わりしようもない決定事項ですが、それでもその先は見えません、未来は未定なんですからソロさんならどうにか出来るはずです!』


ソロモン

『苦労は超えてこそ価値がある。未来は自分で切り開き、運命は自分で書き連ねるものだ。たとえ神が決めた定めであろうと、覆すのが人間だ』


ウル

『頼もしいですね。それにいい言葉があるんですよ? 記憶がいつか消えるのなら、今を生きろと……誰かが言ってました』


??

『良い事言うね、少し変わったんじゃないか?ウル・ローグ』


急に現れた少年(少女?)はニコリと笑って近づいてきた


ソロモン

『君も堕神か? とりあえず、堕神はノックするなどの礼節を知ってほしいものだ』


リア

『世界を裏切った堕神なんかと一緒にしないでほしいな、リアとでも呼んでよ。ウルを連れ戻しに来たよ』


ウル

『嫌、リアなんて知りません』


ソロモン

『またわがままを…私のところにはいつでも来ていいから、自分の世界にそろそろ帰りなさい』


ウル

『や~あですぅ~!』


リア

『まったくしょうがないね。じゃあ、君がウルを守ってあげなよ。それとも、神が不憫だなんだと言って、口先だけなんて失望させないでよね。神はね、ウルのように身を削ることも、フォトンのように憎まれる事も仕事なんだ。その辛さが他人に分かるのかい?』


ソロモン

『他人の痛みなどわかるはずもない。だが、ウルが身を削るなら私がそのを癒そう。フォトンが憎まれるのなら私がその分彼女に優しくしよう。痛みや辛さはわからずとも、彼ら個人の理解者としていることはできる。たとえ全てのものが彼らを憎もうとも、私だけは彼らの理解者でいよう。わからないところがあるからこそ。それを互いに分かり合おうとすることで、繋がりは保たれるのだ』


リア

『ハハハ!机上デスク理論セオリーばかり並べるのが心底好きだね。』


ソロモン

『だがそれが人間が人間である証拠でもある。人間同士も分かり合うのに永い永い年月がかかっているのだから』


リア

『でもね、堕神と分かり合う訳にはいかないんだよ。ウルの堕神の力を解析して人間でも堕神を殺せるようにしないとだからね』


ソロモン

『随分と面白いことを考える。なぜ神を殺す?』


リア

『ハハハ!面白い事言うね?君は堕神の目的がわかってるのかい?ウルはあまり関係ないけどさ』


ソロモン

『堕神の目的は知らないが、今の話だとなおさらウルに手を出させるわけにはいかないな。またジダイガを問い詰める必要がありそうだ』


リア

『そういう訳にいかないの、神殺しの呪文を完成させて、神のお告げだ堕神を殺せー、って言えば沢山の人数が集まるでしょ?多勢に無勢だもん、ウルだけ助けるなんて出来ないよ』


ソロモン

『だろうな。私も一個のチームを率いているからよく解る。戦いは数がものをいう』


リア

『ハハハ!役得役得、僕は世界を祀る集団のリーダーだからね、結構信用されてるんだよ』


ソロモン

『…………そうか』


リア

『そろそろウルを連れて行くよ?堕神を滅ぼす大きな仕事が残ってるからね?それとも抵抗するかい?関係ない他人の為にね!!」


ソロモン

『…………面白い………卿の覚悟、我輩に届かせてみよ…崇高なる王であるこの我輩にな』


三人はどこかの荒野に居た。ソロモンの72柱能力で飛んできたところである。さすがにあのまま校長室で戦うわけにもいかない


リア

『きっと届かない物なんて無いはずなんだ、人は神に追いつける筈だ。人間は今を生きる存在だからな! 神エクス! お前の力を借りるよ、呪文ゴッドジャッジ


光の柱が降ってくる。まばゆい光はソロモンを焼き尽くそうと天から降り注ぐ


ソロモン

『……我輩の大嫌いな属性…光か!!』


ウル

『これは確か・・・神罰呪文です!ソロさん危ないです!!神力(未来に勝利を)』


ソロモン

『まてウル…』


ウルはソロモンの前に立ち(ゴッドジャッジ)を受け止めるが・・・


ウル

『流石に・・・これ以上は無理です・・・ごめんなさい……』


ウルは倒れてしまった。


ソロモン

『あの程度なら我輩一人でも良かったのに……オマエは…無茶しおって……護ってやるといったのに……』


リア

『ハハハ!流石神罰呪文だね!これを簡単に使えるように出来たら堕神も倒せるんだよね』


ソロモン

『……だろうな。……やはりまだ体が慣れきっていないか。人間も不便なものだ』


リア

『ハハハ!口ばかりじゃダメだよ!神フォトンお前の力を借りるよ。神力(悪意の泥沼)』


悪霊がソロモンに・・・だが


ソロモン

『こんなもの…本家に比ぶればクズのようなものよ。貴様とフォトンでは背負ってきたものが違いすぎる。それにまだ対応し切れていないとはいえ、魔の存在そのものの次に座する我輩に!! この程度の魔で!! 勝てると思ったかぁぁぁぁ!!!』


ソロモンの激昂が空に響いたとき、ソロモンの周りを被っていた悪霊が一気に雲散して消えた。そのとき、ソロモンの体から強大な魔の力が発散される。辺りが一瞬にして暗闇に変わり、天候が荒れ、とてつもなく巨大な負の圧力が辺りを覆う


リア

『うそ!?君は本当に人間かい!?』


ソロモン

『私は人間にして人にあらず、我輩は魔にして魔族にあらず。我輩は崇高なる王、ヴァアル・ゼヴル。全てを裏切り、堕ちたものだ』


更にソロモンを狙っていた筈の悪霊がリアに向かう


リア

『フォトン!君も堕神の側に回るのかい!?』


ソロモン

『違うな、高潔にして崇高なる彼女の力が、下らないことに力を使おうとした貴様に激昂しているのだ。これはロドキア・フォトンという神の魂を汚したことに他ならない』


リア

『ううっ!?僕は世界を祀る者・・・、具現化せよ!世界エグア


リアは天秤を呼び出した・・・、その天秤エグアは何故かイヴィルを思い出させる


ソロモン

『フン……心無きただの力は空しき破滅への道標というだけなのに』


リア

『さあ!エグア、心を食らいつくせ!!』


エグア

『グアアァァaaaaaホシイホシイカンゼンナココロ』


エグアが揺れる度に感情が揺さぶられる


ソロモン

『ぐ……やはり中途半端はダメだな…我輩に人が混じっている限りこの攻撃は効果を成すか』


エグア

『ナゼナインダココロガホシイホシインダアアアァァァ!!』


更に揺さぶられる・・・エグアは揺れている


リア

『ハハハ!世界の力は神も上回る・・・ウル!何で・・・』


いつの間にかウルが立ち上がっていた


ウル

『ソロさん!私は未来に勝利を誓いました!今がその時です!』


ソロモン

『あぁ、この力が続くのももうすぐ終わりだ、丁度いい』


リア

『ハハハ!世界にかなう者があるか!』


ウル

『ソロさん行きますよ!神力(潰えぬ希望)』


ソロモン

『魔皇帝ノ神託・終末エンド・オブ・ワールド


強大な魔の力と堕神の力が混ざり合い、全てを滅びへと導く神託となって世界へと放たれる


リア

『そんな・・・、まさか!!?』


ピシッ・・・!


エグア

『ミツケラレナイノカ・・・』


バキン!!


ウルとソロモンによってエグアは破壊された


ウル

『やりました、エグアを破壊しましたよ!』


ソロモン

『………そうだな』


途端、ソロモンが崩れ落ちる。膝を突いて苦しそうな表情を浮かべた刹那、ソロモンの体から発散されていた魔が一挙に消え失せた


ウル

『ソロモンさん?!』


ソロモン

『…大丈夫だ、私に戻っただけだよ』


心配して駆け寄ってきたウルの頭を優しくなぜるソロモン。不意にリアは微笑む


リア

『アハハ……ハハハ!いやー完敗だよ、参ったよ』


ソロモン

『気が済んだか? なら金輪際ウルに近づくな』


リア

『ほんとに立派になったね、ウル』


ウル

『えーと?』


リア

『ウルは堕神になるまえの記憶が無いんだよね、神鳥ウルは僕のペットだったんだ。大きな鳥でフカフカしてて僕の癒やしだったんだけどな』


ソロモン

『そういえばウルは神鳥だったな』


リア

『ウルは昔から記憶力に欠けててね、頼んだ手紙とか直ぐに無くしちゃうんだよ。でも、あの言葉は覚えててくれたみたいだね』


ウル

『リアさん・・・』


ソロモン

『…………』


リア

『でもね、堕神になってしまった以上は・・・ウルを殺さないといけないんだ・・・』


ソロモン

『責任を持ちきれなかった飼い主が愛していた動物を殺す、か。皮肉だな』


リア

『堕神のリーダー・・・始まりと終わりの堕神さえ居なければ、僕は平穏に暮らしてたのにね』


ソロモン

『また気になるワードが出てきたな』


リア

『君ならウルを任せられる、絶対に守ってね』


ソロモン

『無論だ。私は貴様と違って責任ある人間だからな』


リア

『手厳しいなぁ…さて!僕は帰らないと、文字通り寝る間も無くなるよ』


ソロモン

『帰れ、そして二度とくるな』


リア

『次に僕が来るような事があったら・・・わかってるね?ウルを幸せにしてやれよ!』







レヴィア

『とうとうお目覚めになられた……私の王…』









異空間では


ジダイガ

『ククッ・・・、今を幸せに生きる事だな、まさかリアが関わって来るとは思わなかったが・・・、灯台下暗し、真実は地中に埋まるか?正義など何処にも存在しない』


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