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ひまつぶしに書いた随筆  作者: 檻の熊さん
10/11

「なまはげまんじゅう」ってあるのかと探したら、本当にあった。

 「虐待」って言うよね?

 あれ、判断が難しいんです。


 今では、動物愛護管理法というのがあって、何回目の法改正だったか、獣医師には通報の義務があります。


 さて、困ったとなるのです。

 先日どこぞの地方議会で、「子供に1人で留守番させたら虐待」となる条例案が議会を通った後、世の中から猛烈批判猛抗議で、撤回されました。

 「大声で怒鳴りつけるのも駄目」とか,そんなのもあったかな?


 こういうの、ヨーロッパの国に行くと当たり前だそうで、アジア系の移民が自分の子供をも叱っていて近所の人に通報されたとか、スウェーデンだったと記憶しておりますが、それが常識の所もあるのだそうです。

 ところが、アジアって言うか日本の一般的な家庭の事情を鑑みるに、あまりにも実態を無視した頭の中がお花畑の条例だと、猛批判を受けることになったのです。

 実際、シングルマザーとかシングルファザーとか、日本だとそういう人達の子育てを全否定してしまいますから、良い訳がないのです。


 「揺さぶられっ子症候群にまつわる冤罪」なんてのもありますか?

 これは、赤ちゃんを揺すると死んでしまう事があって、「取り扱いには気を付けよう」「いや、揺さぶられっ子症候群の赤ちゃんを連れて来る親なんか虐待をしているに決まっている!(逮捕だ!)」という話なのですが…。

 資料を読むに、実際に虐待のことは多いらしいのです。

 以前だと、こういうケースがあっても逮捕とか出来ないで水面下に潜んでしまっていた問題を取り締まることが出来る様に成ったという話なのです。

 他にも、赤ちゃんに粉ミルクの代わりにビール飲ませるとか、嘘みたいな話がいっぱいありますから、確かに児童相談所は必要だし医師はそれらしい事例があったら通報するべきだし警察も仕事をするべきなのです。

 ところが、「揺さぶられっ子症候群」については、医師の所見だけでは事故と虐待の区別が出来ないらしいのです。

 つまり、そういう怪我、特徴のある徴候が3点ほど記録されたら、カルテには「揺さぶられっ子症候群」と書けてしまう。

 一般的に「揺さぶられっ子症候群」とは虐待によって発生するものなので、検察なんかも「逮捕させたら公判を維持して有罪に持って行ける」と判断してゴーサインを出してしまうらしいのです。

 もちろん、子供を病院に連れて行って逮捕される親にしてみれば、たまったものではありません。

 

 他にも、色々な虐待の話があります。

 基本的に、私は、その地域に歴史的に根ざした文化伝統なりを余所者がどうこう言って否定するのは駄目だと思っております。

 昔から、「動物虐待」として取り沙汰される行事に「上げ馬神事」というのがあります。

 これなんか、予備知識の無い状態で外国語の報道映像なんか視聴したら、思わず「Terrible!(ひどい!)」と叫んでしまうレベルです。

 その昔、東京五輪で馬術競技の最中に悪さして「虐待だ!」となった、どこぞの国のトレーナー(馬の太ももを軽く小突いたんだったかな?)なんか目じゃありません。

 馬の怪我が当たり前の難所を、せり上がる様に乗り越えさせる労作を周囲の人間が寄ってたかって強制させるんですから、見た目の印象最悪です。

 ちゃんと意味があってやっている行為ですから、「嫌いなら、そっと離れてください」で済ますべきなのではないかと思うのですが、映像なんか見せられてしまうと我慢が出来なくなる人達というのが現れてしまう訳です。


 「見た目最悪」と言うなら、東北の「なまはげ」なんかでもそんな話がありましたね。

 子供に出刃包丁突きつけて「悪いごはいねかあ!」ってやるのが、児童虐待だと言うのです。


 「虐待」を広義に解釈していくと、見た感じその様に見えたら、そう感じたら、それは「虐待」でいいらしいのです。

 例えば、毛皮のコートを着ることも、形の残っている魚を丸ごと食べるような食べ方も、何なら活け作りや躍り食いなんかももちろん駄目だと、言えてしまう。

 とどのつまり、この話は「他人の飯の食い方は汚く見える」という所まで行ってしまうという問題を抱えているようなのです。

 印象、イメージだけで、突っ走れるのです。

 誤解や偏見を、法律と良識がどう折り合いを付けていくのかが、とても難しい。


 環境省なんかは、この動物愛護管理法の関連で獣医師に課せられる虐待の通報義務について、つまり「虐待」について、何か定義をする代わりに判例集を提示して、各獣医師の個人の判断に諸々を委ねるという事をしています。

 これも微妙で、過去に判決がおりて有罪になったケース、つまり判例にあるのは、言わば「虐待のために虐待が行われた」ケースであったらしいのです。

 つまり、狩りや魚釣りとかと違い、「残虐な行為を楽しむ」とか「より苦しませるために」とか、そういった「虐待をするんだ」という目的を犯人が持っており、その目的を実行したから「有罪」としたらしいと、読める。

 なんと申しますか、「殺人」は偶然や事故ではなく「殺意を持って」行うものだという事らしいのです。

 そういう「判断」を丸投げされた獣医師個人の裁量で行って、警察に通報しろというのです。

 えらい法律ですよ?

 「冤罪」とかで責任取らされたりしないんでしょうか?

 当然ですが、状況によっては警察に捕まった「犯人」が、「あの動物病院のせいだ」と特定が出来てしまいます。

 問題ですが、法的に「義務」があるんです。


 こういうのとは別に、つまり法的にはどうだか分からないけれど、倫理的にあるいは感情的に「虐待」という話は、たくさんあります。

 先日の奈良の報道、予算の不足から餌が用意出来なくてシカが痩せてしまった状態が維持されてしまい、その状況を「虐待」とされたというケースが、ありました。

 最終的に,この件が法的にアウトとなるか存じませんが、いちおう関係各所は「虐待」と認定したようです。

 動物のネグレクトの過程で、アニマルホーダーというのがあったと思いますが、実際はそれだと認定したんじゃないかなと思います。

 いずれにせよ、社会的には、もう間違いなく「虐待」です。

 わずかですが、変化が起きたのを感じました。


 良いことなのかどうかは、わかりません。

 結果として、押し流されたり押し潰されたりするものが現れるからです。


 だんだんと、世間が広義寄りの「虐待」に近付いて行っているのを感じております。

 やりすぎると、その内に「なまはげ」が逮捕される時代がやってくる事になります。

 あるいは、法律で「なまはげ」が禁止されたりするのかな?


 そこまで至らないよう、世間の皆様には冷静な対応をしてほしいものです。

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