彼女はまた叱られる
テレーズもめちゃくちゃ反省しています
「テレーズ様の嘘つき」
「マルカさん本当にごめんなさい!今度こそもう無茶しませんから許してください!」
「信用できません」
「そこをなんとか!」
テレーズは早速マルカとポロ、シリルに囲まれて叱られていた。仕方のないことだったとは分かっているが、やはり大切なテレーズ様が無茶なことをするのは彼らとしては認められない。
「奥様。奥様がぐったりした状態で帰ってきたのをみたマルカがどんな気持ちでいたかわかりますか?」
「……ごめんなさい」
「マルカはショックで今日一日寝込んでしまっていたんですよ。奥様が目覚めたと聞いた途端に飛び起きましたけど」
「……申し訳ありませんでした」
テレーズは叱られてしょんぼりとする。
「奥様、私は奥様が美味しい美味しいと喜んで私の料理を食べてくださるのを見るのが好きです」
「はい」
「私の生き甲斐を奪う気ですか」
「いや本当にごめんなさい今度こそ無茶しませんから!」
テレーズ、涙目である。
「お前たち、そのくらいにしてやってくれ。テレーズも反省しているし、一番悪いのはテレーズに無茶をさせた私だ」
ボーモンがテレーズを庇うがマルカはまだ納得していない。
「そもそも旦那様はどうしてテレーズ様が無茶なことをするのをお許しになられたのですか」
「侯爵領を預かる者としては適切な判断だった。テレーズの力が無ければ今頃大惨事だ」
「それは……でも……」
「まあ、パパはママを止めようとしていたがの。妾がわがままを言ってママを困らせるなと一喝したのじゃ。実際はママを優先したかったのがパパの本音じゃよ。許してやっておくれ」
ユゲットの言葉に使用人一同がボーモンを見る。ボーモンは困ったように目をそらした。
「妻というのは特別なんだ。不甲斐ない侯爵だが笑わず許せ」
その様子に使用人一同は「旦那様もテレーズ様が嫁に来る前と随分変わったな」と思う。実際かなり変わった。前のボーモンであれば妻一個人より領民達の安全を優先しただろうに、今では我が子に諭されるまで妻を優先しようとしていたのだから。
「……仕方がないので、今回はユゲットお嬢様に免じて許して差し上げます。でも、もう無茶しちゃダメです。今度こそ、約束ですよ」
マルカがとうとう折れる。テレーズは嬉しそうに笑った。
「はい!仲直りですね!」
そんなテレーズにマルカも笑いかける。
「はい。仲直りです、テレーズ様」
そんなマルカを見てポロもテレーズを許した。
「奥様、しつこいようですがもう無茶しないでくださいよ」
「わかりました!」
シリルもマルカとポロに免じてテレーズを許す。
「テレーズ様、とりあえずお腹が空いたでしょう。パン粥はいかがですか」
「!……食べます!」
ということで、いつもの日常に戻っていく。ユゲットは使用人一同から愛されるママを誇らしく思った。
でも状況的に仕方なかったよね




