第79話 女王就任と癖が強い女王達
ルーデウスとルカは会議室に到着し、早々に中に入る。
「失礼! エントン フォル ルーデウス代理国王陛下が入られます!」
ルカの口上が会議室に響き、既に座っていた女王達がルーデウスを見る。
会議室は丸上に机と椅子が配置されており、奥の上座以外は全て埋まっていた。
7個ある席の内、4個の席に座っているのは一癖も二癖もある小国の女王達だ。その内の1つだけ、代理国王をしている年配の男性が座っていた。
そして、ルーデウスか座る上座の左右にはキャミとドーラが綺麗なドレス姿で待っていた。
「皆さん、すみませんお待たせしました。 現在、エントン王国の統治をマリ女王の代わりに行っておりますエントン フォル ルーデウスです。 この度は急な招集依頼に応えて頂き本当に感謝します」
ルーデウスが挨拶をした後に、席へと座った。
進行役のルカが手早く羊皮紙を配る。
「私はエントン王国の大臣を拝命致しました。 ガルーダ フォル ルカと申します。 どうぞ、よろしくお願い致します。 早速ですが、お配り致しました羊皮紙をご覧下さい」
ルーデウスも配られた羊皮紙に目を通す。
羊皮紙には、今回の戦争がもたらした被害や元凶となるゴルメディア帝国の事などが書かれており。
更に下には、だからゴルメディア帝国を何とかしないとお前等も滅ぼされるか奴隷にされるぞと脅しも書いてありルーデウスは思わず苦笑いする。
羊皮紙を読んだ女王達と代理国王の反応は様々だった。
「ちょいと待ちな! 此処に来るまでの光景を見りゃどんだけ酷い戦だったか分かる。 だがね、幾ら元凶がゴルメディア帝国の糞だとしても……私等小国群じゃ勝ち目なんかないぞ?」
レオン王国の女王がルカに吠えた。
動物の毛皮を使った野性的な女性だ。
王国全体が剣士であり、剣の達人が多く在籍している剣獅子団が有名である。
「ふぅ……待ちなさいよ、レオン。 お前は何時も短気過ぎる。 だからこそ、私達をわざわざ呼んだのでしょう? 早馬で、急がせて」
レオン王国の女王を嗜めるのは、ウッド王国の女王だ。
緑色のドレスを着て、年配でありながら大人の色気を放っている。
ウッド王国は、森の民達とも呼ばれ内密に亜人達と唯一友好的な関係を気付いている珍しい小国だ。
国民の殆どが狩人であり、食料等の問題は全て森の恵みで賄っている。 弓の達人が多く在籍している弓騎士団が有名だ。
他にもまだ黙って静観しているが、大きな身体のピッグ共和国の女王、ウルフ王国の代理国王が渋い顔で羊皮紙を睨んでいる。
「ありがとうございます、ウッド女王陛下。 その通りでございます。 ですが、その本題に入る前に宣言される方々が居られますので静粛にお願い致します」
ルカの発言と同時にキャミとドーラが立ち上がる。 2人の顔には緊張が見られるが、ルーデウスの為に自分達の王国の為に奮起した。
3人の女王達と代理国王が見守る中、2人の王女は宣言する。
「妾、キャット フォル キャミは亡き母上の意思を継ぎキャット王国の女王となり住む民達の為に尽力するのじゃ!」
「私、ドック フォル ドーラは亡き先代の意思を継ぎドック王国の女王となり住む民達を安寧へと導きます」
「「そして、戦争を起こし敗戦した責任を取り2人共エントン王国の代理国王の妻として嫁ぎ、2国の民達と共にエントン王国と助け合って生きる事を誓うのじゃ!」います!」
2人の高らかな宣言にルーデウスは顔を真っ赤にし、ウッド王国とピッグ共和国の女王達は空いた口が塞がならなくなった。
レオン王国の女王は腹を抱えて笑い。
「……おい、エントン王国の。 貴様……1人の妻を愛す所か、妻に嫁ぐ訳ではなく嫁がせるだと? その首、噛み千切ってやろか? あぁぁん!?」
そして、何故かブチギレたのはウルフ王国の代理国王だった。




