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第93話 メイド暗部部隊戦闘員

 暫くした後、ドワーフ工房の出入り口は首の無い死体で埋まった。


 「よし、これで追手は直ぐには来れないでしょうね」


 手を叩いたメリーはマリの下に歩いてきた。


 あれだけの戦闘で何故か返り血が一滴も付着していない事にマリは首を傾げるが、セヴンスが膝から崩れた事でそんな場合では無くなった。


 「セヴンス! 大丈夫!?」


 「へっ! こうみえて本職は支援要員だからね。 ちょっと無理し過ぎたかもな」


 歩けそうもないセヴンスをファーストが背負う。


 「なら私が運びましょう。 セヴンス……ありがとう。 貴女が陛下を守ってくれたから、私は隊長に助けられた」


 「ん? 何のことか知らないねぇ。 いてて、さぁ早く地下に向かおうぜ」


 「あはは、守ってくれてありがとうセヴンス」


 マリとファーストに礼を言われたセヴンスは耳まで真っ赤にしてファーストの背中に顔を埋めてしまった。


 「ふふ、他の皆も任務を全うしてる筈。 でも、スィクススも来る予定だったのだけど……何かイレギュラーがあったのでしょうか」


 隠れ道に入ろうとしていたマリはスィクススの安否が気にかかり、立ち止まった。


 「メリーさん、此処からは私とファースト達だけで向かうね。 メリーさんなら任せれるから無理をお願いします。 スィクススや他の隊員が無事か確認して来て欲しい」


 「はぁ……分かりました。 ですが、さっきは本当にタイミングが良かったから駆け付けれましたけど……次は難しいですよ?」


 「ふふ、大丈夫。 メリーさんの次に強いファーストと守ってくれたセヴンスが居るんだから」


 笑うマリを見て、メリーはいつもの苦笑いを浮かべた。


 「では、ファーストにセヴンス。 必ず陛下を地下までお連れしなさい。 私はスィクススを見つけた後、他の隊員を確認してきます」


 「「了解です」」


 マリ達が隠れ道に入ったのを確認したメリーは、本棚で再度塞ぎ自分で明けた天井の穴を駆け上がってスィクススの捜索に向かった。


 マリはこの選択を後悔する事になる。


 ◆◇◆


 メリーは慌ただしい帝城内の天井を駆ける。


 「おかしい、潜伏していた持ち場にも居ない」


 ドワーフ達の避難を担当する筈だったスィクススを探すが、捜索は難航していた。


 暫く探し続けると、同じく天井を駆けてくる人影が見え警戒する。


 「……最悪ですね。 スィクススがこの人形達に捕まったのでなければ良いのですが」


 メリーは天井を駆けながら手刀に力を込める。


 迎え撃つのは3体の武装した人形達だった。


 「素敵な両手ですね。 部下達の下に貴女達を行かせる訳には行きませんので……お相手します」


 「「「コロ……すダメ、コロすダメ、コロすダメ?」」」


 3体の人形は壁に足を突き刺しながらメリーへと襲い掛かる。


 斬撃を躱し、人形の両手に付いている剣を無効化しようと腕を叩き折ろうとするが硬く上手くいかない。


 「ふぅ……困りましたね。 ファーストを助けに行った際は、出会う前に逃げれましたのに」


 メリーは3体の人形を倒す前に、自身が先に死ぬことを既に悟っている。


 人形の口からはコロすダメ等と聞こえるが、両手が剣の時点で捕虜として確保するのを期待すれば痛い目を見そうだ。


 「コロ…す」 「ダメ……コロすダメ」 「コロし……て」


 メリーは直接人形と戦闘している事で、この人形達の素材に気付いた。 壁に止まり、何かを呟き続けている。


 「悍ましい……。 貴女達の無念晴らして上げたいけど、ちょっと難しいかもしれません。 ごめんなさい」


 メリーは3体の人形が止まった隙に、廊下へと着地し走り出した。


 背後の気配に注意しながら、人形が現れた方角へと走る。


 「もし、スィクススが先に捕虜として捕まっているなら助けないと……ふふ、昔の私なら絶対にしない行為ですね」


 メリーは気配を探りながら進む。


 知っている気配を察知し、部屋へと忍び込んだ。


 中ではスィクススが捕らえられ、クロモトに尋問をされていた。


 「ひゃひゃひゃひゃ、ほれ……早く知ってる事を喋ろ! お前も、化け物の仲間なんだろう? 早く喋れば、苦痛無く儂の研究に貢献させてやるぞぉ?」


 「すみません、本当に分からないのですが? 私、先日新しく入った唯のメイドですよ?」


 スィクススはまだ確信を持たれてないと思い、白を切っていた。


 メリーはクロモトを殺し、スィクススを助けようとしたが……最悪な事に別の扉から4体の武装した人形が入って来た。


 それも、メリーが出会った3体とは顔が違い別の人形達だと判明する。


 (あんなのが……7体も!?)


 一対一ならまだしも、武装した人形の戦闘力はメリーに匹敵している。 まともに殺り合える者等、メリーの知る限りだとエントン王国のルニア辺境伯だけだろう。


 メリーが躊躇っていると、背後に4人の気配が迫ってきた。


 「来てくれたのですか。 セカンド、サード、フォース、フィフス」


 「すみません、遅くなりました。 他の支援要員達は無事に帝城を離れ各任務を遂行しに脱出しています」


 「あら~、スィクススちゃんが大変さんですね~」


 「遅くなって悪いな隊長。 あいつ等無差別にメイドを襲い始めやがってな。 どうやら、アバン皇子とかいう馬鹿が女皇帝をぶっ殺したみたいだぜ」


 「そうっす。 で、此方の情報がある程度漏れてるのか兵士達に襲われてたっす。 知らない赤の他人のメイド達は……可哀想っすけど、全員は助けられなかったっす」


 4人の報告を詳しく聞きたい所だが、早急にスィクススを助けないと危険だ。


 「それでは、戦闘要員に命じます。 あの武装した人形を撃破し、スィクススを助けます。 最悪、クロモトは逃がしても構いません。 自分達の命を優先し、仲間も助けます!」


 「了解です」


 セカンドはメイド服のスカートを捲し上げナイフを抜き。


 「あらら~、メリーちゃんとても良い子さんになったのね~サード嬉しいなぁ~。 じゃあゴミ掃除するよ~」


 まだカエサルの見た目をしたままのサードは腰の剣を抜いた。


 「うし! 支援要員達が頑張ってるんだ! ここからは戦闘員が気張らねぇとな!」


 フォースはメイド服と違和感が凄まじいが、ゴツい鉄のガントレットを打ち鳴らし、構える。


 「自分は天井から狙撃するっす! 早くスィクススを助けるっすー!」


 武装したメイド服を着たフィフスはスカートの中から木の弓と矢筒を取り出し、天井へと駆け上がる。


 不気味な人形4体とメイド暗部部隊の戦闘員達との戦闘が始まった。

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