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第94話 スィクスス救出作戦

 フィフスが天井に足を突き立てて、弓を絞り矢を放った。


 放った矢は真っ直ぐに、クロモトの額に向かって飛んだが刺さる前に反応した人形に切り落とされた。


 「マジっすか!? 隊長、あの気持ち悪い人形鬼やばっすね!」


 「皆、見たとおりあの人形の性能は異常よ。 もし倒せそうになければ、スィクスス救出とクロモトを殺す事を優先します! セカンドはフォースと。 サードはフィフスとで連携しなさい!」


 「「「「了解!」」」 「了解さんだよ~」


 メリー達は一斉にスィクスス救出に向けて走り出す。


 「ひゃひゃひゃひゃひゃ! ほれ、やっぱりお前も化け物の仲間じゃないか! さぁ、儂の可愛い人形達よ!! 今こそ使命を果たす時じゃ。 かかれぇぇぇ!!」


 クロモトの命令で7体の人形もメリー達に襲い掛かった。

 両手の剣を擦りながら無機質な人形が走る。


 「隊長! 皆、気を付けて下さい! その人形は人間の弱点とされる部位がアダマンタイトで覆われています!」


 スィクススの言葉に、メリー達は狙う箇所を即座に見極める。


 「フォース、私が囮になります! 貴女の発勁で仕留めて下さい!」


 セカンドが2体の人形の無機質な目にナイフを投合する。

 世界で1番堅いアダマンタイト製なのて、刺さる事は当然無かったがこの攻撃で2体の人形はセカンドを狙い始めた。


 「あいよ!!」


 セカンドが2体からの攻撃を紙一重で避けている間に、後ろからフォースがガントレットに力を込め両手で2体同時に発勁を叩き込む。


 2体の人形は身体を震わせ、地面へと横たわったが直ぐに起き上がりセカンドとフォースに襲い掛かった。


 「ちっ! ダメだ!! 動力部分にもアダマンタイトが使われてやがる!」


 「人形なら毒も効かないですしね。 相性が最悪ですわね。おっと、危ないですわ!」


 セカンドとフォースは不気味な人形相手に苦戦を強いられる。


 ◆◇◆


 サードはカエサルの見た目のまま、真っ直ぐにクロモトの首を狙う。


 「お主は近衛師団団長カエサル! 何故、貴様が儂を狙う!! その化け物共に唆せれたのか!?」


 クロモトは仲間である筈のカエサルが襲って来た事に驚愕する。 サードはクロモトの首を刎ねようとしたが、2体の人形が間に入り断念した。


 「ん~、個性的なゴミさんだね~。 フィフス~、人形さん達を先に殺るね~。 無理矢理首を斬ってみるから、それまで両手の剣を矢で弾いてて~~」


 序列が上であり、大先輩のサードからの無茶振りにフィフスは半泣きで矢をつがえる。


 「が、頑張ってみるっすー! でもサード大先輩、無理したらダメっすよー?!」


 2体の人形が両手の剣を高速で動かし、サードを斬ろうとするがフィフスがそれを許さない。


 連続で放たれた矢は正確無比に、高速で動く剣を叩く。


 「ん~、これぐらいの力なら斬れるかな~?」


 サードの剣を持つ手がゴキゴキと音を鳴らし、太くなる。

 遂には腕の太さが腰幅程までに巨大化し、持つ剣がミシミシと音を立て始めた。


 「コ……して」 「おね……が……コロして」


 サードは無機質な筈の人形が喋る言葉をはっきりと聞き取った。


 「うんうん、辛かったね~。 もう大丈夫だよ~? 君達をこんな風にしたゴミさんは必ずもっと酷い目に合わせてあげるからね~。 おやすみ」


 「大先輩早くしてっすー! 腕が限界っすよー!」


 高速で弓を絞るフィフスから泣きが入った時、サードの巨大化した右手が一瞬の間に動いた。


 サードの持つ剣は振り抜いた直後に砂の様に崩れて消えた。


 「あ……が……と」 「やっ……ねれ……る」


 「おやすみ。 良い夢見てね~」


 2体人形の首は見事に斬られており、頭を失った人形の身体は地面へと崩れた。


 「ひゃ、ひゃぁぁぁぁ! そんな馬鹿なぁ! 貴様ら化け物共を殺す為に開発した儂の可愛い人形がぁぁぁ!」


 クロモトは怒りの余り、凄まじい形相でサードを睨んだ。


 「よくも、裏切りおったなカエサルゥゥゥ! 新たな皇帝となったアバン皇帝陛下に必ず罰を与えてもらうからのぉ!」


 まだサードを本物のカエサルとして認識しているクロモトは、記憶にあるカエサルでは絶対に人形兵器を破壊出来ない事に気付く事もなく凶弾し始めた。


 「さっきの子達に約束したので~。 ゴミさん、とりあえず両手足千切ろっか~?」


 サードがクロモトに近付く。


 クロモトは部屋の壁に縋るように這這の体で下がり始めた。


 「やめろ、やめろ来るなぁ! カエサルよ、貴様はアバン皇帝陛下の味方じゃろ? おい! 可愛い人形兵器よ、儂を守れぇぇぇ!」


 クロモトの命令を聞いても人形は誰も駆け付けなかった。

 その事にクロモトは絶望したが、思わぬ好機を得ることになる。


 「サード大先輩! 隊長が不味いっす!」


 フィフスの声にサードは歩みを止めた。


 サードが周囲を見渡すと、セカンドとフォースはまだ2体の人形と戦い。 メリーは1人で3体の人形を相手にスィクススを守りながら戦っていた。


 メリーは既に手傷を多く負っており、直ぐに援護しないと危険だ。


 「フィフス、メリーちゃんを援護してて~。 私はこのゴミさんを~……消えた~?」


 サードが視線をクロモトに戻した時には、クロモトは隠し扉を起動し難を逃れていた。

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