電波少年少女
私の思いのままをつづった、電波物語です。
倖ちゃんと愛糸の物語をぜひどうぞ。
電波少女、少年。
少女、現・幽霊
少年、現・人間
ノイズと共に、電波と共に。
2月21日で誕生日を迎えた僕は、18歳になった。誕生日プレゼントとして音楽プレーヤーを買ってもらった。
音楽はもちろん、動画も見れるしラジオも聞ける。
僕はラジオを聴くのが好きだったから、早速そのすっからかんの音楽プレーヤーでラジオを聴いた。
毎日9時から11時まで聴く。それが僕の楽しみ。
「ノイズ入るなー・・・・77.10MHz・・・77かな。」
僕はラジオ局を選んでいた。今は家に居る。
初めて使うとあっていまいち使い方がわからない。
『ジ・・・ジジ・・ジジジ・・・』なかなか鳴り止まない。
「クソッ・・・早く直れよ・・・。」
もうこの作業を始めて15分ほどたっている。
ちょっとイライラしてきた。おっ、直ったか?
『ジ・・・ジジジ・・・っ・・・ジ・・・』
なんか聞こえた気がしたぞ。一個動かすか・・・
『ジ・・・っ・・・ゆっ・・・ちゃ・・・』
ん?
何か聞こえたけどまだ分からないな・・・ゆ?ち?
また一個動かす。
『ゆき・・・ちゃ・・・ジジ・・・聞こえる?』
「え?今っ聞こえるって・・・」
確かに何か聞こえた、幼い女の子の声。なんのラジオだ。
『もう!聞こえるって聞いてるじゃない!無視しないでよ倖ちゃん!!』
「おわ!」
今度はやけにハッキリ・・・倖ちゃんって・・・っていうかこの声っ・・・!?
『やっと解った?』
やっと解った・・・って人の名前を堂々と。
『やっと解った?って訊いてんのよ!!』
大きな声で・・・あれ?
ま・・・まさかコイツは・・・・!
「愛糸・・・?」
僕はラジオに話しかけた。まさかとは思ったが。
だってこの声・・・
『そう!愛糸!今更解ったの?相変わらずニブい。』
クスッという少し憫笑された。
それに愛糸って・・・!?
何故ラジオに愛糸の声!?だって愛糸は・・・!
『驚いた?死んだはずの私が倖ちゃんにこうして話しているなんて、そりゃ驚くわ。』
相変わらずのこの少し訛った口調。これは絶対愛糸だ。
僕はこの状況を理解していなかったが、なんだか不思議な感覚に陥った。
イヤホンを通じて、愛糸の声。ラジオを聴くはずだった。それが今は愛糸の声。
ゆっ・・・夢でも見ているんだろうか。
愛糸は先月死んだはず・・・お葬式にだって行った。泣いた。おお泣きした。家族、クラスの友達、そして僕。泣いたおお泣きした。
もう会えない、もう会えないなんて思っていたばっかり。
そんな愛糸が・・・うっ嬉しい、というか不思議だ。
「愛糸・・・?」
僕は信じられなくって、もう一度話しかけた。
『だから何よ!まだ信じられないの!?解りますか?倖ちゃん?大宮倖斗クン?』
もう、疑うの・・・やめた。
「愛糸・・・会えて・・・いや、話せて嬉しいよ」
『何よ!急に改まって気持ち悪いわね!』
きっ気持ち悪いってこっちは会えて・・・じゃなくて話せて嬉しいってのに。
「あ、あぁ・・・。うん。」
『うん。って何よ。もっと嬉しがりなさいよ』
嬉しがるって・・・・どうすればいいんだ。
大分この会話にも慣れてきたぞ。
よし、さっきからちょっと気になってる・・・なんで話せるの?っていうことを聞くぞ・・・
「ねぇ愛糸・・・。」
『何よ。告白は今されても困るわ。』
「いや、違うんだけど・・・。」
『な~んだ。つまんないのぉ。』
「聞いていい?」
『うん。何?』
よし・・・言うぞ。
「なんで僕と愛糸話せるの?」
『・・・・聞きたい?』
「うん。」
『私、幽霊になったから頑張って倖ちゃんのラジオの電波拾った。で、今話してるの。私、まだ幽霊歴短いから倖ちゃんとはそんなに長く話してられないけど・・・。まぁ簡単に言えば倖ちゃんは幽霊の電波を拾った。携帯とか、音楽プレーヤーでも何万台に一台は、幽霊の電波拾っちゃったりするの。私はもう死んだ子だから、電波に乗ることができた。それを、倖ちゃんは拾った。』
僕、幽霊の電波を拾ったの?ちょっとそれ怖いな・・・
「じゃあ、僕はこれからずっと愛糸と話していられるの?」
期待を込めて言ってみた。
僕はもう会えないと思った、愛糸と話せていられるの?
最後までお読みいただきありがとうございます。
初投稿ですのでなんとかわかりやすく?短めに書かせていただきました。
どうぞこんな電波少年少女を次もお願いいたします。