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彼女は約束のチーズを楽しむ

テレーズ、チーズが大好き

「テレーズ、今日の晩餐はチーズ料理がたくさん出るそうだな」


「ボーモン様との約束のチーズですね!楽しみです!」


「そうだな、とても楽しみだ。それじゃあ、行こうか」


「はい、ボーモン様」


テレーズはボーモンと腕を組み、食堂へ向かう。エタンとエレーヌ、フロランはもう席についていた。


「ボーモン殿、こちらへどうぞ」


「テレーズ、こちらへいらっしゃい」


ボーモンとテレーズが席に着くと、給仕の女性が食事を運ぶ。


「わあ、美味しそう!」


ハンバーググラタンに、チーズのたっぷり掛かったオムライス。チーズたっぷりの焼きナポリタンとチーズ尽くしの今日のメニューに、チーズに目がないテレーズの瞳がキラキラと輝く。


「テレーズ、よかったな」


「はい、ボーモン様!」


若干メニューに引き気味だったボーモンだが、テレーズの様子を見て微笑ましい気持ちになった。テレーズのこの表情を見るためだけにこのメニューにしたのだと思うと、メニューを決めたであろうエレーヌを筆頭にアルビオン公爵家の面々は相当テレーズを溺愛しているのだろう。溺愛しているのは知っていたが、ここまでとは思わなかった。


「いただきます」


みんなで手を合わせてから食べ始める。


「ハンバーググラタン美味しい……!」


ボーモンとテレーズはまずハンバーググラタンから食べ始めた。


「表面のチーズが焦げて、パリッとした食感で香ばしい風味です!その下のクリーミーなチーズソースが、滑らかでハンバーグとマッチしてとても美味しいです!」


「ハンバーグも豚と牛の旨味が詰まった最高の味だな。余計な物が入っていないストレートなハンバーググラタンなのも好感度が高い」


「美味しいですね、ボーモン様!」


「最高だな、テレーズ」


二人のやり取りを、エタンとエレーヌ、フロランは微笑ましく見守る。


「次はチーズオムライス……んー!これも美味しい!」


次はチーズオムライスを食べるテレーズ。


「オムライス単体でも美味しいところに、オムライスに合うよう調整されたチーズソースがたっぷり掛かって贅沢なお味です!」


「やばいな。スプーンが止まらない。これは美味い」


「ですよねボーモン様!」


「玉ねぎと鶏肉がこれでもかと存在感を発揮するのも良い。最高のチキンライスの上にトロトロのオムレツ、そこに掛かるチーズソース……全てが計算し尽くされているな」


「シェフの腕が光りますね!」


テレーズに褒められて、側に控えていたシェフは泣いた。誇張ではなく、本当に泣いた。〝わがままで食にうるさいテレーズお嬢様〟に褒められて、それだけ嬉しかったのだ。そんなことなど露知らず、テレーズは他の料理に手を伸ばす。


「チーズたっぷりの焼きナポリタンも試してみましょう!上にかかったチーズがすごく美味しそうにとろけていますね!見た目も嬉しい焼きナポリタンです!……うーん!美味しい!」


一口食べたテレーズは幸せそうに頬を緩める。テレーズに釣られてボーモンも一口食べてみた。


「本当に美味いな。太くもちもちとしたパスタが、ケチャップとよく馴染んで美味しい」


「美味しい焼きナポリタンに、とろーりとした滑らかな食感のチーズ。その香ばしいチーズの香り。最高です!」


「こちらはグラタンとは逆に野菜たっぷりなのがまた嬉しいな。栄養満点で、美味いし、食感も楽しい」


「もう!本当に最高です!」


幸せそうに食べるテレーズとボーモンに、エタンとエレーヌ、フロランは似た者夫婦だなと思いつつ見守る。シェフの涙は滝のようになっていた。


「ボーモン様、明日はちょっとだけ観光してから帰りましょう」


「そうだな、チーズをお土産にいくつか買って帰ろう」


「わーい!」


使用人たちは、テレーズが少し変わったように見えて目を擦る。実際は幻覚でもなんでもなくテレーズはたしかに変わったのだが、そもそもテレーズを色眼鏡で見ていた使用人たちは気付かない。


こうしてテレーズとボーモンは心置きなく料理を楽しみ、幸せそうに笑いあった。

ボーモンも大分テレーズに影響されている

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